ただ速いではなく、はいていて楽しい。
河原の心をわしづかみにしたOn
日本のロングディスタンス・トライアスロンをめぐる長い歴史の中にあって、綺羅星のごとく輝くレジェンドアスリートたちが、今、こぞって「On」をはいている。伝説の英雄たちは、なぜ、勝利への相棒として「On」を選ぶのか?
第3回は、2008・2011年 宮古島王者、日本ロング選手権を制すること三度の河原勇人さんにご登場いただこう。
足の運びを導くのではなく、
どんな走り方にも対応してくれる
――昨シーズンからOnのシューズを実戦投入されていますが、Onブランドとの出会いは?
はき始めたきっかけとなったのは昨年の夏、沼津の(トライアスロン)駅伝。自走で(ランコースの)マーシャルをするということになったんですが、そのときにはく靴がないということになって、急きょOnのブースで、クラウドをお借りしたんです。
僕は真っ黒なマーシャルの格好をしていたので、クラウドのブラックをはいて走ったのですが、これがバッチリだったんです。それがきっかけとなり、はき始めることになりました。
――なんでまた走ってマーシャルを?
沼津はランコースが砂利道で、ロードバイクでは(ランコースのマーシャルが)できないので、「誰か走ってマーシャルできるやつはいないかー?」「あ、河原、行けるな!」という話になりまして。
――で、実際走ってみて、気に入ったと。どの部分が気に入ったのでしょうか。
私は、機能が多過ぎて、足をガチガチに固めて特定の方向に足の運びを導くといったタイプのシューズは好みじゃないのですが、Onのシューズは、どんな走り方にも、どんな路面にも対応してくれる。そこが一番気に入りました。
それに最近は移動することも多くなったので、そういうときにはいていても違和感のないデザインというところにも引かれました。
――すぐにレースではく決戦シューズに?
自分で買ってOnをはき始めた当初は、それ以外のブランドのシューズと使い分けていて、長い距離を走るときなどは長年はきなれたブランドのシューズをはいていたんですが、次第に実戦でもいけるなと確信がもてるようになってきました。
佐渡Aタイプ(初出場・初優勝)では、まだOnははいていなかったんですが、木更津トライアスロンなどはクラウドレーサーで走って、今年はほとんどOnがメイン(の決戦シューズ)になりますね。
クラウドフローが70.3(ミドル)とロング用。リラックスしたいときはクラウド。スタンダード(51.5km)、スプリント用にはクラウドフラッシュをはく。そういう使い分けをしていこうと思っています。
――決戦用には「クラウドフロー」と「クラウドフラッシュ」を選んだわけですね。
どちらのモデルにも共通して言えるのは、クラウドより反発力は高く、しっかり力はブレないけれど、ダブルメッシュアッパーが足を包みこんでくれる感じで、長時間はいていてもストレスを感じない点。
最初に自分でクラウドフローを購入したときも、ショップで数ブランドのシューズをはきくらべたんですが、クラウドフローが自分の足には一番いいなと、実感できましたね。
アキレス腱の故障に悩んだプロ現役後半。
今は「走るのが楽しい」
――クラウドフラッシュは?
東京マラソンのエキスポで世界先行販売されたんですが、現役時代よりも走力は少し落ちてきて、それでも速く走りたいと思ったときに試してみたら、ちょうどこのフラッシュがビビッときまして、すぐに買いました。
「超・決戦用」という位置づけで買ったのですが、軽いうえに、サポートもしっかりしていてやわじゃない。身体をしっかり守ってくれながら、前に進めてくれます。初めて実戦で使ったのは、WTS(世界トライアスロンシリーズ)横浜。パラトライアスリート中澤隆さんのガイドとして走ったときにはきました。
今年はこの後、皆生(ロング)、木更津(51.5km)、佐渡B(ミドル)に出場する予定ですが、皆生はクラウドフロー、木更津はクラウドフラッシュ、佐渡Bもクラウドフラッシュでいってもいいかなと思っています。
――プロとしての現役の後半は、アキレス腱など脚の故障にも悩まされていたと聞きますが、それも、今、Onを選ぶ理由とつながっている?
そうですね。(現役後半は)以前と身体の疲れ方とか、身体にかかる負担が変わってきたな、というのはありました。そのぶん、いろいろやり方を工夫はしたのですが・・・。
今は脚の違和感は全くなくて、走っていても楽しいですね。私にとってOnのシューズは、ただ速く走るという目的のためだけではなく、「はいていて楽しい」という良さがありますね。
Onに私の大切な心をガッチリわしづかみにされた感じです(笑)。
宮古島や佐渡で戦った
ライバルたちがOnをはく理由
――宮古島などで戦った松丸真幸さんや西内洋行さんらも、やはりOnを選んではいています。前回、松丸さんのインタビューでは、河原さんとの宮古島での名勝負についても少し触れさせてもらいましたが。
2008年大会ですね。先行する松丸さんを私が(ランで)追撃して、30㎞過ぎで追いついたんです。そこで結構並走して、空港のあたりで・・・。
――先輩王者、松丸さんからの一撃。「この俺をなめるなよ」、ですね。
私は松丸さんをホントにもう尊敬していますので、そう言われて思わず「はいっ!」と返事してしまったんですが、逆に・・・あの・・・ええ、そこでスイッチが入って(抜かしていきました)。初優勝の年の思い出です。
――昨年の佐渡A(やはり初優勝)では、ランで西内さんとも激闘を。
暑さがすごかったので、沿道で応援してくれていた(西内)真紀さんの応援が、「カワちゃん、頑張ってー!」から途中で「カワちゃん、無理しないでー!」に切り替わったという。初めての佐渡Aタイプだったのですが、ホントに大変なレースでした。
――そうした数々の名勝負を通じて、日本のロングをけん引してきた皆さんが、今こぞってOnをはいているというのは、偶然じゃないですよね。
指導をする立場になってから、みなさん限られた時間の中でパフォーマンスを上げつつ、ケガをしないように身体のケアをしていく必要がある。選手(専業)時代だったら、ある程度、治療やケアに専念できる時間がもてるんですけれど、仕事をもっていると、そうはいかない。
そういった中で、パフォーマンスアップだけじゃなく、身体をしっかり保護してくれて、毎日にワクワクをもたらしてくれる。Onのシューズっていうのは、やっぱりいいなと思います。
(Interview#04 へ続く>>>)
Hayato Kawahara
ロング日本選手権(佐渡)3連覇、全日本トライアスロン宮古島大会通算2勝など数々の好成績を収め、日本のロングディスタンス・トライアスロン界をリードしてきた元トッププロ。2014年シーズンでプロとしての現役引退を表明。現在はフリーランスのトライアスロン・コーチとして一般選手の指導を手がけるかたわらレース活動を続けており、2016年には佐渡国際トライアスロンAタイプで初出場・初優勝を果たしている。1977年、静岡生まれ。
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