>>スポーツと旅を愛する、”ふつう”な私のウルトラマン挑戦記録「mizu観察日記vol.05」
文=mizu(今泉瑞希)写真提供=Team mizu
前回のコラム>>いよいよ夢の舞台へ ウルトラマンレースDay2《mizu観察日記Vol.6》
#Day3
ウルトラマンになれるか!? 最終日
Day2の朝はあまり体調が良くなかったけど、スッキリ目覚め頭痛も全くなし。外気温は標高が600m近いこともあり、12℃とダウンを着ないと寒いくらいでした。それでも念のため頭を氷で冷やしながら準備をし、朝から巨大おにぎり(1個200g)をふたつ食べられるくらいに元気に出発!
《Day3 Run 85km 7月28日 7:00-19:00》
最終日のランは、85kmで獲得標高800mほどのコース。コースのほとんどが標高800m以上で、序盤は36km標高1100m地点まで登り基調、後半はゴールの標高500m地点まで緩やかな下り基調、途中36〜72kmはダートを通るレイアウト。
クルーがペースメーカーとして並走可能なので、greenmanさんに終始サポートしてもらい、他のクルーは車で追走してもらいました。
スタート地点はプリンストンの街中よりさらに標高が高く900m近くあるので凍えるほど寒く、直前までダウンを着てスタート。走り始めると涼しくてとても気持ち良かったけど、走っていて快適だったのは15kmくらいまでで、そこからは汗が異様に出る。
外気温は22℃くらいにも関わらず身体を氷で冷やしながら走ることになり、日中の暑さが不安になったけど、幸い天気も曇りがちと味方してくれたので、日中も体感気温は24〜26℃ほどで全体的に走りやすかったです。
余談ですが、過去4回出場したIRONMANのラン42kmではトイレはいつも1回くらい、全体約12時間中でも2〜3回で済むのに、100kmマラソンのときは過去2回とも10回近くトイレに寄ってしまった(お腹を壊したわけでもない)ので、今回の課題もトイレでした。
早速7km地点でどうしても行きたくなってしまい、最初のトイレタイム。スタート直前でもしたのに……! と悔しがりながら(笑)。今回のコースは日本でいうマイナー林道のような道を抜けるのでトイレはずっとなく、「女子もみんな茂みでしている」という事前情報をもらっていたけど、流石に私たちは車で隠してその影でしよう! という作戦を立てましたが、いざスタートしたら車との連携の時間も煩わしかったので、したくなったら茂みを見つけてトイレ作戦に変更(笑)。参加者みんな同じ感じでした(笑)。序盤は涼しかったのもあってかトイレの回数は多かったけど、後半は汗も出てきて結局6回で済みました。
ランでは序盤、フルマラソンまではIRONMANペースの6分30秒/kmくらいで進んで、あとは歩いてもいいくらいのペースになるので後半ゆっくり進もうという作戦。
ただ序盤7km〜35km地点までは登り基調なのでペースより感覚値を重視。16km地点くらいまでは予定ペースで走れていましたが、それ以降は徐々に失速し始めました。それでも21km地点までは周りの選手たちと変わらないペースで走れていて、前後4人で抜きつ抜かれつで進めたので、他選手のサポートカーからも応援してもらえてとっても賑やかでした!
