©Sho Fujimaki
目の前に広がる光景は、これまで登山で見てきたものとはまったく違っていた。2009年「夢高原かっとび伊吹」、人生初のトレイルラン大会。地元の滋賀県と岐阜県にまたがる、標高1377ｍの伊吹山が舞台だ。当時20歳。幼少期から続けていた空手で培った体力には自信があった。しかし年齢が倍以上の人にも抜かされていく。
「きつ過ぎて、二度と出るものかと思いながら走っていました。でもゴールしたときの達成感や、山頂から見た景色がとても印象的で、非日常的な感覚を味わいました。そこからは勉強をそっちのけで、どはまりでしたね」
それまでは周囲の同級生と同じく、「京都に生まれたかったな」などと、都会への憧れを抱いていた。スポーツショップの店頭で偶然出合ったトレランがきっかけで、生まれ育った滋賀県の偉大さに気づいた。アウトドアの聖地。トレランを楽しむフィールドには事欠かない。現在は、山岳を駆け登り下る「スカイランニング」のなかでも、中距離の「スカイカテゴリー」（※）に重きを置いて、競技活動に取り組む。
走りの集中を妨げない補給戦略
レースでは1秒を争う場面も少なくない。持参する補給食は、ガス欠にならない必要最低限だ。摂るタイミングも40分おきなどと時間を決めるのではなく、走りの集中を妨げない場面を優先する。無駄をできるかぎり省き、補給食の種類や回数をなるべく減らしたい。そのような状況下で、エネルギー120㎉とマグネシウム50mgを同時に摂取できる、マグ・オンのエナジージェルが重宝する。
「補給をすることで集中力が途切れてしまいます。装備もシンプルにしたいですし、補給食を取るためにポーチに手をもっていく回数も減らしたいんです。成分はもちろん大事ですが、マグ・オンのエナジージェルはとにかくおいしい。特にレモンとグレープフルーツが好き。どんなに効果があっても、口に合わなければ摂れません。足のけいれんは何度も経験していますが、エナジージェルにもマグネシウムが含まれているのはありがたいです」
特に汗をかきやすい夏場のレースでは、マグネシウム200mg含有の顆粒タイプも活用している。距離などにもよるが250mlや500mlのボトルの水に溶かすほか、空のボトルに顆粒だけを入れ、水が足りなくなった際にエイドで補給して摂取する。
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- トレランコーナでは、お客さんのさまざま悩みを解決する山本さん
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- スーパースポーツゼビオイオンモールKYOTO店に並ぶMag-on
スポーツショップ店員として
トレランランナーの課題も解決
スカイランナーともうひとつの顔が、スーパースポーツゼビオイオンモールKYOTO店（京都府京都市）のスタッフだ。もちろんトレイルランのコーナーを担当する。訪れるお客さんとコミュニケーションを取りながら、十人十色な課題を解決できるアイテムを勧めるように心がけている。
「たくさんのお客さんに出会って、『大会で良い結果が出ました』などと聞くと励みになります。自分も頑張ろうとパワーをもらっています。アジア選手権としても行われる、9月の蔵王でのスカイレースで結果を残すのが、今シーズンの大きな目標」
その土地ごとに、雰囲気が異なるのが山の魅力だと語る。初めて出る大会や行く山が大好き。まだ見ぬ景色を追い求める日々は、これからも続く。
＜文中注釈＞
50km未満または優勝者タイムが5時間未満のレース、あるいはその両方。コースは遊歩道、トレイル、堆石、岩や雪（アスファルト率が全体距離の15％未満）にまたがる。その中で、最小距離20km以上で優勝者タイム3時間未満などものを「スカイレース」、最小距離30km以上で優勝者タイム5時間未満、最小でも2000ｍの獲得標高差（5%誤差までは許容誤差）を「スカイマラソン」と定義（日本スカイランニング協会ホームページから引用）
＞Mag-on UNION Vol.2 サイクルポイント オーベスト 西谷雅史編はこちら
【プロフィール】
山本大賀さん
スカイランナー／スーパースポーツゼビオイオンモールKYOTO店スタッフ
京都外大西高出身。トレイルランナーとして競技に打ち込むかたわら、スーパースポーツゼビオイオンモールKYOTO店に勤務する。2014年熊野古道トレイルランニングレース優勝、2016年スカイランナージャパンシリーズ（スカイクラシック部門）7位、2016年12月のAsian Skyrunning Championship MSIG Lantau50で5位。1988年、滋賀県生まれ。
