COLUMN HOW TO

TKが実戦経験&データもとに教える「200㎞TT攻略のポイント」

投稿日:


ルミナ編集部

text by:

今年3月に開催された第1回大会に続き、11月7日開催の第2回大会でも200㎞TTに参戦したTK。前回記録より10分以上早い4時間37分35秒で完走している ©Kenta Onoguchi

超持久戦の200㎞TTで
ベストを発揮するコツとは?

1周回5.7kmの自動車テストコースを使ったノンドラフティング(集団走行禁止)ルールのタイムトライアル(TT)レースとして2021年3月に誕生した「しろさとTT200 powered by パラチノース」(以下、しろさとTT200)。

整った一定条件の周回コースを100㎞なら18周回、200㎞なら35周回、エアロポジションをとってノンストップで走り続けられる、唯一無二の長距離TTレースとして好評を博し、2021年11月7日には第2回大会が開催された。

同12月24日には第3回大会(3月20日開催)の申込受付がオープンし、100㎞・200㎞の部は即日完売するなど、ますます人気が高まっている。

第1回大会に続き、2回大会にもゲストライダーとして200㎞TTに参戦したTKこと竹谷賢二さんが、前回の参加経験&データに基づいて語った「200㎞攻略のポイント」とは?

参加者に向けた事前のオンラインセミナーの一部を、ご紹介しよう。

©Kenta Onoguchi

竹谷賢二(TK) Kenji Takeya
マウンテンバイク競技(XC)のオリンピアンで、 現役引退後はトライアスリートとしてKONA(アイアンマン世界選手権)に8年連続出場・完走。数多くのトライアスリートの指導を手がけるとともに、自らもKONAでの年代別入賞(表彰台)を目標に掲げ、トレーニングとレベルアップのための試行錯誤・自問自答を繰り返す日々。今回の「しろさとTT200」にもゲストライダーとして参加し、200㎞を4時間37分35秒(前回4時間51分42秒)で快走している。

春・秋の実力定点観測が楽しめる
自動車テストコースでの200㎞TT

TK 3月の第1回の感想は「思った以上に楽しかった!」ということ。最近はZwiftなどをやっている方も多いと思いますが、そんなインドアライクなアウトドアでの実走。ずーっと同じような安定したコース環境の中を、同じ姿勢で走り続けるという、ほかではできない経験ができるイベントです。

天候さえ悪化しなければ、3月と11月、気温などの条件はほぼ同じですので、春秋の自分の走り(実力・トレーニングの進捗)を比較する楽しみもあると思います。

長距離TT攻略のPOINT❶
時間計画を立てよう

TK まず、自分がどのくらいで走り切れるだろう、という時間(フィニッシュタイム)のイメージを立ててみてください。それによって補給や休憩をどのように入れていくかが人によってかなり変わってきます。

第1回の記録や、前回参加された知り合いからの話でもいいので、「大体自分はあの人と同じくらいかなぁ」とか、6時間、7時間、8時間、どのくらいかかりそうか、大まかな計画を立ててみましょう。

こちら(下のカコミ)は第1回大会(200㎞TT)の「フィニッシュタイム分布」です。

フィニッシュタイム分布
(第1回200kmTT/完走58人)

