(>>>前回の#00「あのパールイズミのトライウエアが、帰ってくる。」はこちら)
#01 Peak Your Performance
PIトライアスロンオーダーウエア、最新情報を語ろう。〈ブランド&開発ストーリー編〉
取材・文/大塚修孝
トライアスロンウエアブランドとしての「Pearl Izumi」をめぐる歴史
パールイズミは、1950年創業の老舗ジャパンブランドだ。自転車競技の世界では、オリンピック、世界選手権、ツールドフランス、ジロデイタリアなど世界のトップレースでその実力を見せてきた。また国内のプロロードチーム、宇都宮ブリッツェンのサポートなど、常にリアルなレースシーンからのフィードバッグにより、サイクルウエア界をリードして来た。素材、パターン、縫製において最高レベルのウエアをリリースし、特に、バイクパンツの命とも言える「パッド」の素材、形状と、その縫製は、他の追随を許さないブランドでもある。
トライアスロンウエアもいち早く取組み、90年代から国内のトライアスロンシーンにおいてその位置づけは確立されていた。サイクルウエアの実績から、安心して着られるトライアスロンウエアとして、幅広く使用されていた。当時は、もちろんトップ選手のサポートも行い、そのトライアスロンウエアのパールイズミとしての存在感もアピールしていた。
そして、今回のトライアスロンウエアのオーダーウェアラインのリニューアルとともに、トライアスロンチームも立ち上げている。9月の佐渡国際トライアスロンに向け、練習会を定期的に実施し、7月には館山で合宿を行うなど、総合的な観点から取組むプロジェクトとしているのだ。
その名も「Team PI」。このチームは、社内、社外のメンバーで構成され、幅広い競技レベルと異業種のトライアスリートの参加によるコミュニティーとして機能し、開発へのフィードバッグをいち早くすくい上げている。
ついに始動した「理想のトライスーツ」をめぐるプロジェクト
リアルトライアスリート目線から
開発がはじまった。
「PROJECT TRISUIT INNOVATION 2017」として、パールイズミのトライアスロンウエア(オーダーウエア)のリニューアルが図られることとなった。現在、パールイズミのトライアスロンウエアは、グローバルで活躍するITUエリート選手からアイアンマンプロ選手まで幅広く着用されている。
国内では、チームウエアでのニーズに着目し、その「タイミング」を待っていたが、満を持してついに再始動となったのだ。先述の通り、パールイズミはTeam PIを立ち上げ、そのチームメンバーには社内の開発プロジェクトメンバーを含めている。これはトライアスロンウエアの開発において、極めて重要となるトライアスロンを「真剣」に取組むメンバーが、チームというコミュニティーに属し、開発を進めているということを意味する。
パールイズミのDNAを受け継ぐ
開発・展開コンセプト
「Peak Your Performance」というのが、今回のコンセプトのキーワード。自身のポテンシャルを可能な限りピークに引き上げられ、大会のスタートラインに自信をもって立てるウエアとして開発されている。そのためにあらゆるポイントから開発を研究してきた。エアロダイナミクスなどの機能性は当然注力すべきポイントではあるが、ウエアとしての原点である、着心地やフィット感を特に追求している。特に、ミドルやロングのレースなど長時間の使用に対して求められる「快適性」につながるフィット性は、ジャパンブランドのパールイズミらしさを象徴するコンセプトと言えるだろう。
バイクもランもスポイルしない
自然なフィット感を求めて。
パールイズミは、今回開発にあたっていくつかの特徴とその方向性について、同社らしさをしっかりと出したコダワリの考え方をもっている。
まず、バイクとランのフォームが全く違うことへの考慮。背中の丸まったバイクフォームに合わせれば、ランでは、胸が突っ張ってしまう。ランに合わせればその逆ということになる。特に袖付の場合、腕の振りも気になるところだ。より自然なフィット感を高めるために、その「加減」をトライアスリートでもある社内のパタンナーが調整している。
次に素材についてはどうだろうか。UV対策や速乾性、バイクジャージよりはスイムウエアに近い、タイトフィットのため、肌へのケアも重要となるだろう。また、エアロダイナミクス効果のある素材も不可欠だ。その素材の配置も重要なノウハウとなる。そして、パールイズミの「真骨頂」とも言えるバイクパンツで培ったパッドにも素材、作りともに相当なコダワリを見せている。
(>>>#02「ついにベールを脱ぐPIトライウエア『AIR TRISUITS』編」へつづく)
※製品の詳細な機能について、さらに掘り下げた解説を掲載します。