KONA Challenge

脂肪燃焼効率を上げる AT水準を高めよ! RSLABがランの測定・評価をリニューアル

投稿日:2020年10月26日 更新日:


ルミナ編集部

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アスリートの現状と可能性を解析し
より戦略的にパフォーマンス向上をサポートする

RSLAB(ランニングサイエンスラボ)はKONAチャレ発足当初から、ランニングの測定・評価を通じて、 メンバーのパフォーマンス向上をサポートしてきた。 今回、筑波大学・同大学院でスポーツ科学を研究してきた三津家貴也さんがスタッフに加わり、最新のスポーツ科学理論による、新しい測定・評価方法が導入されたという。そこで三津家さんに新しい測定・ 評価方法の概要と、メリットについて話を聞いた。

コメント=三津家貴也 文=原 修二 写真=小野口健太 取材協力=RUNNING SCIENCE LAB


三津家貴也 Mitsuka Takaya
高校から陸上を始め、中距離選手としてインターハイ出場。筑波大学(体育専門学群)・同大学院(人間総合科学研究 科体育学専攻)でスポーツを科学的に研究しながら選手として活動。現在RSLABでこれまでの研究と選手経験を生かし、測定・評価方法の改善、アスリートのサポートに取り組んでいる。日本選手権・全日本実業団選手権などに出場する現役アスリートでもある。1995年、熊本県生まれ。

©KentaOnoguchi

アスリート1人ひとりの可能性を科学的に評価する

これまでRSLABではKONAチャレメンバーのVO2MAX(最大 酸素摂取量)、AT値※(ATの心拍)、AT値走速度(フルマラソンの適正ペース)、AT値20分の走行距離を定期的に測定してきた。

これによってメンバーは自分の有酸素運動能力について客観的な数値 データを得ることができ、レースでどのくらいのペースで走ればいいか、 自分の課題がどこにあり、どう強化していくべきかなどを考えるための参考にすることができた。今回の測定・評価方法はこれまでのものとどう違うのだろうか?

三津家■AT値というのは分かりやすく言うと、糖を急激に使ってしまうようになる運動強度の境目です。AT値を超えない強度で走れば、糖を節約して長距離を走りきることができます。これまでRSLABでは、このAT値を高めることがパフォーマンスを高めることとほぼ同意義であると考え、これによりアスリートの成長度を評価してきました。

今回のリニューアルでは、この考えをベースにしつつ、AT値をVO2MAX ・AT水準・ランニングエコノミーという3つの要素から総合的にとらえ、アスリートの現時点での成長度だけでなく、可能性まで数値化し、客観的に評価できるようにしました。数値を見える化したことで、KONAチャレメンバーはじめ、計測している方は自分の成長具合が分かりやすくなったようです。

ATレベルがMAXの何%なのかは人によって違う

三津家■3つの要素のうち「AT水準」とは、その人のATレベルがVO2MAXの運動強度(心拍で言えば最大心拍時の強度)の何%かを表す指標です。 一般的には80%くらいの人が多いようですが、人によってAT水準が70%の人もいますし、90%の人もいます。

数値が高いほど、追い込んだ状態を維持できるということになります。これはメンタルな根性とか頑張りではなく、脂肪燃焼効率や持久系の筋力などがどれだけ開発されているかといった、完全にフィジカル要因によって決まります。

可能性から言うと、AT水準が低い人は、まだ上げる余地、伸びしろがあるということですし、高い人はもうそんなに上げる余地がないということになります。

AT水準が分かれば 強化戦略の精度が上がる

三津家■AT水準が低い人は、ロングジョグやペース走など低強度・中 強度運動を多く行うことで、脂肪燃焼効率や持久系の筋力などを向上させ、AT水準を上げることができます。 体内の糖質量が下がっている朝や食事から時間が空いているタイミングでトレーニングすると、さらに効果的です。

AT水準が高い人は、すでにこうした持久系の能力が限界に近いところまで開発されているので、さらにパフォーマンスを上げるためには、高強度の有酸素運動 VO2MAXを高める必要があります。

©KentaOnoguchi

長い競技ほどAT水準が重要な指標に

三津家■陸上では、中距離のように短い持久系競技のトレーニングは、AT値を決める3つの要素のうちVO2MAXとランニングエコノミー が重要で、AT水準をあまり重視し ませんが、マラソンのように長い競技は、AT水準が非常に重要になります。

トライアスロン、特にアイアンマンのように長い競技では、このAT水準がさらに重要だと考えています AT水準は、VO2MAX を測定するのと同様、走りながら呼気の酸素濃度の変化を測定し、その数値を基に計算します。

自分のAT水準を把握すれば、自分の課題や可能性がどのようなものかが、数値で分かりますから、インターバル、ペース走、ジョグなどさまざまな強度のトレーニングをどれくらいやったからいいのかが明確になります。

真剣にパフォーマンス向上を目指 しているトライアスリートで、まだこうした測定・評価をやったことがない人には、ぜひ測定してほしいですね。 自分の感覚や経験も非常に重要ですが、客観的なデータとすり合わせることで、より判断の精度を上げることができると思います。

※ATとはAnaerobic Threshold、有酸素運動と無酸素運動の境界

脂肪燃焼効率No1は牧野星さん

©KentaOnoguchi

KONAチャレメンバーで言うと、牧野星さんは脂肪燃焼効率がいいですね。ただ、もともと糖代謝が高かったので、トレーニングに加え、食事も改善し、かなり努力された結果です。牧野さんの面白い(素晴らしい) ところは、食事の糖質量をコントロールして、あえて増やしたり減らしたりしたうえで、数値の変化はもちろん、フォームの違いや体調の良し悪し、パフォーマンスについてなどを感覚としてしっかり感じ取っていることです。それにより「こうすると失敗する」「こすれば体調が良い」 ということを実証し、実感されています。(RSLAB代表三田裕介さん)

牧野さん関連記事>>>https://kona-challenge.com/monthly202004.html

>>>KONAチャレ過去掲載記事を読む

◎「KONA Challenge supported by MAKES」オフィシャルHP

オフィシャルページでは、メンバーのトレーニング状況やピックアップコンテンツなどを随時更新しています。

◎MAKES

【サポート施設】
AQUALAB

流水プールを使ってインストラクターによるフォームの分析、プルブイを使用して20分測定を行う。
※メンバーの孫崎が実際に測定している様子はこちらから

RUNNING SCIENCE LAB

心肺能力(VO2MAX)、AT値、AT水準、AT値でのフルマラソン適正ペース、ランニングフォーム評価、AT値での20分走タイムを測定。

R-body Project

ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(FMS)で体のコンディションを骨格のゆがみや関節の可動域などのポイントからチェックし、評価。

Endurelife

AT値で20分間バイクをこいだときの平均パワー/心拍数(PWR/HRT—AT値)、FTP(機能的作業閾値パワー/PWR/HRT—AT値20分の95%)、フォーム、ペダリングについてチェック&アドバイス。

-KONA Challenge

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