▼5時間切り 6人 10%
▼5時間半 12人 21%
▼6時間 17人 29%
▼6時間半 9人 16%
▼7時間 7人 12%
▼8時間 7人 12%

★6時間 平均33.4km/h目処が多い
=およそ160W・34km/h、1〜2回ストップ

©Kenta Onoguchi

大体5時間半~6時間といったあたりがボリュームゾーンで、「6時間・平均時速33.4km」あたりが平均的なところとなります。

このタイムで完走するには、1~2回の休憩を入れることを想定すると、およそ平均時速34㎞くらいで走らなければなりません。

路面が良いコースなので、目安としては大体160Wくらい出ていれば時速34㎞で走り続けられるかと思います。

こうしたデータなども参考に自分のフィニッシュタイム予想(運動時間の目処)を立てて、それをもとにペース配分、トイレ・休憩のタイミング・頻度、補給の量を考えます。

休憩を入れる計画であれば、補給食やドリンクをそのときに補充できるので、その頻度によって、バイクに積んだり・携行する補給食・ドリンクの量も変わってくると思います。

長距離TT攻略のPOINT❷
ペース配分

TK ペース配分についてはパワー(出力)を指標にペース配分していく「パワーペーシング」の観点から説明しましょう。

下の表が私の前回のデータです。

少し抑えめで入っていくと、ちょうどいいのですが、最初は「抑えめ」だと思っていても、終盤にはこれを維持するのが段々つらくなってくるものです。

前回の自分のデータを見てみると、平均ラップは8分20秒なのですが、最初の1周目(入り)のラップタイムは8分7秒と、やはり抑えている意識でも、若干速いペースになっているのがわかります。

一番速かったのは20周目、風などの条件もありますし、100㎞TTの選手が入ってきて、全体的に流れが速くなった影響もあるかもしれません。

逆に一番遅かったのは26・31・33周目。終盤に落ちやすくなっているのがわかりますが、全体で見たペースの変動幅はこのくらいでしたので、

次のフィニッシュタイム予想・ペース配分を考えるときに「このくらいの変動はあるな」というふうに想定できるわけです。

ちなみに後半・終盤は、出力(パワー)こそ維持できているものの、心拍数は徐々に上がってきて、身体の負担が相当たまってきていたことがうかがい知れます。

大体26周目だと150㎞を越えたあたりで、「あと50㎞、1時間以上走るのか・・・」と精神的にも辛い時間帯だったと思います。

©Kenta Onoguchi

●ペース配分のポイント

TK 第1回大会を走った経験を踏まえ、ペース配分のポイントを大きく6つほどまとめてみました。

★抑え気味に入る

とにかく抑え気味に入ることが望ましいです。

特に200㎞TTは「長い」ので、最初の50㎞くらいはウォーミングアップ、当日の調子を見たり、ペダリングのリズム感とか、フォームを整えるつもりで走るくらいで、ちょうどいいでしょう。

最初の50㎞でペースをつくったら、それ以降、150㎞くらいまでは、ひたすらそれを繰り返していく。量産、コピー&ペーストしていくようなイメージです。

150㎞を越えた後は、しんどいので、それまでと同じ気持ちで走っているとペースは右肩下がりで、どんどん落ちていきます。ここからは「ペースが下がっていかないように頑張ろう!」と強く意識して、頑張りましょう。

頑張ってもペースが上がりませんので、ここでキープできる余力を残しておくという意味で、それまでの150㎞抑えていかなければならないわけです。

★後半ケイデンスを保つ努力を

後半になるとパワーが下がってくるのですが、何が下がってくるかというとケイデンス(ペダリング回転数)が落ちがち。私の場合、93回転/分から88回転まで低下しています。

回すのがしんどくなってケイデンスが落ちることは織り込み済みながらも、回転数が下がり過ぎたり・上がり過ぎたりしないよう、できる限り「一定でキープ」を意識しましょう。

35周回するので、1周の中で、どこでケイデンスが下がりやすくなるとか、変速のポイントなど、どこで何が起こるかが把握できると思いますので、それも踏まえて、しっかりケイデンスを保つことを意識していきましょう。

長丁場のTTでは、とばせる(高いスピードを出せる)人ではなく、同じことを効率良く繰り返せる人が速いわけです。

★ペースラインに入る

自分とペースが合う人の後ろのラインに入ると、少し負担が減らせます。10ⅿ(ドラフティングゾーン外)あけても5~10Wくらい負担が減らせますので、自分とペースが合っているなと思ったら無理に抜かすのではなく、少し余裕をもったくらいのペースで後ろを走ったほうがお得な場合が多いです。

