連載「アイアンマンいどみました。」
「下から目線」でお届けする、アイアンマン初挑戦・完走への道④
アイアンマンは、ミドルまでのトライアスロンとは別物。何が違うのか?★レース選定編
前回のアイアンマン初挑戦・完走への道③「続・すぐにIRONMANになれるのはこんな人だ!」はこちらから
アイアンマンを完走した人たちが示し合わせたかのように「(アイアンマンはミドルまでとは)全然違う・・・」というセリフを、遠い目をしながら口にします。そういうシーンにわたくしも、何度も出くわしました。
一体何が違うの?
なかなか具体的には語ってくれません。みんな語る以前にできてしまうから? そんな中、なんとか言葉にしてみました。
★アイアンマンは、人生において数えるほどしか出場できない特別中の特別なイベント。
51.5だったら、1シーズンに3回4回とレースに出場が可能です。10年で30~40回完走しろと言われたら・・・しかもミドルも織り込んで! と言われたら・・・なんとかできるかも。
でもアイアンマンは、身体のダメージやテーパリングのこと考えると、普通は(もはやここは「普通」の世界ではないけれど)、1シーズンに1回、出ても半年は空けて2回までが限度だと思います。
お金もですね、アイアンマンはかかります。そして将来的に51.5よりも先にできなくなる日が来るということは容易に想像がつきます。つまり、人生において数えるほどしか出場できないはずです。わたくしとしては、今のところ、人生で10回以上完走できたらいいなと感じています。
アイアンマンとは、そう易々と頻繁に出られるわけではない、特別中の特別な人生のイベントなんです。
★だから、自分と相性の良いレースを選ぶことが肝要。
どのコースも辛いなりに特徴があって、相性のよしあしがあります。年に1度の少ないチャンスです。アイアンマンルーキーや完走できるかどうかギリギリという人は、自分が苦手な要素が含まれているレースを避けて、完走できる可能性が高いレースをセレクトしていくことが重要になってきます。
例えば――
●淡水は沈む気がして苦手という場合は、湖や川のレースは避ける。逆に波が苦手という場合は、過去に荒れたことがある海のレースを避ける。
●ウエットスーツなしでは怖いという人は、水温が高くてウエット禁止になった前例がないかを確認する。
●バトルに不安がある場合は、一斉スタートのレースをさけて、ローリングスタートのレースを選ぶ。
●バイクが苦手な人は、できる限りフラットなコースを選ぶ。バイクが得意な人は、獲得標高が高いとしても、スイムやランがやりやすいレースを選ぶ。
●ランが苦手な人は、にぎやかな応援が後押ししてくれそうなレースを選ぶ。熱帯地方を避ける。
――ただ、これは、次回から突然変更になってしまうこともありますし、当日のコンディションにも影響されます。当たり前ですけどそれがトライアスロン。そういう覚悟をした上でエントリーしましょう。
自分の中で条件に優先順位をつけて、消去法で決めるのもよいと思います。わたくしの場合、何より時差が少ないということが最重要で、二番目は水質の良さ。淡水も結構好きで、バイクコースの獲得標高は、山岳コースでさえなければ・・・という感じ。
暑いのと寒いのとだったら寒いレースのほうがベター。アイアンマンって意外に寒いレースがありますよね。初開催地は過去の参加者の声を聞くことができないので避ける等々、しぼっていきます。もちろん、すべての条件を満たす大会なんてありませんから、最後は、エイヤ!っと、都合の悪い点から目を背けて、決めることになります。
何回かアイアンマンに出場したら、時差が少ないという条件をとっぱらおうかと思っています。そうなってくると一気に選択肢が増えて楽しいですね。あぁ、夢が膨らみます。
次回は「アイアンマンは、ミドルまでのトライアスロンとは別物。何が違うのか?★レース準備編」です!
■著者プロフィール
野中秋世(のなか・あきよ)
2001年オープンの老舗ネットショップ店長。三児の父。20歳から35歳まで無運動状態。2010年にトレーニング開始。2011年に独学でオリンピックディスタンス完走。マラソンやOWSを含めて33レース目でアイアンマン完走。タイムは14時間24分。著作に、運動オンチの素人がトライアスリートになるまでを描いた『トライアスロンはじめました。』と、ミドルディスタンス・海外デビュー編の『トライアスロンはまりました。』(共に誠文堂新光社)がある。