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【トライアスロンLAB】個人スポーツでもチームで学ぶことって大事なの? 「スポーツ心理学で勝つ」トライアスロンチームVol.1

投稿日:2020年10月13日 更新日:


ルミナ編集部

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©Kenta Onoguchi

3カ月の集中レクチャーで意識が飛躍的に変わる!

トライアスロンLAB初の試みとして、3カ月にわたるレクチャーが実施された「スポーツ心理学で勝つ」トライアスロンチーム。チーム構築のプロフェッショナルである、スポーツ心理学博士の布施努先生が、初めて個人競技のチームを結成した。

オリエンテーションセミナーのほか、レクチャーは全部で6回。その他、フェイスブックグループ内で「宿題」が出される。また、推薦図書やオススメの動画、記事などがシェアされ、レクチャーがないときも常に学びの場を提供した。

今回は、第1期生として、4人が学んだが、今後も個人個人の目標に向けて「スポーツ心理学で勝つ」トライアスロンチームを継続していく予定。

どんな内容だったのか、オリエンセミナーの様子も含めて、3回に分けて紹介するので、興味がある人はぜひ、第2期メンバーとして参加を検討してみてほしい。

©Sho Fujimaki

Fuse Tsutomu 布施努
米国スポーツ心理学博士。スポーツ心理学の最高峰 ノースカロライナ大学グリーンズボロ校にて博士号を取得。米国五輪 組織やNFL数球団のメンタルコーチを務める世界的権威のDr.Gould を師とし、最先端のスポーツ科学をベースにフィールドでメンタルトレーニングを共に行える数少ないスポーツ・サイコロジスト。国内外で活躍中。また、大手商社にて15年間事業投資会社設立などに関わる。2019~2020年のシーズンでは、慶応義塾大学野球部、早稲田大学ラグビー部、桐蔭学園高校ラグビー部の3校を優勝に導く。優勝請負人。 http://t-fuse-sps.co.jp/

★参考ページ
スポーツ心理学で勝つチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCGrLwt2yYA81vD_dMIdOl7g

★布施努先生の参考記事
▶スポーツ心理学士布施努×TK(竹谷賢二)対談(Lumina#57掲載)
https://lumina-magazine.com/archives/news/18861
▶2019年KONAチャレEXPO「夢を現実に変える、メンタルトレーニング」
https://kona-challenge.com/monthly201909.html

《第1期の特典》
①修了証・修了記念品
3カ月学び切った後には「FUSE SPORT PSYCHOLIGY」オリジナルのステッカーと終了証がもらえて、自信になる!
②布施先生コラムライブラリへのアクセス権
Luminaで連載していたコラム(20回+特別回)が読み放題。チームレクチャーの予習・復習にも使える!
③最優秀賞に選出されたメンバーは、布施先生による個人コンサルティング受講
3カ月を通して布施先生が選出する「最優秀賞」を獲得する1対1で話が聞ける・話せる!
④ルミナ特別限定オンラインミーティング背景用画像
ここでしか手に入らないLuminaが誇るカメラマンによる美しいトライアスロンシーンの背景画像をプレゼント!
※オンラインセミナーの様子、FBグループ内の様子は、LuminaWEBマガジン内で記事公開予定。

スポーツ心理学とは?
学びの前に知っておくこと

《オリエンテーションセミナーより》

たとえば、オリンピック種目でも、陸上、水泳、卓球や体操など、個人スポーツと言えども、チームを意識させることがとても重要です。

個人競技なのに、なぜチームをもつのでしょうか? なぜならば、チームの意識をもったほうが、個人のパフォーマンスが上がってくるからです。

ひとりだと気づけないことがあります。だから、チーム、または何人かで集まってやることが必要なのです。
チームを作るというのは、僕の特異分野ですが、今まではある特定のチームだけやっていました。

やはり、時間や場所などの物理的制約があるので、それしかできなかったのですが、今は、不幸中の幸いとでもいうべき、実際に集まることができなくても、Zoomやオンラインのいろいろなツールを使って、できることの幅が広がりました。

今回の「スポーツ心理学で勝つ」トライアスロンチームもそんなところから着想しました。僕と一緒に、もっと選手が成長できる場所を作っていきましょう!

