KONA Challenge

KONAチャレ折り返し点のIMケアンズ、栄光への道はかくも険しく。

投稿日:2019年7月30日 更新日:


ルミナ編集部

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file.13 KONAチャレ折り返し点のIMケアンズ

2018年にスタートし、2020年までの3カ年でKONA(アイアンマン世界選手権)への出場権獲得を目指すKONAチャレ・メンバーにとっては、プロジェクトの「折り返し点」と言ってもいい2019年夏。総勢8人が参戦した2019上期再注目レース、アイアンマン・ケアンズ(以下IMケアンズ=6月9日・オーストラリア)で、手ごたえをつかむことはできたか?

3カ年計画の「折り返し点」でKONAへの手ごたえをつかめるか?

IMケアンズはアイアンマンシリーズのアジア・パシフィック選手権という位置づけもあってKONAスロット(出場枠)の配分も比較的多く、毎年多数の日本人選手が出場、KONA行きを決めている人もいる。

KONAチャレプロジェクトリーダーのTKこと竹谷賢二さんも、4月の宮古島大会でオフの仕上がりを実戦チェックした後、6月のケアンズでシーズン前半のピークパフォーマンスをつくってKONAスロットを獲得。シーズン後半10月のKONAに向けて、ふたたびピークをつくっていく――というのが、近年の必勝パターンとなっている。

KONAスロット数の多さもさることながら、海外アイアンマンの中では、日本との時差も少なく(+1時間)、成田や関空からの直行便も多く、空港からメイン会場へのアクセスも良い。

加えて世界のアイアンマンシリーズ戦の中でも屈指と言われる美しいバイクコースを誇るなど、遠征先として選ばれる理由がたくさんある。

アイアンマンシリーズ屈指と言われるケアンズの美しいバイクコース。適度にアップダウンもあり、走りごたえも十分(写真は2016年大会)

今年のIMケアンズには、TKのほか、KONAチャレからも8人のメンバーが参加。このレースをKONAスロット獲得のターゲットレースと位置付けるメンバーこそ少なかったものの、

3カ年プロジェクトの「折り返し点」ともいえる、この時期・この大会で目標達成のためのマイルストーン(中途目標)をクリアして、KONAスロット獲得への手ごたえを得たいところ。

TKと8人のメンバーは、以下の目標を掲げてレースに臨んだ。

2019 IMケアンズ
KONAチャレメンバー&TKの目標タイム
(カッコ内は年代別グループ)

《レギュラーメンバー》
永堀 悟さん(M35-39)9時間35分
菅野 高広さん(M50-54)10時間
岡田 健士朗さん(M25-29)10時間15分
中野 未奈子さん(W30-34)13時間27分

《フレンドメンバー》
★田所 隆之さん(M30-34)9時間50分
★横山 正尭さん(M35-39)9時間52分
★江夏 志門さん(M40-44)9時間52分
★森田 浩彰さん(M55-59)12時間30分

《プロジェクトリーダー》
★TK(竹谷賢二さん)(M50-54)9時間10分

初アイアンマンの洗礼と明確化された課題と。

KONA出場歴のないことが参加資格でもあったKONAチャレ。51.5㎞やIM70.3(ハーフアイアンマン)などのミドルで、レベルの高い成績を残し、ポテンシャルの高さを感じさせつつも、フルのアイアンマンディスタンス(スイム3.8㎞/バイク180.2㎞/ラン42.2km)は未経験というメンバーもいる。

今回のケアンズが初IMディスタンスというIMルーキーはフレンドメンバーの田所隆之さん、横山正尭さん、レギュラーの中野未奈子さんの3人。それぞれ、ある意味順当にIMの洗礼を受けた。

レースの舞台となるケアンズで合流したKONAチャレメンバー同士、いろいろな場面でお互いにエールを贈り、モチベーションを高め合った(写真左から永堀さん、岡田さん、横山さん、中野さん)

ここまで51.5㎞ではITU世界選手権出場を果たし、先のIM70.3柳州でも、KONAスロットにこそまだ及ばないものの、なかなかの好成績をマークするなど、トライアスロンデビュー以来、着実にステップアップしている感のある田所さんも、目標の9時間50分に対し、結果は10時間43分。

自分なりにピークを合わせて調整してきた初IMで、「総崩れ」と表現するほど、バイク&ランで苦戦し、「ほろ苦いアイアンマンデビュー」となった。

「バイクでもランでも潰れ、胃腸もトラブルを起こし、普段の動きをすることがここまで難しくなるものかと愕然としています。目標タイムからはほど遠く、初めての出場で狙った記録を出せるほど、アイアンマンの世界は甘くないということがよく分かりました」(田所さん)

