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買収から2年、中国「万達集団」はIRONMANをどう変えていくか。

投稿日:2017年7月1日 更新日:


雨宮一彦

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昨年10月に開催された Ironman 70.3 Hefei ©Matt Roberts/Getty Images

「万達集団」によるWTC買収から現在に至るまで①

■世界企業Top500に数えられる「万達集団」とは?

万達集団(Wanda Group=ワンダ・グループ)がWTC(IRONMANシリーズの主管企業)を買収してから間もなく2年が経とうとしている。この買収により中国トライアスロン業界では大きな変化が起きている。万達集団のビジョンや中国トライアスロン業界について語る前に、まず万達集団について触れてみたい。

万達集団の正式名称は「大連万達股份有限公司」。創業者・王健林董事長が一代で築き上げた中国を代表するコングロマリットだ。1988年に不動産会社として設立された後、高度経済成長の波に乗り、会社は急成長。現在では不動産・高級ホテル・ショッピングモール・文化/旅行の4つの柱を中心に事業を展開している。2016年の売上高は2,550億円(約4兆円)。雑誌「フォーチュン」が選ぶ2016年、世界トップ企業500において385位にランクインしている。

近年、万達集団はスポーツ関連への投資を積極的に行っており、WTC買収以外にもスペインのサッカーチーム・アトレチコ・マドリードへの出資やスイスのスポーツメディア企業・インフロント・メディアの買収、世界のマラソントップレースで組織するワールド・マラソン・メジャーズ(WMM)との戦略提携など、その勢いは止まることを知らず、万達集団傘下の万達体育控股有限公司は一躍世界最大級のスポーツ運営企業へと発展を遂げた。

Ironman 70.3 Hefei ©Matt Roberts/Getty Images


■WTC買収の背景にある中国の健康志向上昇

2015年8月27日万達集団は6.5億ドル(約715億円)でWTCを買収したことを発表。そのニュースは世界中のアスリートを驚かせた。

このWTC買収の背景には中国で高まる健康志向と所得水準の上昇がある。中国には数千万人のランニング・水泳愛好家と数百万人の自転車愛好家がいると言われている。一方、中国人のアイアンマンディスタンス完走者は数百名しかいない。

また、大会数を見てみても2015年上半期のランニング関連が300大会開催された中でマラソン・トレイルが296大会であったのに対し、トライアスロンはたった4大会であった。

このように、中国でトライアスロンはマイナースポーツではあるが、14億の人口と上述の運動愛好家の数を鑑みれば、潜在的に巨大マーケットとなり得る可能性をもっている。この点に着目し、万達集団はWTC買収に踏み切ったと言える。
(>>>「万達集団」によるWTC買収から現在に至るまで②へ続く)

IRONMANをめぐる万達集団のビジョンとビジネス戦略

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