抜きつ抜かれつしていると疲れますし、ペースの合う誰かと一緒に走っているほうが集中が高まりますので、

前の人の後輪と、自分の前輪の間の距離を(路面の)白線などをもとに計りながら、しっかり車間をキープする。これを意識しながら走ると、割と集中が保てます。

あくまでも余裕をもってついていけるペースラインに乗ることが大事。無理してついていくラインに乗ってしまうと、負担が高まっていってしまいますので要注意です。

©Kenta Onoguchi

★フォームを保つ

これはエアロフォームを保つという意味です。前はしっかり見なければいけないけれど、その中で、頭の位置を下げたり、肩幅を狭めたりして空気抵抗を抑えたい。

この上半身のフォームだけでも10~20W、1割くらいの負担減を図れますので、工夫のしどころです。

完全に下を見るのではなく、前をしっかり見たままアゴの位置を下げるように頭の位置を下げるだけでも大分違います。自分の身体の可動域に応じて、できる限り頭の位置を下げて走れるフォームをとりましょう。

ダンシングを入れることは有効ですが、上り坂など、スピードが下がるときに入れること。スピードが出ているところでは、なるべく身体は小さいまま。この点を押さえるだけでも、ラップタイムは変わってきます。

©Kenta Onoguchi

★単調なので「上の空」に注意

景色も、一緒に走っている人も、パワー・ケイデンスも同じ(一定)なので、非常に「単調」です。

長さ・辛さもあいまって、ボーっとしてしまいがちな時間帯も出てきますので、そこは要注意!

疲れもたまってきますし、水分やエネルギー不足でも、ボーっとしてくることはあります。

かと言って、ずーっと集中しているのも疲れてしまいますので、適度なリラックスと集中を織り交ぜながら走りましょう。

よく「自分と向き合う」という表現を聞きますが、しっかりメンタルコントロールして、そのときどきの自分の集中度や身体の状態を客観視しながら走るといいのではないかと思います。

ラップごとのタイムの差をチェックしたり、毎周回同じところでしっかり変速を入れるなど、途中途中に頭を使う作業を入れたり、ほかの選手が乗っているバイクやホイールなどの装備を観察してみたりすると、気が紛れて、結果的に集中が切れずにすむと思います。

★辛ければピットイン

トイレなど我慢するとメンタル的にまいってしまいますので、我慢しないこと。

また、全く脚が動かなくなってしまった場合は、止まってストレッチをしたほうがいい場合もありますし、一度、仰向けに寝そべって脱力してみると回復したりする場合もあります。

ただし、補給の積載(携行)量自体は1~2回のピットインで済むくらいのつもりでいたほうがいいと思います。

しろさとTT200のピットにはトイレのほか、補給食やドリンク、着替えなどのスペシャルニーズバックが置けるスペースがある ©Kenta Onoguchi

長距離TT攻略のPOINT❸
補給

TK 長丁場のTTではもちろん大事な補給戦略については、第1回大会前にも、その組み立て方を提案・解説しましたが(>>参考記事)、今回は第1回大会での経験を踏まえ、よりシンプルに、以下3つのポイントをくくり出してみました。

★カロリー/水分/ミネラルを考える

エネルギーをとるのはもちろん、発汗で失われる水分・ミネラルを補うことも忘れてはいけない。大きくはこの3つをしっかり必要量とっていくことを考えましょう。

★時間当たり必要量をもとに、フィニッシュ時間での合計量を求める

時間あたりに必要なエネルギー量×かかる時間で、用意する補給食・ドリンクの量を導き出していきます。

★携行できる量によって、ピットインのタイミングも計画

前記のとおり用意すべき補給食・ドリンクの量が計画できたら、自分のバイクに載せられる量(ストレージの大きさ・数など)や、ウエアに入れられる量(ポケットの形状・大きさなど)を確認しましょう。

オンラインセミナー資料より

一度に搭載・携行できる量によって、ピットインの頻度やタイミングも決まってきます。

私の場合は、今回、第1回に出場した際、ガーミンで200㎞TTでの消費カロリー・水分量をチェック。これをもとに時間あたりの必要エネルギー量/水分量を、あらためて検討しました。