しかし一方で、今後の目標に向けた「第一優先課題」が、より鮮明になったとも。

「バイクでもランでも潰れ、胃腸もトラブルを起こし、普段の動きをすることがここまで難しくなるものかと愕然としていますが、課題は明確で “バイクの時間耐性” が今後の第一優先。目標負荷で5時間こいでも余裕なくらいに鍛え直してから(アイアンマンに)再チャレンジします」と、決意を新たにしている。

初アイアンマン・初海外レースだった横山さん。海外遠征先でコンディションを整える難しさを実感した

同じくフレンドメンバーの中で、フルマラソンでロードマップに掲げた目標をクリアするなど、比較的順調にレベルの底上げをしてきた横山さんも、初IMに加えて、「初海外レース」という要素も加わり、実力を出し切れなかったと悔しがる。

「いきなり本領発揮してスロットとれるほど甘くはありませんでした・・・。海外レースだといくら疲れを抜いていても、レース直前の長時間のフライト、大きな荷物の持ち運び、現地の雰囲気、気候、慣れない食事等、避けられない要因で100%のコンディションはつくれないとわかったので、実力の8割を出せればKONAスロット獲れるように、底上げは必要になるかと思いました」(横山さん)

バイク事故から1年、再びKONAチャレのスタートラインへ

初IMではないが、ともにフルのIMディスタンスは2戦目の永堀悟さん、ケンケンこと岡田健士朗さんもまだまだ経験は浅く、試行錯誤中だが、それぞれに収穫もあった様子。

レース2週間前に納車した新車「NEW SHIV disc」でケアンズに挑んだ永堀さん

話題のNewバイク「SHIV disc」でケアンズに臨んだ永堀さんは、最速トライアスロンバイクとの呼び声高い新車のメリットを堪能しつつ、前回のIM台湾のバイクラップとの比較では17分の短縮に成功。

「(これまで乗っていた)先代のSHIVよりも走りがシャープでディープリムホイールをはいていても坂が上りやすく、脚に伝わる振動が少なく優しい。横風にも強い。乗っていて気づくと感覚よりもスピードが出てしまっていることが多々あるくらい。

コースも気象情報も違うので一概に比較できないが昨年の台湾のバイクコースもケアンズ同様、わりとアップダウンが少ない(なくはない!笑)という点、風が強いという共通点から比較するとタイム的には17分短縮できました」(永堀さん)

こちらは同じNEW SHIV discを実戦投入したTKのバイク

しかし一方で、やはりそのバイクパートが今後も一番の課題であることを再認識。「KONAを狙うならあと30分短縮が必要。今回はその目標を口にするのも恥ずかしいぐらいの結果で、完全に実力不足なんだと痛感しました・・・」と語るように、KONAへの道のりの険しさを、あらためて思い知らされたレースとなった。

また、今回、ケガからの復帰戦となったのがフレンドメンバーの森田浩彰さん。

KONAチャレ・スタート当初の2018年6月、バイクトレーニング中の事故で大腿骨骨折の重傷を負って入院。それでも、KONAへの挑戦をあきらめることはなく、ほかのメンバーからのエールも力に変えて、事故から1年後のケアンズでアイアンマン復帰を果たした。

「結果はさておき、ケアンズを完走できたことで、KONAに挑戦していくスタートラインには戻ってこれたんじゃないか? と思っています。何も運動してなかった私がランニングを再開したのは4年前の6月、事故ったのは昨年の6月、初アイアンマンも6月。私にとって6月は転換月です。ここからまた新しい自分への挑戦の始まりだと思って次のステージへ向かって行こうと思います」(森田さん)

2020年までのKONAスロット獲得という目標達成に向けた道のりは険しいが、挑戦を止めてもおかしくない事故からも立ち上がり、挑み続ける姿は、ほかのKONAチャレメンバーにも、大いに刺激を与えた。

写真右が森田さん。カーボパーティーで菅野さん(左)と

TK、アジアパシフィック年代別王者としてKONAへ

そして、宮古島大会と同様、KONAチャレメンバーに自らのパフォーマンスで、範を示したのがTK。

「海は荒れ模様、バイクは復路にかけて向い風強まり、ランは目まぐるしく雨、晴れがコロコロ変わり涼しいかと思いきや湿気で暑くなる展開」と、自身が振り返るとおりタフなコンディションの中、

