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7年ぶり男女同日開催のコナ。IRONMAN世界選を制するのは?

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山村 勇騎

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写真は今年9月に開催されたコナの前哨戦IM70.3世界選手権女子プロの表彰台。今回のコナ優勝候補でもあるテイラー・ニブ(中央)がジュリー・デロン(同左)らを下して4度目の70.3世界女王に輝いている ©Getty Images for IRONMAN

2026 アイアンマン世界選手権コナ
プロレースプレビュー《優勝者予想》

男女スター揃い踏み
名勝負への期待。

過去5年間は、コロナ禍の影響を受け、レースのキャンセル、多くの変更を余儀なくされ、新しいチャレンジを重ねてきたアイアンマン・シリーズ。

パンデミック後、世界で一番強いアイアンマンを決める世界選手権の復活は、2022年に開催地が米・ユタ州セントジョージに変更されたことから始まり、同年秋には一度、コナへと戻ったものの木曜・土曜、2日間に分けての男女別レースという異例のフォーマットでの開催に。

そこからフランス・ニースとコナで、1年ごとに開催地を分け合う男女別のローテーション制度を経て、今回、ようやくハワイ島コナでの男女同日開催のレースが実現。男女のトップアイアンマンたちが聖地コナで一堂に会するレースデイは、2019年以来、実に7年ぶりの復活となる。

前回のコナ男女同日開催は2019年。コロナ禍以前でフィニッシュラインではレジェンド、ヤン・フロデノがおなじみのウイニングポーズをキメている時代のこと

男子プロカテゴリーでは戸原開人以来、9年ぶりの日本人選手として古谷純平が参戦。アイアンマン西オーストラリア(2025年12月)&ケアンズ(2026年6月)での3位表彰台という実績を引っさげ、上位入賞が期待されるが、

その古谷も挑むのを楽しみにしているという世界最高峰の戦いを制して世界王座に就くのは、誰か? 例年のごとく今季の実績などから男女プロ有力選手をピックアップし、「優勝者予想」をしてみよう。

文=山村勇騎
写真=小野口健太

プロ男子
注目選手

前回コナ開催の男子世界選(2024年)では、大方の予想を覆して王座返り咲き。コナでの強さを見せつけたランゲ(写真中央)

Patrick Lange
パトリック・ランゲ

■出身:ドイツ
■年齢:40歳
■プロシリーズランキング:ランク外
■キャリア:2017・2018・2024年 アイアンマン世界王者

今季プロランキング圏外ながら一番侮ってはいけない、3度コナを制した世界王者。特にコナというレース環境では、100%以上の力を出すポテンシャルと経験がある。

2024年のコナで、元世界王者としての存在感が少し薄れ、メディアでも取り上げられることがない中で、そのネガティブな予想を覆す展開で3度目の世界王者に輝く。

今年は、IMテキサスでリタイアという結果の後、コナへの出場権を獲るために、IMランザローテで2位入賞。それ以外にはチャレンジ・ロートに出場するのみで、レース数を抑えたシーズンを過ごして来た。

一番ネックとなるバイクレグは、先頭に引き離されず、差を最小限に保ちたい。

注目とされる得意のランで、2時間20分台のタイムを出せれば、これまで培ってきた経験と暑さに対するタフなメンタリティーで、優勝候補から外すことはできない存在だ。

今年の8月に、2027年シーズンでの引退を発表。今回が最後のコナ参戦となる。ビッグレースで驚くような強みを見せるその姿を、もう一度このビッグアイランドで見せて欲しい。

9月の70.3世界選ではハーフマラソン1時間5分の快走を見せ、2位まで順位を上げたブルンメンフェルト ©Getty Images for IRONMAN

Kristian Blummenfelt
クリスティアン・ブルンメンフェルト

■出身:ノルウェー
■年齢:32歳
■プロシリーズランキング:1位
■キャリア:2026年70.3世界選2位、2022年世界選 優勝(セントジョージ大会)、東京五輪金メダリスト

先月の70.3世界選では、ランラップ(ハーフマラソン)1時間5分という凄まじい走りで16位から2位まで上り詰め、優勝こそ逃したものの、1位のヘイデン・ワイルドを15秒差まで追い詰め、世界を驚かせた。

