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IRONMANをめぐる万達集団のビジョンとビジネス戦略

投稿日:2017年7月1日 更新日:


雨宮一彦

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IM70.3厦門(Xiamen=シャーメン)女子優勝のJeanne Seymour(写真左)とパートナーのJustin Metzler(男子3位) ©Lintao Zhang/Getty Images

「万達集団」によるWTC買収から現在に至るまで②

■大会数を増やして中国のトライアスロン人口を20万人に――万達集団のビジョン

万達集団は10年間で中国のトライアスロン人口を20万人にするという大きな目標を掲げている。目標実現に向けたひとつ目の施策が大会数の増加だ。WTC買収後、初の開催となった2016年が合肥(Hefei=フーフェイ)70.3と、厦門(Xiamen=シャーメン)70.3の2大会。2017年はそこからさらに柳州70.3、曲靖70.3、重慶70.3の3大会を加えた合計5大会の開催が予定されている。

ふたつ目の施策が賞金の増額だ。そこには、将来的に30名程度の中国人プロトライアスリートを育み、彼らによる各地での宣伝・普及活動に期待すると共により多くのスポンサー企業を招き入れ、アイアンマンの知名度向上を図ると言う狙いがある。

万達集団のビジョンを語る上でビジネス戦略も忘れてはならない。万達集団は傘下に高級ホテルチェーンと中国最大の旅行会社を抱えており、アイアンマンレースと旅行をセットにした複合的な経済効果を狙っている。

昨年11月のIronman 70.3 Xiamenを制したのはJosh Amberger ©Lintao Zhang/Getty Images


■IRONMAN一大会の経済効果は1.6億円と試算

レース開催には自治体の協力が不可欠だが、レースの特性上、マラソンに比べ滞在日数が長いため、自治体にとってもより多くの収入が見込めるという点メリットがある。万達集団の計算によると、1000名参加のレースで帯同者が平均2.5人、滞在日数は平均3泊4日、ホテルの合計宿泊部屋数が4000室。開催する自治体には1000万元以上(約1.6億円)の経済効果をもたらすと言われている。

それ以外にも自治体にとっては、観光地や都市全体のイメージ向上にもつながるため、町興しのツールとしても注目を浴びつつある。柳州や曲靖といった外国人にとっては無名に近い地方都市が開催都市になったのは町興しの一環と捉えると理解できる。万達集団の商業施設は中国全土に多数あり、今後も大会数が増える可能性がある。今後もその動向に注目していきたい。

(>>>今後、中国のトライアスロン事情などについては随時リポートを掲載していく予定。乞うご期待)

買収から2年、中国「万達集団」はIRONMANをどう変えていくか。

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