稲田さんの身体を〝数値″で見てみよう
Vol.1では、稲田さんの普段のトレーニングから食生活、睡眠方法についてインタビューを行った。ここからは、13 人のアスリートが3カ年計画でIRONMAN World Championship(アイアンマン・ハワイ)初出場を目指すプロジェクトKONA Challenge(通称KONAチャレ)と連動して、数値でより詳しく解剖していこう。
稲田さんの存在は、企画をサポートしている株式会社MAKESがミッションとして掲げる「住環境づくり通じて、心と体の健康寿命100歳創りに貢献する」という理念にも合致する。
3カ月に1度メンバーが行っているサポート4施設で全く同じ測定を行った。
SWIM AQUALAB
肩甲骨の動きは 20代にも負けてない
スイムを担当するAQUALABは、最新鋭の流水マシーンを導入し、真上と真横の2方向から動画を撮影することにより、泳ぎを自らの目で確認できる。
インストラクターが動画を再生しながら、都度アドバイスをしてくれるので、頭で考えることと、身体を動かすことが直結しやすい。
参考までに稲田さんの2018年コナでのスイムタイムは1時間51分25秒(3800m)、宮崎のワールドカップでのタイムは42分57秒(1500m)。
まずはウォーミングアップを行い、フォームなどのアドバイスをもらってからインストラクターの和田泰仁さんが速度を設定し、プルブイを使って20分間の測定に入る。測定の目的は20分なるべく同じ速度で泳ぎ切ること。
「ウォーミングアップは0.9~1.0で設定し、測定では1.1で9分55秒まで、その後1.0に速度を下げて18分35秒からは、また1.1に上げましたが、まだ余裕がありそうですね」
【速度の目安表】
和田さんによると、稲田さんのスイムフォームの特徴は、「ヒザが外を向いているので、足が開いてしまうこと。そのままキックをすると身体全体のふらつきにつながるので、キックなどで足を寄せる練習をするといいですね。板キックは心肺機能の向上にも役に立ちますので、トライアスリートには取り入れてほしい練習法です。
また、右足をけるときに左ヒザが曲がり過ぎてしまい、それにともなってお尻が下がってしまう。左ヒザを曲げずに待つこととキックの幅を狭めてみましょう」というアドバイスをもらって実践すると明らかに改善されていた。
左ヒザが曲がり過ぎてしまい、お尻もさがってしまっている。「ヒザを曲げずに少し待ってみましょう」とアドバイスをもらって実践
和田さんの言葉を「意識して行った」という稲田さん。左ヒザが曲がり過ぎず、右足を待って粘っていることが分かる。
ヒザが開いてしまって、バタ足(キック)の幅が広く、ブレがち
板キックで軌道の修正を行った。「今までそこは意識したことがなかったけれど、これからは意識してやりたい」と稲田さん
測定時はプルブイを挟んで行う。下半身動きに少し課題があるだけに、プルブイで強制されると非常にスムーズな泳ぎ、姿勢に
「言われたことをすぐにできることは、実はとてもすごいことです。アドバイスを意識してすぐに体現できるのは、神経伝達が早いと言われている小学生や10代。80代でそれができることに驚きました。
それから、泳ぎ全体に言えますがとてもリラックスしていて、姿勢が真っすぐに保たれています。特に上半身、肩甲骨の動きがとてもスムーズで、だいたい男性はぎこちない動きをする人が多いのですが、肩甲骨の動きだけでいえば、僕の主観ですが、20代~30代と言ってもいいくらいです。測定はプルブイを付けて行うので、より安定して泳げていましたね」
日本選手権、日本学生選手権出場。現役時代はバタフライが専門で、高校時代までは自由形長距離にも取り組む。丁寧かつ的確な指導と優しい語り口で人気のインストラクター。現在指導している最高齢は70代の男性。トライアスロンを始めたい、とレッスンに通っているそ。1989年、兵庫県生まれ。
>>>インタビュー「86歳世界王者のトレーニング・食事・睡眠から学ぶこと。」
>>>スイム「肩甲骨周りの柔軟性は20代にも負けていない」《AQUALAB》
>>>ラン「最大酸素摂取量から見えた強さの秘密」《Sports Science Lab》
>>>バイク「競技歴はまだ16年、スキルアップの伸びしろだらけ」《Endurelife》
>>>ボディーコンディショニング「プロも驚く体幹の強さ」《R-body》
【4/28開催★KONAチャレEXPO】
ロングでKONAや自己ベスト更新を目指す人から、いつかレースデビューしたい!という人まで、トライアスリートの挑戦に役立つ”学び”と”気づき”の総合イベント。86歳のKONA王者・稲田弘さん✕TK(竹谷賢二さん)やKONA常連エイジのクロストークから、参加して・楽しめるワーク付きのセミナーまで、盛りだくさんな内容が、すべて参加無料で体験できます。
★詳細・エントリーはこちらから https://kona-challenge.com/expo/index.html
◎「KONA Challenge supported by MAKES」オフィシャルHP
オフィシャルページでは、メンバーのトレーニング状況やピックアップコンテンツなどを随時更新しています。
◎MAKES
https://makes-design.jp/