言わずと知れたノルウェー式トレーニングで、同郷パートナーのグスタフ・イデンやカスペル・ストールネスと競い合うハイクオリティーな練習を重ねている。

今季は初戦のIMニュージーランドで期待はずれの5位というスタートを切ったが、1カ月後のIMテキサスでは、完璧なレースを見せ優勝。コナ入りした1週間前には、40㎞走を2時間31分というタイムで終えており、仕上がりの良さがうかがえる。

悲願のコナ初勝利に向けて重要なキーとなるのは、スイムで第1集団に残れるのか、そしてバイクパートをどう上位で乗りきれるか。

そして、近年の世界選で悩まされてきた嘔吐や痙攣などの問題を克服できているかも気になるところだ。

これらのポイントをクリアし、絶対的な武器となるランを2時間30分で走れるなら、コナでの初優勝は確実なものとなるだろう。

Gustav Iden
グスタフ・イデン

■出身:ノルウェー
■年齢:30歳
■プロシリーズランキング:8位
■キャリア:2022年世界選優勝(コナ)、2025年世界選2位(ニース)、2026年70.3世界選4位

ここ数年は、ケガやメンタル面の不調で、思うようなパフォーマンスを見せられずにいたが、今年は完全復活の兆しを見せている。

先月の70.3世界選では、本来の実力を見せてバイクラップを獲り、力強いランで4位入賞。

2023年のコナで初優勝した時、並走していた同郷のブルンメンフェルトから残り10kmを残す所で逃げ出し、バイクで大幅に先行していたサム・レイドロウに追いつき、コナの暑さに負けない素晴らしいランを見せた。昨年のニース大会でも、トップ集団でバイクを終え、粘り強いランを見せ2位入賞を果たしている。

今回もスイムでやや遅れてのバイクスタートとなる予想だが、バイクでトップ集団に追いつき、トレーニングパートナーのブルンメンフェルトと協調態勢を築ければ、ランの展開次第で優勝の可能性もある。

最強ノルウェー・トリオの一翼を担う実力者が、このコナの地でふたたび本来の強さを発揮できるかに期待しよう。

Sam Laidlow
サム・レイドロウ

■出身:フランス
■年齢:27歳
■プロシリーズランキング: ランク外
■キャリア:2022年世界選(コナ)2位、2023年世界王者(ニース)

ロングトライアスロン界の新星として注目を浴び続けてきたレイドロウも、多くの経験を積んでコナの地に帰ってくる。

地元フランス・ニースでの開催となった2023年世界選で初優勝。ジュニア時代からトライアスロンを始め、コーチを務める父とともに二人三脚で世界の頂点まで上り詰めた。

2024年の世界選コナ大会では、自身のバイクコースレコード(3時間57分)を更新し、破格の剛脚ぶりを証明。今年はIMランザローテと70.3バレンシアで優勝した後、チャレンジロートでもロングディスタンス世界記録7時間21分4秒という素晴らしいパフォーマンスを見せ、2連覇を果たしている。

3度目となる今回のコナでは、今季の勢いをそのまま維持できていれば、いつも通りに得意のスイムで先行、バイク独走で後続との差を広げる展開に持ち込めるはず。さらにランでも逃げ切り、コナの暑さに耐えることができれば、優勝は確実だろう。

©Getty Images for IRONMAN

Marten Van Riel
マルテン・ヴァン・リール

■出身:ベルギー
■年齢:33歳
■プロシリーズランキング:6位
■キャリア:2024年 T100トライアスロン世界王者

今回コナデビューを果たすベルギー発の新星。T100のワールドツアーランキングで優勝を果たすなど、ミドルディスタンスで活躍してきた。昨年の世界選ニース大会では、足のケガに悩まされつつも、4位入賞を果たしている。

1カ月前の70.3世界選では、レース一週間前に体調を崩してしまい17位。これがコナへ向けてのビルドアップに影響してくるかが悩みどころだ。

3種目ともにバランスの良い強さをもっているので、スイムとバイクで先頭争いに絡むレースを見せてくれれば、ランでどこまで本来の強さを見せられるかが優勝へのカギとなる。

過去にふたりのアイアンマン世界王者を出しているベルギー勢。2013年のフレデリック・ヴァン・リルデ優勝以来、ベルギーに三度コナのチャンピオンリングをもたらすことができるか、要注目だ。

