第33回 全日本トライアスロン宮古島大会
第33回全日本トライアスロン宮古島大会(4月23日開催)は、レース前々日の4月21日、招待選手記者会見が開催され、3連覇を狙う日本のエース戸原開人(湘南ベルマーレ)や、今大会を最後にプロとしての現役引退を表明している酒井絵美(ライムメンバーズ)、世界のアイアンマン(IM)・シーンの第一線で活躍してきたNZの英雄キャメロン・ブラウンら、国内外の注目選手が「にっぽん」ロングディスタンス最高峰の闘いを前に決意を語った。
日本人初の3連覇を狙う戸原に
ストロングマン史上「最強」の刺客
今年から新たな式典会場となったJTAドームでの記者会見に出席したのは、昨年大会の上位入賞者と海外からの招待選手の8人。ディフェンディングチャンピオンで、IM台湾・マレーシアでの表彰台入りで日本人としては久々のIM世界選手権出場への期待が高まる戸原は、「3連覇がかかったレースだが、それを意識しすぎず、一大会一大会ベストを尽くすという気持ちでレースに臨みたい」とし、「難しい闘いになると思うが、スタートを切ったら優勝することだけを考えて走りたい」と力強く語った。
昨年、宮古島での連覇で、押しも押されもせぬ「日本ロング界のエース」の座を確たるものにした戸原。3連覇で弾みをつけ、初挑戦となるIM世界選手権(コナ)へ――と飛躍を遂げたいところだが、その前に立ちはだかるのが、キャメロン・ブラウン。コナで2位2回、3位2回の戦績から「無冠の帝王」とも呼ばれた世界レベルの実力者だ。
通常、このクラスのトッププロが招待選手として宮古島大会に参戦する場合、「どこまで本気で臨んでくるか」が気になるところだが、1990年代、選手活動の拠点を日本に置いた経験をもつキャメロンにとって、宮古島大会は「いつか出てみたかったレースのひとつ」だったこともあり、思いのほか、本気度は高いかもしれない。
「日本のレースでの楽しみのひとつは、大好きな『日本食』。お好み焼きもカツ丼も焼きそば、寿司も好きなので、レース後は5㎏太るくらい好きなものを食べたい」と、どこか生真面目なキャメロン・ジョークを飛ばしつつも、
「心配なのはレース当日の天気。日本でのレースはいつもタフな闘いになることが多く、湿度(の高さ)が気になっていたが、当日はもう少し涼しくなるとのことなので、チャレンジしていきたい」と冷静に語り、勝ちにいく姿勢を見せた。
44歳のベテランとはいえ、自国NZで開催されているIMでは昨年、前人未踏の通算12勝を達成。この3月のIMNZでは13度目の勝利こそ逃したものの、僅差の2位に入り、その鉄人ぶりを世界に知らしめたばかり。世界での実績では、戸原を凌駕する格上の選手であることは間違いない。
28歳、宮古島から世界へと羽ばたこうとしている戸原が、過去32回の宮古島トライアスロンに参戦してきた海外招待選手の中でも「最強」の刺客を迎え撃つ――。
酒井絵美がプロ最終戦にかけるもの
今大会、女子選手の中で最も注目を集めているのは間違いなく酒井絵美だろう。
日本のロング界をけん引し続けてきた酒井は、プロトライアスリートとしての集大成となるレースとして宮古島を選んだことについて「トライアスロンを始めるきっかけとなった大会で、初めてのロング(出場)でもあった、思い入れの深いレース。その宮古島大会を(プロとしての)最後のレースとすべく、冬からトレーニングを積んできた」とし、
レースプランを問う、地元メディアの代表質問には、「毎年勝つためにどのようにレースを運ぶか戦略を考えてきたが、今回は何も考えず、スタートからフィニッシュまで全力を尽くすことのみを考えている。昨年やはりこの大会を最後に現役引退したタマラ(・コズリナ)選手のように、最後のレースで優勝できたら最高だ」と返し、節目となるビッグレースに臨む心境を表した。
酒井が今大会を制すれば、初優勝の2006年大会から数え通算4勝目。女子最多優勝記録を更新し、師でもある山倉紀子超えを果たすことにもなる。日曜日のレースには、その山倉紀子(‘現・東京ヴェルディコーチ)や、かつて宮古島の王座を分け合った盟友・鷲津(旧姓・今泉)奈緒美が同じスタートラインに立つ。それらの奇遇もあわせ、33回目のストロングマン女子は、酒井絵美を中心にしたレースとなりそうだ。
明日7時にいよいよ号砲! 予報では数年ぶりに晴天下でのストロングマンになりそう。いろいろ楽しみの尽きないレースになりそうですので、ネット速報&中継などなどで、チェックを!
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