#00 あのパールイズミのトライウエアが、帰ってくる。
取材・文/大塚修孝
パールイズミのトライアスロンウエアが、帰ってくるーー。
バイクジャージでは、その実績を説明するまでもないだろう。ジャパンブランドとして、最も日本人に合わせて作られているウエアだ。もちろん過去にはトライアスロンウエアをラインナップしていた。様々な理由により国内での展開は休止していたが(※)、2017年、再び、満を持してパールイズミのトライアスロンウェア(オーダーウェア=受注生産型チームウェア)がリリースされる。
すでにグローバルでは、パールイズミのウエアは、ITUエリートからアイアンマンプロまで多くのトップアスリートに使われている。先日の世界トライアスロンシリーズ横浜大会で優勝したフローラ・ダフィーのウエアもパールイズミだったことは、記憶に新しい。
※既製品では国内展開を休止しているが、オーダーウェアラインではトライウェアを開始当時から提供し続けている。
トライアスロンウエアへの参入は、当然、各メーカーが鎬を削る世界の中で、後発だからこそ担う使命は大きい。どのようなポイントにトライアスリートを満足させる機能をもたせるべきなのか? また、バイクジャージで築いた「パールイズミらしさ」をどこで見せるのか? その開発は簡単なものではなかっただろう。
トライアスロンウエアに求める機能とは何だろうか? 異なる三種目に対応させるという課題は、競技同様に難しい。あらためてそのポイントをまとめてみた。
Point①素材
トライアスロン特有の水陸両用のウエアとして適した素材を使用しなければいけない。スイム後の撥水性と速乾性、バイクでは、ランにも支障のないパッドが必要、ランでは、UV機能も求められる。
Point②作り
スイム、バイク、ランのそれぞれの動きに対応しなければならない。特にバイクのDHポジションとランでのフォームは大きく異なるため、どちらでも最適な動きとなるような作りが必要となる。
Point③着心地
着易さ、感触、そして、フィット性など、理屈ではなく、誰でも分かるそのポイントは、ウエアの命となる。特に胸周り、股上、腕や脚の袖口の締め付けなど、その商品のイメージに直結してしまう。
Point④高機能(エアロダイナミクス)
バイク走行において最も空気抵抗が大きくなる身体には、ウエアでの対策が必要となる。また、長時間のレースにおいては、疲労軽減などコンディショニング機能も重要なポイントとなる。
Point⑤アイテム
レースの距離、コース、時には、天候などの状況変化にも対応して、快適に走れるウエアが望ましい。袖付、袖無、そして、1ピース、2ピースなどそれらはレースに合わせてチョイスすることになる。
Point⑥デザイン
タイトフィットなトライアスロンウエアの場合、そのデザイン次第で印象は大きく異なってくる。まず、バイクのライディングフォームなど特殊な姿勢での使用を踏まえたうえでのデザインが必要だ。さらに、カラー、ロゴ、形状などを踏まえて、好みや望むデザインをウエア上で表現するには、専門のデザイナーや色の表現力、再現性が重要になってくる。
これらのポイントにおいて、「質実剛健」なブランドのDNAを受け継ぎ、かつ、ライフスタイルの一環としてこのスポーツを愉しむトライアスリートの欲求に応えるスタイリッシュさをもまとったのが、新しいPI (Pearl Izumi) TRISUIT だ。
この連載では、その開発ストーリーから、製品づくりのこだわり、そして、チームオーダーウエアとともに実現するトライアスロンの愉しみ方までを紹介していこう。
(>>>#01「Peak Your Performance」へつづく)