20代の若手ダークホースと
オリンピアンの攻めにも注目

その他の選手では、IMケアンズと南アフリカで優勝した医学生兼プロトライアスリートのマシュー・マーカート(Matthew Marquart)やIMニュージーランドで優勝したプロサイクリストで、今回もプロ出場するキャメロン・ワーフお墨付きのバイクとランの強さをもつトレバー・フォーリー(Trevor Foley)ら、20代の若手にも要注目だ。

そしてオリンピアン(元五輪代表勢)の中からは今回コナデビューにして来年の引退が決まっているというフランス代表バンサン・ルイ(Vincent Luis)や、チャレンジロートで2位入賞した若手のドイツ代表ヨナス・ションバーグ(Jonas Schomburg)らがスイムからアグレッシブなレース展開を見せ、バイクでも攻めてくるだろう。

古谷純平のアイアンマンデビュー戦でもあった2025年のIMケアンズで優勝し、現役医学生でプロという属性からも注目を集めたマーカート(中央)

2026 アイアンマン世界選
男子トップ3予想

1. グスタフ・イデン
2. クリスティアン・ブルンメンフェルト
3. パトリック・ランゲ

プロ女子
注目選手

Solveig Løvseth
ソールバイ・ロブセット

■出身:ノルウェー
■年齢:27歳
■プロシリーズランキング:2位
■キャリア:2025年アイアンマン世界王者

昨年、棚からぼたもちのような、自身も驚く初優勝を飾った現アイアンマン世界王者。

前回は3種目ともに安定したペースを保ち、優勝候補として先頭を走るルーシー・チャールズ・バークレーとテイラー・ニブが激しいトップ争いの末、灼熱のコナにやられリタイアする中、最後まで暑さに負けないパフォーマンスを見せた。

今年の70.3オーシャンサイドでは1時間14分という高速ランを見せて優勝し、好調なシーズンスタートを飾る。さらに大陸別選手権のIMテキサスとフランクフルトを制して、世界王者としての実力を証明している。

スイムでの遅れが一番気になるが、バイクでどこまで順位を上げ、後半どういう動きを見せられるか、要注目だ。今シーズンは2時間49分台のマラソンペースで、一貫したランパフォーマンスを発揮できているので、先頭との差を5分以内に抑えることができれば、連覇も見えてくるだろう。

Laura Philipp
ローラ・フィリップ

■出身:ドイツ
■年齢:39歳
■プロシリーズランキング:1位
■キャリア:2024年世界王者(ニース)、2025年世界戦3位(コナ)

2024年アイアンマン世界選手権ニース大会で優勝。エイジグルーパーとしてゼロからトライアスロンを始め、徐々に成長を遂げ、世界女王にまで上り詰めた実力者だ。

コーチは長年連れ添っている夫で、彼女がトライアスロンを始めるきっかけをつくったフィリップ・セプ。IMハンブルクで叩き出した2時間38分というアイアンマンのランコースレコードはいまだ破られていない。

昨年のコナでは、スイムで大幅に遅れ、バイクで差をうまく詰めることができなかったが、ランで力強い粘りを見せ3位入賞。39歳という年齢を迎え、引退へのビジョンが見える中でも、そのバイクとランには、まだ磨きがかかっている。

弱点であるスイムでトップとの差をなるべく抑え、バイクでうまく順位を上げ、ハンブルクで見せた2時間40分切りのランスピードを見せることができれば、優勝に大きく近づくだろう。

Lucy Charles-Barclay
ルーシー・チャールズ・バークレー

■出身:イギリス
■年齢:33歳
■プロシリーズランキング:ランク外
■キャリア:2023年世界王者(コナ)、2025年70.3世界王者

2023年の初優勝以前にも4度2位入賞の実績を重ね、2024年のアイアンマン世界選ニース大会でも優勝するなど華々しい戦績を誇るスター選手。

昨年、6度目となるコナでニブとアイアンマン史に残る激闘を繰り広げるも、暑さに打ちのめされリタイア。

2023年の世界選以来、足の疲労骨折や手術などを乗り越え、リカバリーを重視したシーズンを送ってきた。ここ2年間はミドルディスタンスのT100シリーズに出場を重ね、スピードを意識したレースを重ねている。

最もコナを熟知している経験値を生かしつつ、補給からバイクのエアロ対策まで細かく追求する様々な分野のコーチを含んだ大きなチームを率い、豊富なデータをもとに完璧に近い優勝戦略を組んでくるだろう。この戦略が、うまくレース展開にはまれば、2度目のコナ優勝も見えてくる。