チームで学ぶ神髄は
超積極的なコミュニケーション

この「スポーツ心理学で勝つ」トライアスロンチームのレクチャーは、いわゆる「メンタルのトレーニング」として、皆さんがイメージしているものとは、別物だと思います。

決められたことを一方的にレクチャーでやるわけではなくて、考えていること、悩んでいることなどいっぱいあると思います。それを、チームの中で共有しながらみんなで理解していきます。そうすることで、ひとりでやるよりも、経験値がグングン上がっていきます。
ひとりだと、1年くらいかかってしまうことがチームであれば3カ月でレベルアップできます。

個人のパフォーマンスを上げるには、内面性のトレーニングが必要です。これは言い換えれば考え方のトレーニングです。どういう風に目標を使っていったらいいのかをトレーニングしていきます。

個人競技のトライアスロンですから、もちろんベテランからビギナーの方、いろいろなレベルや年齢の方がいると思います。

そういった人たちが、一緒にトレーニングできるのがこのチームの特徴です。そのほうが、良いトレーニングになっていくのは間違いありません。自分の中だけで考えると、想定内のケースしか思い浮かびませんが、客観視したときに全く違ったことが浮かび上がることがあります。

©KentaOnoguchi

スポーツ心理学で得られるスキル

スポーツ心理学で得られるスキルは、「プレッシャーの中でのパフォーマンス」「答えの分からない中での問題解決」「成功と失敗のハンドリング」「さまざな熱量を作る」「目標を達成するための柔軟な思考」「自分を正しく評価する」などとにかくたくさんあります。
言葉だけでは分からないものもあるし、言葉だけでなんとなくわかるものもあるかもしれませんが、スポーツ心理学を通じて、トライアスロンのパフォーマンス向上を図ると、これだけのスキルが身に着きます。

具体的にはレクチャーで紹介しますが、これだけ見ても興味を持ってくださる方もいるのではないでしょうか?

ライバルの存在を
自分のコントロール下に置く

チームということを考えると、「ライバル」というのがとても良い存在になります。ただ、うまくライバルを作れるかどうかが難しいとこです。たとえば、ライバルに対する考え方や想いが強過ぎてしまうと、相手のことばかりを考えてうまくパフォーマンスが上がってきません。そこで、ライバルという存在を自分に良い刺激になるように、うまく自分自身でコントロールすることが必要になります。

ここでスポーツ心理学的な考え方を一つ紹介しましょう。ヨコ型比較・タテ型比較という考え方です。ヨコ型とは、他人と自分を比べるということ。タテ型とは、自分の中での比較のことです。それができて初めて、ライバルととても良い関係性になることができます。

自分の中での成長率を基準とすることで、他人がやっていることに執着することがなくなります。まずは、他人との比較ではなくて、今の自分と2週間後の自分、もっと先の自分、など自分の中で比較していくというスキルを身に付けます。これもレクチャーを経験してもらうことでコツが分かり身に着けることができるようになります。

©KentaOnoguchi

チームの特徴としては、
①内的なフィードバック 自分で考えてくる
②外的なフィードバック 僕(または仲間)からフィードバック

この2つがあることです。そうすることによって、自分から楽しいから、やるという練習ができるようになります。そういったことが、スポーツ心理学では起きます。

この5つの段階のどこの段階にいる方でも参加できます。どんどん自分の深さが増していくので、そこで、いろいろな人からの刺激が大事になってきます。

チームでやる意味がなんとなく分かっていただけましたでしょうか? ぜひ一緒にチームを作っていきましょう。3カ月後が楽しみです。

《質疑応答》

トップアスリートはなぜあんなに追い込めるの?

参加者■オリンピアンとかの練習を見ていると、限界までの追い込み方がすごいですよね。倒れるまで追い込む。速い人はそういう傾向にあると感じています。でも自分はきついなというときの8割くらいでやめてしまうんです。

布施先生■これは、自分がどこを目指すのか、というのがあります。人間には、リミッターがあるので、それを破るかどうか、ということです。たとえば、スケートの短距離はそれを破りに行きます。ただ、ここまでやろうとすると、危険です。オリンピアンたちが追い込めるのは、いろいろな人たち、コーチやサポートメンバーが綿密に計算した中でトレーニング・競技しています。

皆さんにオススメしたいのは、今の自分よりちょっとだけ上を狙うというやり方です。できれば2週間くらいで改善が見られるくらいのところを目標にして、それを狙っていく。いきなりのトップアスリートの真似をするのは危険です。自分のちょっと上を狙い、クリアすればまたちょっと上を狙う。これで十分に記録は伸びてきます。

自分が目指すところに到達するためには、今の自分を把握することが大事です。5~8%くらいの感じで伸ばす、心地良くチャレンジしていきましょう。

苦手種目は得意種目でカバーすれば問題なし?

