あたらしい10年に、つくり始めたもの・語り始めたこと。
写真=小野口健太
2010年に誕生した「On」(オン)。トライアスリートの間でもファンの多いスイスのパフォーマンスブランドが、次の10年に入り語り始めていることとは一体何か?
創業期から国内展開を手がけてきた駒田博紀さん(Onジャパン代表)に訊いた。
2010>>2020
基点であり核で在り続ける「Cloud」
「次の10年」を語る前に、まず先の10年を振り返ってみると、今あるモデルのほとんどすべての基点はクラウドにあるという点に思い至ります。
ブランドの最初の一足はクラウドサーファーで、少し遅れてクラウドレーサーということになるんですが、当時のOnはまだ新しそうだけれど、ニッチなブランドでしかなかった。
それが2014年にクラウドが登場したことで、急にいろいろな人にはいてもらえるようになったんです。
クラウドを中心にパフォーマンスランニングシューズとしてのOnの人気モデルを図式化してみると下のフローのような感じです。
まずクラウドサーファーが生まれ、クラウドレーサーが2012年、そのあとにクラウドが出て、次の代表作がクラウドフロー、クラウドフライヤーと続き、そのふたつのいいとこどりみたいな感じで、クラウドスイフトが出てきました。
クラウドフローのような反発力と自然な、流れるように前に進む感じと、クラウドフライヤーの安定感、両方を兼ね備えたようなモデルがクラウドスイフトなわけです。
一方、クラウドレーサーとクラウドの良さを併せもったのが、クラウドフラッシュ。そしてクラウドブームへと続くイメージです。
クラウドは常に中心にある。
クラウドをレースで使ってくれた人がその感覚の延長としてクラウドフローが好きというのは、すごく納得します。たとえばトライアスリートで、日常生活や普段のトレーニングではクラウドをはいているけれど、ロングのレースなどで、もう少し真剣に走るときは安定感がほしいのでクラウドフライヤーを選ぶ、というのは理にかなっているなと。
クラウドが好きだけれど、もう少し反発力がほしい場面でクラウドフローをはく人も相当多いと思います。
クラウドスイフトも含め、この4モデルが形成する「ダイアモンド」は僕の中ですごく重要なのですが、Onジャパンでは今年「もう一度クラウドの良さを見直そう」というのが活動の一大テーマになっています。
やっぱり「Cloud」。
その理由とは?
Onの世界展開をリードする三大マーケット、スイス、ドイツ、アメリカでは、クラウドはもはやランニングシューズというだけに止まらず、ありとあらゆる人が日常的にはいている「エブリバディーズシューズ」「エブリディシューズ」といった位置づけです。
クラウドはそうした土台として普及・定着していて、その上にほかのモデルが積み上がっているイメージです。
日本はおかげさまで成長させてはもらっているものの、まだその段階には至っていないので、あらためてクラウドの良さを知ってもらい土台を立て直して、そこからの派生モデルを知ってもらいたいなと。
今後、5年、10年先を見据えたとき、「Onって、どんなシューズ?」と聞かれて、誰もが具体的なイメージとして思い浮かべる一足、そんなヒーロープロダクトになりうるのはクラウドしかない。僕はそう思っています。
トライアスリートにも、ほかのモデルからOnをはき始めて、まだクラウドをはいたことがない人もいると思いますが、そうした方にも、ぜひ一度はいてもらいたいですね。
クラウドの良い点は、レースではいてもいいですし、応援する人がはくにもいいという点です。実際トライアスロンの会場などで、クラウドをはいて長丁場の応援を楽しんでいる人をよく見かけます。選手と応援者が同時にはける。そんな靴って、ほかにないんじゃないかと思うんです。
「家族にプレゼントしてすごく喜ばれた」というフィードバックをよくいただくのもクラウド。普段ばきにしていても、ちょっと運動しなくなったら、走れる。そういう生活に寄りそうような一足です。
みんなにランニングの良さと、ランニングがある生活の楽しさを、さりげなく感じとってもらえるようなブランドでありたい――。
Onは、そうした想いで約10年前に元トップトライアスリートのオリヴィエ・ベルンハルドらが立ち上げたブランドですが、クラウドは、その10年の歩みが凝縮されていて、その想いを最も体現している一足だと思うんです。
問:Onジャパン
TEL:050-3196-4189
www.on-running.com