Kat Mathews
キャット・マシューズ

■出身:イギリス
■年齢:35歳
■プロシリーズランキング:8位
■キャリア:2026年IMニュージーランド優勝、2025年世界選2位

2022年の世界選出場1カ月前、テキサスでコナに向けてトレーニング中、バイクで生死に関わる事故に遭うも、劇的な復活を遂げ、前回のコナで2位入賞。その経験からフィジカル&メンタルとも誰にも負けない強さをもつ。

今シーズン初戦のIMニュージーランドでは、得意のバイクとランで2位以下に大差をつけ優勝。その翌月には、IMテキサスに出場し連覇を狙うも、タイヤが破損。その対応で20分以上も待たされリタイアを余儀なくされた。その後は、足のケガなどに悩まされ、チャレンジロートで4位、70.3世界選では、11位と思うようなパフォーマンスが見せられずにいる。

スイムの遅れを取り戻すために、バイクでフィリップやルーセットと協調して先頭まで上り詰め、ランで昨年(2時間47分)並みのパフォーマンスを再度見せてくれれば、初優勝に近づくだろう。

©Getty Images for IRONMAN

Taylor Knibb
テイラー・ニブ

■出身:アメリカ
■年齢:28歳
■プロシリーズランキング:12位
■キャリア:4×70.3世界王者、2024年 T100トライアスロンシリーズ王者、2023年世界選4位(コナ大会)、五輪2大会出場(パリ&東京)

昨年のコナでは順調にレース展開を進め、先にリタイアしたチャールズ・バークレーを抜き、初優勝を果たすかと思われた。しかし、フィニッシュまで残り1マイルを残すところで、同じように暑さに勝てずリタイア。悲願のコナ初勝利を逃してしまった。

今年はT100ゴールドコースト大会で勝ち、力強いスタートを見せ、その1週間後には、70.3オーシャンサイドでも優勝。翌月のIMテキサスでは2位に入り、ショートのWTCSロンドン7位と、すべてのディスタンスにおいて実績を残すシーズンを過ごしている。

プロサイクリストとしても活躍し、先月の70.3世界選優勝の8日後に開催されたロードの世界選手権・個人TTで13位、アメリカ代表トップでフィニッシュしている。

女子アイアンマン最速と言ってもいいバイクレグでは、このプロフィールドの中でも敵ナシ。先月の70.3世界選では、バイクで2位以下に6分以上の差をつける独走・圧勝。今回のコナでは、ダニエラ・リフのもつコースレコード(4時間26分)更新にも期待がかかる。

いつも通りスイムをトップ集団で上がり、ライバルのチャールズ・バークレーを、バイクで大きく引き離すことが初勝利への必要条件。

いままで苦手としていたランは、今年になり大きな成長を遂げており、いままで以上の完成度で初優勝に挑む。

エイジ上がりの新鋭たちの
下剋上はあるか!?

前述の有力選手以外では、チャールズ・バークレーのトレーニングパートナーでもあるフランス代表のマルジョレーヌ・ピエール(Marjolaine Pierré)や、徐々に頭角を現しつつあるデンマーク代表カトリーヌ・クリステンセン(Katrine Christensen)ら、トップ争いに絡む実力のあるエイジ上がりの選手たちにも要注目だ。

長年ショートやミドルで活躍してきたカナダ代表ポーラ・フィンドレイ(Paula Findley)も、ようやくアイアンマン世界選デビューを果たす。このコナの地でどれだけの実力を発揮できるか、注目が集まる。

チャールズ・バークレーのトレーニングパートナーでもあるピエール。エイジ上がりの新鋭、大躍進はあるか!? ©Getty Images for IRONMAN

そして、パリ五輪の銀メダリストでT100レースで大活躍しているスイス代表ジュリー・デロン(Julie Derron)も初出場。

前回のコナはケガで欠場となり、ロングでの本領は未知数だが、数多の王者やメダリストを輩出してきた名伯楽ブレット・サットンのマジックが効いて、クリッシー・ウェリントンやダニエラ・リフに続く3人目のコナ女王へと上り詰めることができるのか、見逃せない。

パリ五輪での躍進も記憶に新しいジュリー・デロン。ブレッド・サットン門下から三度、強いコナ女王が誕生するのか!? ©Getty Images for IRONMAN

2026 アイアンマン世界選
女子トップ3予想

1. テイラー・ニブ
2. ルーシー・チャールズ・バークレー
3. キャット・マシューズ

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