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ロング175戦、P・バブロセクが旅した世界のレース。

投稿日:2017年4月2日 更新日:


ルミナ編集部

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独立系レースの中で世界でも注目を集めているNORTHMAN(ノースマン)はバブちゃんもお気に入りレースのひとつ

特集「あなたにとって最高のトライアスロン体験って、何ですか?」

file.08 ピーター・バブロセクさんの場合

ロング175戦、ピーター・バブロセクが旅した世界のレース。

取材/東海林美佳

五島(長崎)や北海道で行われたアイアンマン(以下IM)ジャパンで活躍し、「バブちゃん」の愛称でもおなじみのチェコの鉄人ピーター・バブロセク(PV)。これまでに出たロングディスタンスのトライアスロンはなんと175レース。世界各国、ありとあらゆるレースを知るバブロセク選手に、印象に残っているレースやレースを選ぶ基準について教えてもらった。

——これまで体験したレースの中でトップ3を挙げるとしたら?

PV 175の中から3つに絞るのは本当に難しいけど、僕にとってのナンバーワンはやっぱりハワイのワールドチャンピオンシップだよ。プロカテゴリーで15年連続で出場してきたけれど、毎回新鮮な興奮を覚えるんだ。

ハワイはトライアスロン発祥の地でもあるし、あらゆるトライアスリートにとっての聖地。レースウィーク中の雰囲気は本当にすばらしい。レースコース自体はすごくハード。海にはうねりがあり、バイクコースでは坂と風と暑さと闘い、最後のランでも坂と暑さ、そして湿度に苦しめられる。

トライアスロンで世界を旅するバブロセクだが、No1はやはりコナだと話す ©Kenta Onoguchi

2番と3番はもう、選べないよ。175レースの中から絞るのは不可能。

世界中に素晴らしいレースはたくさんあるからね。アイアンマンならブラジル、南アフリカ、ランザローテ、フランクフルト、ウェスタンオーストラリア。チャレンジならロート、ワナカ、台湾などなど、名前を挙げたらきりがないほど。

IMシリーズの中でも好きな大会のひとつだという西オーストラリアには2016年にも出場 ©Akihiko Harimoto

独立系のレース(※1)もユニークなものが多くて面白いよ。イスラエルのイスラマン、チェコのモラビアマン、スロバキアのスロバクマン、プラハで行われるビッグマン、同じくチェコのウィンターマン。

イスラエルで開催されている独立系大会の雄「ISRAMAN」。荒涼たる砂漠地帯を行く

——ピーターさんが考える “いいレース”って? 個人的に重視するポイントは?

PV 一番大事なのは大会を作り上げている人たちの情熱だろうね。

主催者、ボランティア、沿道で応援してくれる地元の人たち。コースそのものの魅力ももちろん大事。僕自身は海でのスイム、起伏の激しいバイクコース、そしてやはりアップダウンのあるトレイルっぽいランコースのタフなレースが好きだね。

もうひとつ、僕がレースを選ぶ中で大事なのは、今までに自分が行ったことのない場所であること。できるだけ未知の場所へ行きたいと思ってる。

レースのために知らない場所へ行き、新しい友人ができて、異文化に触れる。それが、僕がこのスポーツを続けるモチベーションにもなってるし、目的のひとつでもある。

船の後部から冷たい海へドボン。NORTHMANはアメリカのエスケープ・フロム・アルカトラズも真っ青の個性的でタフなレース


——日本では、五島で行われたIMジャパン、北海道で行われたIMジャパンに出ていますが、日本の大会にどんな印象をもっていますか?

PV 日本の大会は大好きだよ。それぞれ表彰台に上がることができたしね。五島のアイアンマン(※現在はバラモンキングとして開催)は、1分の差でクリス・リエトに負けて2位になった。日本にはまたレースをしに戻って来たいと思う。

僕が魅了されるのは、それぞれの土地に根付く文化とそしてそこで味わう郷土料理だね。和食の朝食も大好きだし、刺身、寿司など日本食は何でも好きなんだ。

もし日本で他に面白い耐久レースがあったらぜひ教えて。招待してもらえればいつでも行くよ!

その土地ならではの食も、良いレースの条件と語るバブちゃん。プロもエイジもそこは共通?