完走目標で、ある程度時間をかけて走る計画の人は、おにぎりなどの固形食を「リフレッュフード」としてピットに置いておき、休憩時にそれを食べてリフレッシュするのを楽しみに、頑張ってペースを保つというのも良い手だと思います。

私自身もピットインはしないものの、バイクウエアのポケットなどにリフレッシュフード(食べたいモノ・おやつ)を用意しようかと思っています。

長丁場のTTにも最適。
植物由来の持続エネルギー源「パラチノース」

パラチノースは、ゆっくり吸収される持続性エネルギー源としてトライアスリートやサイクリスト、ランナーなど持久系のスポーツシーンで注目されている植物由来の糖質。

ほかのエネルギーとの併用もオススメで、今回のロングTTや長丁場のトライアスロン、マラソンなどにはうってつけのエネルギー源だ。

パラチノースの特徴

◎安定したエネルギー供給
◎長丁場の最後までパフォーマンスをサポート
◎すっきりした飲みやすい味(甘すぎない)

こうしたメリットの多さから、トライアスロンやマラソンなどのランニング、サイクルスポーツの世界でも注目され、認知度が高まってきた。

期待できるメリットが多いからか人工的な合成甘味料と勘違いされることもあるが、砂糖やブドウ糖と同じ「糖類」の一種で、てん菜(甜菜)由来、つまり天然のエネルギー糖質だ。

砂糖やブドウ糖、トライアスリートにもおなじみのエネルギージェルにも含まれるマルトデキストリンなど「一般的な糖」との違いは「吸収スピード」。

「一般的な糖」が素早く吸収されるのに対し、パラチノースは、カラダにゆっくり吸収され、持続性が高い。さらに、脂肪と糖質エネルギー両方をうまく使えるようなメリットも。

素早く吸収されるエネルギーと、ゆっくり吸収されて・長く使えるエネルギーを、あわせて摂れると、安定的なエネルギー供給ができる。

©Kenta Onoguchi

今回の「しろさとTT200」では、参加賞として、そのパラチノースを単体で摂れる「ピュアパラ」(スティックタイプ20g×4本)、

パラチノースを配合した「リポビタンJELLY for Sports」1袋が参加賞として提供された。

粉末タイプの「ピュアパラ」は、水に溶かして飲むのはもちろん、スポーツドリンクなどにプラスしても問題なく、甘みも強すぎないので、TKをはじめ多くの参加者が、今回のレースでも活用していた。


ピュアパラ
(スティック1本20Kcal×10本入り/980円・税込)
パラチノース単体で摂れる「ピュアパラ」。持ち運びやすい20gのスティックタイプ。使いやすいチャック付きスタンド袋入りの1kgパッケージ(1,980円)もある。

リポビタンJELLY for Sports
(1袋180gあたりのエネルギー:200kcal)
運動時のエネルギー摂取とあわせクエン酸、ビタミンB1・B2・B6なども素早く摂取できるゼリー飲料。すっきり飲みやすいマスカット味(果汁10%未満)

TKが「しろさとTT200」や、トライアスロンなどで愛用している補給食「チャレンジャー」や、当日イベント会場で販売されていたEnemoti(エネもち)など、パラチノースが配合されたエネルギー補給飲料・補給食のバリエーションも増え続けている。

チャレンジャー
パワードリンク

(1個280Kcal/270円・税込)
水500mlに溶かして飲む粉末ドリンク。


Enemoti(エネもち)
(1個145~156Kcal※フレーバーにより異なる/270円・税別)
くるみ入りの餅をベースとした和風テイストの補給食。くるみ餅、塩餅、甘酒餅がラインアップ。

 

-COLUMN, HOW TO

2 interest


コメント

メールアドレスが公開されることはありません。


スパム対策のため、 日本語が含まれない欧文のみのコメントは投稿できません。


関連記事

【記事】サイドバー上

記事用jQuery

cloud flash記事バナー