全日本トライアスロン宮古島 第35回記念大会《レース前記者会見》
写真/小野口健太
35回目を迎える国内最高峰のロングディスタンス・トライアスロン「全日本トライアスロン宮古島大会」。レースを2日後に控えた4月12日(金曜日)、JTAドーム内で招待選手記者会見が開催され、男女通じて最多勝利数となる通算5勝が期待される鷲津奈緒美、久々の総合王座奪還を狙う戸原開人らが、決戦に向けた意気込みを語った。
前人未踏の「通算5勝」に王手の鷲津奈緒美が、本当に狙うもの
日本を代表するロングのトッププロとして2勝を上げた後、事実上、選手活動を休止。2017年の宮古島で8年ぶりにレース復帰・優勝後、連覇を果たし、通算勝利数を「4」まで伸ばした鷲津奈緒美。
今年のストロングマン戦線(優勝争い)で最も注目を集めるのは、彼女が前人未踏の「5」勝目を上げることができるか? この1点であることは間違いなく、今まで以上にプレッシャーのかかるレースとなりそうだが、
記者会見冒頭、「島に入って、今の心境は?」という恒例の主催者代表質問に対し――
「いつもレースの後に『丸吉食堂』のソバを食べたり、『もじゃパン』のパンを食べに行くのを楽しみにしているのですが、今日、早速、丸吉のソバを食べに行って、おいしかったので、次は『もじゃパン』を食べに行くのを楽しみにしています」
――と、島のソウルフード&人気店ネタで場を和ませる余裕を見せた後、レースプランや目標については、以下のようにコメントし、今大会は、ほかの選手との争いよりは、自らとの闘いととらえていることを強調した。
「スイムは最近心を入れ替えてトレーニングができてきたので、その成果が実感できたらうれしい。バイクはとにかく最後までプッシュして走るのが目標。そして、ランで今年こそ、最後まで走り切れたらいいなと思います」
「『自分にはロングが向いていないんじゃないか・・・』と思うくらい、毎年良いレースができていないので、今年こそ自分の成長を感じられるように、最後まで頑張りたい」
合同記者会見に先立ち行われたLuminaの独占インタビュー(※指導を受ける宮塚英也さんとの特別対談=7月号掲載予定)でも、「個人的には、実は『通算勝利数』などの記録に特別な想いはなく、目指しているのは、今まで一度も経験したことがない、自分自身が納得できる会心のレース」と語っていた、国内敵ナシの女王・鷲津。
約10年ぶりに、ふたたび指導を受けている宮塚英也コーチ(宮古島大会通算4勝)の記録を塗り替える5勝目を上げて、師への恩返し――というストーリーも魅力的だが、彼女自身が渇望しているのは、ただ結果としての勝利よりも、まず、自らとの闘いに勝つことのようだ。
また、海外招待選手としては、アジアを代表するトッププロのひとりとしてKONAにも出場したシャオ・ユー・リー(台湾)が宮古島初参戦。
「10年前このレースを知って以来、参加することが夢でした。今回夢がかなって実際に走ることができたのを楽しみにしています」と語る一方、「プロのときはシリアスにレースに挑んでいたが、プロは引退したので、今回はあまりシリアスにならずに沿道からの応援に笑顔で応えたり、レースを楽しみたい。また自分のプロとしての経験をほかの選手の皆さんと共有したい」と、今大会に参加する意味を説明した。
男子総合は、戸原開人の「王座奪還」に期待
女子の優勝候補最右翼が鷲津奈緒美なら、男子優勝争いでは、2度の優勝経験をもつ(2015・2016年)戸原開人が本命だろう。
2017・2018年に圧倒的な強さで連覇を果たしたディフェンディングチャンピオン、キャメロン・ブラウン(ニュージーランド)が今大会には不出場。当初参加が予定されていたウクライナの古豪ヴィクトル・ジムツェフも来日していないことなどを踏まえると、
8回目の宮古島参戦となる戸原が、ふたたび日本勢として王座を奪還し、大会3勝目をマークする可能性は高まっている。
「スイム、バイクともできるだけ前のほうでレースをしたいと思っています。僕はランが得意種目なので、バイク終了時点でビハインドが少なければ、かなり手堅いレースができて優勝できると思っています。宮古島は2回優勝した後、2回負けているので、敗北を重ねるのではなく、勝ちを手にしたいですね」(戸原)
「国内のレース、第1戦はいつもこのレースなので、今年も一年が始まるのだなと、そんな気持ちでワクワクしている」(戸原)
35年という節目の年のストロングマンは、男女ともに日本勢が王座をキープすることができるか?
4月14日(日曜日)午前7時にスタートするレースの速報は、LuminaのFacebookや、このWEBマガジンで随時お伝えする予定なので、乞うご期待。