IRONMAN70.3
World Championship
Lahti
IM70.3世界選が開かれた
ラハティって、どんな街?
2023年8月26・27日にフィンランドの湖水地方ラハティで開催されたアイアンマン70.3世界選手権(Swim1.9km/Bike90.1km/Run21.1km)。日本からもプロカテゴリーの上田藍選手や、各年代のエイジグルーパーが参戦した。
Triathlon Lumina #91(11月号)では、その日本代表たちに同行取材した旅烏こと作家・トライアスリートの謝孝浩さんのリポートを掲載している。
ここでは誌面リポートの一部と、記事内ではカバーしきれなかった観光面の情報などを紹介しよう。
文・写真提供=謝 孝浩(旅烏)
Takahiro Sha
a.k.a Tabigarasu
1962年長野県生まれ。アラ還の寅年男。トライアスロン歴20年を超えたにもかかわらず、相変わらずバイクが大の苦手。極度に身体が硬い、腰痛持ち、おっちょこちょい。最近は膝痛も。四重苦を抱えながらも、トライアスロンライフをこよなく愛す。
■旅烏のコミュニティサイト(練習日誌公開中。チーム員も随時募集中!)
http://www.triathlontrip.com/
湖水地方南端、スポーツの街「ラハティ」
2023年のアイアンマン70.3世界選手権は、フィンランドのラハティで開催された。
2020年、パンデミックで中止の後、その影響で2021・2022年はアメリカのセントジョージで開催。ラハティは開催地を毎年ローテーションしていく従来の形に戻った最初の大会となった。
この町は、フィンランドの湖水地方の南端に位置し、首都のヘルシンキから100㎞ほど北に位置している。
今回、旅烏は世界選手権に出場する選手に同行する形で、フィンランドに降り立った。このラハティでは、2018年からアイアンマン70.3の大会が開催されているし、さらに北300㎞に位置するクオピアでは、フルのアイアンマンも開催されている。
日本のトライアスリートにとっては、旅費や時間の関係で、北欧のフィンランドのレースを選択肢に入れること自体、ハードルが高いかもしれない。しかしながら世界選手権という特別なレースだからこそ、61人もの日本人のエントリーがあり、日本語の競技説明会も大会スケジュールに組み込まれていた。
トライアスロン一色、湖畔の町
ラハティに入り、まず感じたのが、北欧らしい清々しい空気。蒸し暑い日本の夏とは、まったく違う。朝晩は何か羽織らないと寒いと感じるほどだった。
清廉な感じは、気候だけではない。ゴミひとつ落ちていなくて、町自体が清潔感溢れる雰囲気なのだ。2021年にはEUのヨーロッパグリーン首都賞に輝くほど環境に優しい町でもある。
またノルディックスキーの世界選手権などが開催されるスポーツの町としても世界的に有名だ。3基のジャンプ台は、レースコースのあちこちから見えて、シンボル的存在になっている。
クロスカントリースキーなどウインタースポーツのフィールドが充実しているだけでなく、MTB、ロードバイク、ハイキング、トレッキング、カヌーやサップなど湖水地方の自然を満喫するアクティビティが目白押しだ。
レースウイークには、町の中はアイアンマン一色に染まっていた。人口12万の町にトライアスリートだけでも6000人。家族などを入れたら関係者の数は膨大だ。地元の人もトライアスロンの大会があることを広く認知していて、町をあげて歓迎してくれる。
▶レース詳細リポートはTriathlon Lumina #91 2023年11月号に掲載
日本から参加した選手たちのコメント
ラハティ、北欧レースの風景。