タイム(記録)を狙うことに変に執着せず、着実にノートラブルを心がけ、やるべきことをやった結果、年代別優勝で文句なしのKONA行きを決めてみせた。

年代別1位で8度目のKONA行きを決めたTK(写真中央)

「(4月の)宮古島での脱水も頭をよぎったので、ペースは無理に上げすリズムのみキープ、後続との差を聞けて安心してフィニッシュしてIMケアンズ全体順位は27位。2018年(45位)、2017年(80位)と比べ明らかに速くなっていることが確認できた。

内訳としてはスイム615位で上がり、バイクで42位まで573人抜き、ランでも終始順位を上げフィニッシュ。

KONAでの表彰台を目指すと言っても差し支えないパフォーマンスが証明できたので、10月までトライアスロンにフォーカスしたスケジュールを組んでいきたい」(竹谷さん)

タフなコンディションに翻弄され、IMディスタンスへの対応に苦戦し、終わってみれば、このレースで当初掲げていた目標タイムをクリアできたメンバーはいなかった、2019年のIMケアンズ。

しかし、タイム自体が伸びないレースでも、しかるべき準備を積んで、事前の実戦演習(宮古島)での課題も踏まえて、当日の状況に応じてやるべきことをやれば、相対的な順位という結果で自ずと結果は出る――TKの模範スタイルを目の当たりにしたのを含め、次のステージへ進むために必要なことを明確化・具体化できたメンバーは多かったに違いない。

2020年までに、憧れのKONAを、現実のものに変えるKONAチャレンジ。

挑戦者たちの闘いは、まだまだこれから――。

TKが手にしたアジアパシフィック・チャンピオンジャージとKONAスロット獲得者に贈られる記念メダル。今季、このメダルを手にするふたり目のKONAチャレメンバーが出るか

IRONMAN Cairns 結果
※カッコ内は目標タイム。結果はアスリートトラッカ―上の速報値

★TK(竹谷賢二さん)(M50-54)年代別TOP
9時間31分(9時間10分)

★田所 隆之さん(M30-34)年代別24位
10時間43分(9時間50分)

★横山 正尭さん(M35-39)年代別38位
10時間45分(9時間52分)

★岡田 健士朗さん(M25-29)年代別19位
10時間55分(10時間15分)

★永堀 悟さん(M35-39)年代別50位
11時間04分(9時間35分)

★江夏 志門さん(M40-44)年代別75位
12時間02分(9時間52分)

★森田 浩彰さん(M55-59)年代別52位
13時間36分(12時間30分)

★中野 未奈子さん(W30-34)年代別29位
15時間46分(13時間27分)

※菅野 高広さん(M50-54)は残念ながらDNF

About KONA CHALLENGE
特別な人しか行けない「夢の世界」とされてきたKONA(アイアンマン世界選手権)。今までどうしても届かなかった人が出場するには、どんな要素が必要で、どんなアプローチをとればいいのか? 世界のどこにも明確な答えがないこの一大テーマに挑む、チャレンジ企画の最高峰。応募者約300人の中から選ばれた12人とフレンドメンバー20人が、2018~2020年の3カ年でKONA出場権獲得を目指す。

KONAチャレ公式WEBサイト
https://kona-challenge.com/
レギュラーメンバー12人の詳細プロフィールやトレーニング内容を公開中。

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◎「KONA Challenge supported by MAKES」オフィシャルHP

オフィシャルページでは、メンバーのトレーニング状況やピックアップコンテンツなどを随時更新しています。

◎MAKES

【サポート施設】
AQUALAB

流水プールを使ってインストラクターによるフォームの分析、プルブイを使用して20分測定を行う。
※メンバーの孫崎が実際に測定している様子はこちらから

SPORTS SCIENCE LAB

心肺能力(VO2MAX)、AT値、AT値でのフルマラソン適正ペース、ランニングフォーム評価、AT値での20分走タイムを測定。

R-body Project

ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(FMS)で体のコンディションを骨格のゆがみや関節の可動域などのポイントからチェックし、評価。

Endurelife

AT値で20分間バイクをこいだときの平均パワー/心拍数(PWR/HRT—AT値)、FTP(機能的作業閾値パワー/PWR/HRT—AT値20分の95%)の測定とフォーム、ペダリングについてのチェック&アドバイス。

-KONA Challenge

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