BODY CONDITIONING COLUMN

運動によるお腹のダメージを抑える、ふたつのアミノ酸とは?

投稿日:2021年1月25日 更新日:


ルミナ編集部

text by:

©Kenta Onoguchi

トライアスリートが再認識したい「アミノ酸」のハナシ〈後編〉

味の素KKがこれまでの研究成果に基づくアミノ酸についての最新知識をまとめて、随時更新しているWEBサイト「アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ」から、

特にトライアスリートが知っておきたい基礎や、注目したい最新知識の一部を紹介する特別企画、その後編 ――

>>前編の記事を読む

なぜ運動によって「お腹のダメージ」が起こるのか?

長時間のトレーニングや、ミドル~ロングなどのレースで、お腹の調子を崩してしまうというのはトライアスリートの間では、よく聞く話。

運動のダメージが筋肉のハリや炎症だけでなく、こうしたお腹へのダメージにもつながることはトライアスリートの多くが実感しているところだと思うが、

このお腹へのダメージにより、カラダ全体の炎症がさらに悪化して疲れを感じやすくなり、パフォーマンス低下につながるというメカニズムもわかっている。

ハードな運動で、お腹(胃や腸など)にもダメージ(炎症)が起こると、お腹を守る働きが下がってしまう。

これは、運動により腸の粘膜で並んでいる細胞と細胞の間に隙間ができてしまい、腸内の異物(細菌や細菌が作る毒素)が、血液の中に入ってくるためで、

この状態に陥ってしまうと、血液によって異物が全身に回ってしまうため、カラダ全体の炎症をもっと悪化させることになる(下の図)。

その結果、コンディションが低下し、疲れやすくなり、目指しているパフォーマンスを発揮しにくくなるのだ。

運動によるお腹のダメージを抑える、ふたつのアミノ酸

こうしたお腹へのダメージを軽減し、カラダ全体が受けるダメージを防いでくれるのが、アミノ酸の『シスチン』と『グルタミン』。

『シスチン』は、カラダを作っている20種のアミノ酸のひとつであるシステインがふたつくっついたもので、さまざまなストレスから守ってくれる働きがある。

『シスチン』には、酸化ストレスによって生じる腸のダメージを抑える効果があることが分かっている。

『グルタミン』は、20種類のアミノ酸の中でも一番多いアミノ酸だが、ハードな運動をすると大量に使われる。また、免疫力を高めたり、胃や腸などの粘膜を守る働きがあることも知られている。

この『シスチン』と『グルタミン』を一緒に摂ると、ハードな運動をしたときにお腹を守ってくれることが期待できるというわけだ。

実際、『シスチン・グルタミンミックス』がお腹を守ることを調べたデータもある。成人の男性が『シスチン・グルタミンミックス』を毎日続けて摂るグループと、このアミノ酸を含まないものを摂るグループに分け、運動した時に起こるお腹のダメージがどのようになるかを調べたところ(下の図)、

アミノ酸を含まないものを摂ったグループでは、運動による腸の粘膜のダメージやお腹を守る働きの低下が見られた。しかし、アミノ酸を摂ったグループでは、それらの変化が抑えられていた。

冒頭で触れたような、長丁場のレースやトレーニングでお腹の調子を崩してしまうトライアスリートはもちろん、いつもグッドコンディションを保ち、より良いトレーニングを積み重ねて、レースでも期待通りのパフォーマンスを発揮していきたいならば、

日頃からのケア、コンディショニングのひとつとして、『シスチン・グルタミンミックス』が大いに役立ちそうだ。

レースや練習中、糖質のエネルギー利用を助けるアミノ酸もある。

レースやトレーニングなど、運動中に適宜、糖質を補給することがパフォーマンスをキープする上でいかに重要かは、トライアスリートなら誰もが実感・体感していることだろう。

また、食事やエネルギー補給食・飲料などによって摂取した糖質から、グリコーゲンを作り、筋肉・肝臓の中に蓄えられているグリコーゲンとともに、運動のエネルギーとして使われることも多くのトライアスリートが知るところだろう。

©Kenta Onoguchi

カラダに蓄えることができるグリコーゲンの量には限りがあり、長い時間、ハードな運動をすると、途中でグリコーゲンを使い果たしてしまう。

そうなると、エネルギー源が足りなくなってしまうため、十分なエネルギーが作り出せなくなってしまう。これが、トライアスリートをはじめとする持久系スポーツの終盤でスタミナ切れやバテが起きてしまう原因のひとつ。

つまり、グリコーゲンをカラダの中に多く蓄えられるようになれば、終盤までしっかりパフォーマンスを発揮できるようになるのだ。

そこで、味の素KKが注目したのは、アミノ酸の『アラニン』と『プロリン』。

このふたつのアミノ酸は、糖質からグリコーゲンを作る働きを高めるという研究結果が報告されている(下の図)。

このような働きを持つ『アラニン』と『プロリン』を糖質と組み合わせた『アラニン・プロリン配合糖質ミックス』は、糖質からより多くのグリコーゲンを作り、このグリコーゲンからグルコースを少しずつ供給することで、運動中の血糖値を下げないことを狙って、考え出されたものだ。

実際、運動前と運動中に、『アラニン・プロリン配合糖質ミックス』を摂ることで、運動中のパフォーマンスがどのように変化するかについて調べた結果もある(下の図)。

このテストでは、男子大学生がサッカーのゲームの始める前とハーフタイム中に、『アラニン・プロリン配合糖質ミックス』を摂り、試合終盤(後半30分時点)、20メートルのダッシュを繰り返し、どのくらいの距離を走れたかを測った(「Yo-Yoテスト」といい、持久力を測る方法のひとつ)。

その結果、『アラニン・プロリン配合糖質ミックス』を摂ったグループは、終盤を想定した時間帯の走れる距離が約110mも長くなっており、パフォーマンスを長くキープすることができた。

日々の持久系トレーニングや、長丁場のレースの最後までパフォーマンスをキープしたいトライアスリートにとっても、これは注目すべきメリットだろう。

このように、20種類あるアミノ酸には、それぞれ役割があり、トライアスリートとして期待できる働きがある。

アミノ酸を摂ることの重要性を「何となく・大づかみに」ではなく、より詳しく理解した上で摂取していけば、さらにレースでのパフォーマンスを高め、良いトレーニングを積み重ねるための疲労管理を高いレベルで実現させていくことができそうだ。

>>今回紹介した内容やさらに詳しいアミノ酸とスポーツの話は、下記サイトでチェック!

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