スイムアップ後、希望すれば、ボランティアがウエットスーツを脱がしてくれる。まるでバナナの皮のようにスルリと剥けることも。「スイムアップした時に、ボランティアの女の子たちにウエットスーツを脱がしてもらいました。初めての経験でした。ボランティアも応援も地元の人たちが温かかったですね」(光明宏之さん M55-59)
北欧カルチャーを、愉しむ。
ラハティ、夏の風物詩
ジャンプ台下のプール
ラハティの夏の風物誌といえば、ジャンプ台の着地地点に出現するプール。レース期間中は、アイアンマンの選手に向けて専用レーンができる。多くのトライアスリートが練習していた。水面から仰ぎ見るジャンプ台は、それは壮観。このプールで泳いだことが旅烏にとって、今回の旅の中で最も記憶に残る体験だった。
本場フィンランドのサウナで整う。
フィンランドといえばサウナ。スタート会場のすぐ近くのサウナに挑戦。サウナでは、一緒になった人と会話をするのがフィンランド流。「ジャパンにサウナはあるか?」の質問が多かった。汗だくになり火照った身体を冷やすのは、目の前の湖にドボン!湖水地方ならではの経験は、忘れられない思い出に。
湖水観光はクルージングがオススメ
湖水観光にはクルージングがおすすめ。スイムアップするT1の近くの港から乗船し、点在する島の自然や湖畔の人の営みを楽しみながら進路は、隣の湖へと繋がる運河へ。運河の途中には、閘門(コウモン)が設置されていて、水位を変えるシステムを間近で見ることができるのが興味深かった。フィンランド料理が並ぶバイキング式の夕食付きで、55ユーロ。
フィンランド料理で有名なのが、サーモンスープやトナカイのステーキ。ヘルシンキの伝統料理を出すレストランで勧められたのが、熊肉の煮込み。「ベリーソーズをかけて召し上がれ!」伝統衣装を身に纏った女性がサーブしてくれた。さまざまな種類のベリーが敷き詰められたベリームースのデザートも美味だった。
フィンランドのデザインは洗練されている。お菓子のパッケージひとつにしてもお洒落。比較的安価でお土産の選択肢として最適だ。通の間のトレンドは、オーガニックチョコ。お土産物の中でも特に喜ばれた逸品。一方、サルミアッキという「世界一まずい飴」というのもあるので、送る人は限定されるが、話題には事欠かない。ただし強烈な味なので注意!
フィンランドの地ビールを楽しむのなら、首都ヘルシンキにある醸造所がおすすめ。併設するバーでは、小さいグラスで効きビールをすることもできる。このバーでもレースを終えた多くのトライアスリートが4種目めを楽しんでいた。
北欧の朝ランも、素晴らしい。
ヘルシンキの観光スポットは、ランニングでまわれるほどの距離。日の出前に中央駅近くのホテルからシンボル的存在のヘルシンキ大聖堂がある元老院広場へ行き、港の近くにあるマーケット広場に出て、海沿いに続く公園を南下し、映画「かもめ食堂」の舞台となったカフェや食堂を巡りながら、フィンランドで最も古い公共サウナとプールに入った。さらに木の教会や岩の教会などの珍しい教会を外から眺めて、重厚な建築物でもある中央駅を通ってホテルに戻った。10キロほどの朝ランは、よいアクティブレストになった。
映画「かもめ食堂」の舞台を訪ねる。
小林聡美主演の映画「かもめ食堂」は、フィンランドの日常や人間同士の距離感について考えさせられる、ほんわかした秀作。すべてがヘルシンキで撮影されているので、ロケ地を訪ねると映画のシーンが蘇る。
朝ランでは、実際にある「かもめ食堂」にも行ってみた。映画の登場人物たちが、今にもあらわれそうな錯覚に陥るから不思議。旅の楽しみ方のひとつだ。朝ラン後に食べたブランチの書店のカフェもロケ地のひとつ。
ムーミングッズ&カフェに癒される
フィンランドといえばムーミン。お菓子から日用品まで、ムーミンのキャラクター商品は数知れず。予算に合わせてムーミングッズをお土産にするのもいいだろう。空港にはムーミンカフェやムーミンショップがある。さらに免税品店にも品揃えが豊富。最後の土産ハントは、空港で。