参加者■トライアスロン自体は楽しいからやっています。でも、各種目で考えると、スイムが苦手です。なので、スイムの練習自体はやらなければならないからやっています。スイムが向上しても競技全体に占める時間が少ないので、バイクに費やしたほうがいいと思ってしまいます。苦手種目は他の種目でカバーすればいいのかな、と考えていますがどうなんでしょうか?

布施先生■それは、やはりどこまで目指すかによって決まってきます。まずKONAを目指すなど明確にやりたい目標を考えてみてください。そこから逆算すると、「スイムはこのままじゃだめだな」と思うときが来ると思いますが、そこが勝負所です。単に自分に必要だと思うからやるトレーニングではなく、自分にとって価値あると思えたときが、必要性を本気で自分で感じたときです。

バイクとランで競技成績が伸びてきて、欲が出てくる場合は、スイムと向き合う。スイムをレベルアップするために、練習方法を習得し、自分でいろいろと試してみる、たくわえを増やしていく。そうすれば、自分がその段階にきたときに、その知識を生かすことができます。

まだすぐには自分にとって価値があると思えないかもしれませんが、そのときがきたら、ぜひ今日のことを思い出して実践してみてください。

緊張を逆手にとってパフォーマンスを上げる方法ってあるの?

参加者■緊張するとパフォーマンスが落ち、力が抜けて、身体が動かなくなります。それを逆手にとって、良いパフォーマンスに導く方法はありませんか?

布施先生■ここで、ひとつとても重要なことを皆さんにお伝えします。「緊張は悪いことじゃない」ということです。一番ダメな日というのは、緊張しているときではなくて、ダラッとした日、緊張感がないときではないでしょうか。

緊張には強度があって、自分の心地良い緊張内でいたいと思うはずです。それを越してしまうと動きがとても悪くなります。

スキル、技術というのは、どんなときも割と変わらないものです。初歩的ですが、自転車に1回乗れば、乗れなくはなりませんよね。その上でパフォーマンスをどう出していくか、と言うことになります。

レース中でも、スキルは変わらないけれど、パフォーマンスには変化があります。たとえば、暑いというだけでパフォーマンスが上がらない場合もあります。パフォーマンスが上がらないと、狙っていたレースだと特に焦ってきます。そこから、挽回しようとして、頭の中での情報量が度を越してしまうと、フリーズ状態、過緊張、頭が真っ白になってしまいます。

これは、自分の今のパフォーマンスに比べて、やろうとしていることのレベルが高過ぎるからです。レベルが高いし、やることが増え、情報量が多くなっている状態です。いかにこの許容量を超えないか、それには捨てる技術が必要になってきます。

だから、たとえばタイムの目標が達成できない場合は、その目標達成可能なものに変えていって、今のパフォーマンスとミートさせるスキルが必要なります。
簡単な課題でも、それをクリアしていくと、成功体験として脳が判断します。タイムは達成できないから、淡々とリズムを刻む、と目標を変えれば、それができている(成功例になる)と、不思議とタイムも挽回していけるものなのです。

最初から最高の状態のことと、うまくいかないときにどうするんだという状態の対処方法を考えておきます。

うまくいかないときの対処法としては、「いつでもどこでも自分ができること」を作っておくことです。それをノートに書き出したり、チームで共有したりすることで、対処方法を作るという思考回路ができてきて、対処するスキルができてきます。

悩んでいる仲間に自分のやっていることを整理しながら伝えられることができるので、アスリートにとって言語化することは大事です。相手も良くなるし、自分もよくなってくるので、そこがチームでやる良いところでもあります。

©KentaOnoguchi

布施先生は、オリエンテーションセミナーで、個人競技でもチームで学ぶことで得られるスキルについて具体例を出しながら紹介してくれた。

ここの質疑応答のやり取りでも分かるように、布施先生は現場で指導するスポーツ心理学博士なので、瞬時に質問に対する的確なアドバイスをしてくれる。先生も言うように、決して一方的なレクチャーではないことが分かってもらえただろうか。

Vol.2は、実際にレクチャーの様子を参加者の話も交えて紹介する予定。

ワークショップ、セミナー、トークショーなどさまざまコンテンツをほぼ毎日開催している「トライアスロンLAB」についてはコチラをチェック!

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