——最近、7日間で7大陸でのマラソンを走る「ワールドマラソンチャレンジ」(※2)を2位で完走されたそうですね。

PV そうそう。先週帰ってきたばかりなんだけど、僕の予想をはるかに超えたすごい体験だったよ。信じられないほどタフで最高のイベント。まさに激動の1週間だった。

マイナス32℃の南極から33℃という灼熱のドバイまでという激しい気温変化と、時差ボケ、睡眠不足、飛行機移動中のリカバリーといった悪条件のもとで、ハイレベルの走りを7日間続けなきゃならないんだ。

始まってからゴールするまで少しも気を抜けないレースだったよ。7日間、7本のマラソンを走って2位の僕と3位の選手の差は10分もなかったんだから。こういうエクストリームなレースは世界を探しても他にないんじゃないかな。

南極・北極から、アフリカの砂漠まで、トライアスロン以外でも世界を走り、旅する


——今後はどんな大会に出たいと考えていますか?

PV 現在はウルトラマンという競技(※3)に目標を定めているんだ。2018年2月にフロリダ大会で資格をとって同年11月にコナで行われるウルトラマン・ワールドチャンピオンシップに出たいと考えている。

今はトレーニングと並行して、そのための資金集めやクルー探しを行っているところ。その雰囲気と会場にみなぎる熱気はアイアンマン以上だって聞いてる。3日間連日競技を続けるというチャレンジングな側面にも、すごく心を惹かれるんだよね。

〈文中注釈〉
※1 独立系のレース
イスラマン www.israman.co.il
紅海を臨むイスラエル最南端の街、エイラートを拠点に行われるアイアンマンディスタンスのレース。透明度の高い紅海を泳ぎ、海辺の市街地から一気に急坂を登り山を走るタフなバイクコースと10kmのダウンヒルから始まるランコース。美しく、そしてタフなレース。

モラヴィアマン  www.moraviaman.cz
チェコで最大のアイアンマンディスタンスレース。スイムは湖、全体的にフラットな高速コース。プラハやウィーン、そしてバブロセク氏の故郷ブラティスラバからも近い。リレーもある。

スロバクマン www.slovakman.sk
スロバキア最大のアイアンマンディスタンスレース。スイムは川。フラットな高速コース。

ビッグマン・プラハ www.czechbigman.cz
金曜の午後にはエクステラがあり、土曜の午前中からアイアンマンディスタンスのレースが始まるという2日間連続のユニークな大会。両方個別に参加することもできる。川でのスイム、高速道路を閉鎖したバイクコース、川沿いのランコース。プラハ市内で行われる。

ウィンターマン
エクストリームなアイアンマンディスタンスレース。8kmほど下流に向かって激流の川を泳ぎ、獲得標高4000mとなる国立公園内のバイクコースを走り、標高1000m超のイェシュチェト山の頂上がランのゴールとなる。

以上のレースに興味がある人はピーター・バブロセク氏へ(英語)。メール、または フェイスブックで連絡可能。

メール:petr@vabrousek.cz
フェイスブック:
www.facebook.com/PetrVabrousek

※2 ワールドマラソンチャレンジ
7日間、7大陸でフルマラソンを走り、その平均タイムで競う大会。南極からスタートし、走り終えたその日にジェット機で移動し、翌日は南米チリ、その翌日は北米マイアミと毎日移動しながらフルマラソンを走るレース。

※3 ウルトラマン
スイム10km、バイク515km、ラン84kmを3日間かけて走り切る、アイアンマンのウルトラ版。ハワイ島で世界選手権が行われる。日本人では2014年に宮崎康子選手が世界女王に輝いた。

■プロフィール
Petr Vabrousek(ピータ・バブロセク)
母国チェコスロバキアを拠点に世界中のトライアスロン大会を渡り歩き、ロングディスタンス・トライアスロンだけで通算175戦。IMトップ10入賞回数79回という世界記録をもつ伝説のプロトライアスリート。2000年代初頭にはIMジャパンやIMコリアで田村嘉規らと熾烈なトップ争いを演じ、気さくなキャラクターも相まって日本のトライアスリートの間でも人気者に。現在はプロトライアスリートとして現役を続けながら、北極マラソンや100Kアイスマラソン、ワールドマラソンチャレンジなどにも挑戦している。

©Akihiko Harimoto

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