21km過ぎからはひとり旅。36km地点で最大標高1100mほどになりそこからはダートの道が36kmほど続き下り基調。ダートは所々深い砂利もあったものの全体的には砂目の細かい道で走りやすく、足にも優しかったです。
車の台数よりもグラベルバイクとの遭遇数のほうが多く、マイナー林道らしさを感じました。途中テキサスゲートが3カ所くらいあり、自転車同様みんなこのゲートも走って通過しているのか……と怯えたけど、IRONMANプロで今回ウルトラマンのワールドレコードを出したJenも歩いて渡っていたので安心しました(笑)。
ハーフ地点(42. 2km)の関門を過ぎてから暑さでボーッとする場面があったので、約44km地点で休憩を取ることに。5分ほど椅子に座ってコーラ補給。身体全体に水をかけてもらって冷やしたらかなり復活しました。
前半は靴擦れ防止のため靴を濡らさないように掛け水をしてもらっていましたが、ここからは解禁してバシャバシャ掛けてもらいました。58km地点くらいでも同じようにボーッとしてきたタイミングで休憩を取りました。
64.4km地点で最終関門。このときオフィシャルに2位の選手が7km前ということを伝えられびっくり! みんな近くを走ってるんだと思ったら元気が出ました。
60〜70km地点は登りが多めの区間で苦戦。登りは10分00秒/km以上のペースになってしまったけど、徐々に日が傾き涼しくなってからは掛け水や氷補給の頻度が減って、ペースはとても遅いけど止まる時間が少なく着々と進むことができました。
71kmでダートが終わり、76km地点ほどまでは6〜7%の下り区間。全身痛くて下れないかと思っていたけど快調に下れて時間を稼ぐことができました。80km地点からは全部歩いても余裕でゴールできる時間だと思ったら緊張の糸が解けたのか、全く走れなくなってしまい、1kmほど歩いてしまいました。
ただ、歩いている中で応援してくださっている方々の顔が浮かび、やっぱり走ろうと思えて、歩くのとさほど変わらないペースだけど最後まで走ることができました。
クルーは残り3km地点で並走サポートを終え、ゴール会場に先回りしてもらい、道がわかりにくいところに立ってもらっていたので、クルーの鈴が見えたときは「ようやく夢が叶う!」とホッとしました。
ゴール会場に入る前には母と平塚さんも待っていてくれて涙が出そうになりました。クルーも誰ひとり欠けることなくみんな揃ってゴールができました。
ゴールでは数時間前にゴールしたトップ選手も待っていてくれてみんなで出迎えてくれました。ゴール後は泣いてしまうかと思ったけど、最終フィニッシャーとしてセレモニーをしてくれたので涙を流す暇がなかったです(笑)。
★3日目は11時間42分57秒。3日間で33時間46分27秒。
Run 85km
▶︎クルーにフラスクを持ってもらい頻繁に水分補給。
▶︎2時間に1回はアミノ酸補給。
▶︎暑さを感じたら氷で口の中・手・首の後ろを冷やす。
▶︎後半は1kmごとに掛け水。
▶︎total 水7000ml カロリー1000kcal
最後に……
今回ウルトラマンに挑戦したのは私自身でしたが、クルーのサポートなしでは絶対に完走できなかったので、同行してくれたクルーには本当に感謝しています!
クルーに撮影してもらっていた映像を見返すとそこに映る私はまさに『女王様』(苦笑)。ありがとうも言わずにクルーに「水!」「氷!」「おにぎり!」と言っていて絶望しました……。
私は自分の競技時間だけ活動していれば良かったのですが、クルーには競技時間に加え当日の片付けと翌日の準備、洗濯・食事・マッサージ、すべてやってもらっていました。私以上に大変なスケジュールだったのに、ゴール直後に「めっちゃくちゃ楽しかった! 貴重な経験をさせてくれてありがとう!」と言ってもらえて、このメンバーで完走できて本当に良かったです。
また、今回の挑戦は多くの企業様、個人様のサポートなしでは実現できなかったので、スタートラインに立たせていただき、本当に本当にありがとうございました!
例年11月にKONAで行われている世界選手権の切符を頂いたので(権利は永久に有効だそうです)、また数年後に挑戦したいと思っています!
元々スポーツ観戦好きが高じて2017年にトライアスロンに初挑戦し、IRONMANやウルトラマラソンなど「できるかわからないこと」に挑戦してきた7年間。トライアスロンの競技経験はなく、各種目スピードも遅く、ただ楽しみながら挑戦し続けることで、「ウルトラマン完走」という挑戦を成功させることができました。
皆さんもぜひウルトラマンに挑戦してみてください! とは言いません。その挑戦はなんでもいいので、『mizuさんができたなら私にもできるかもしれない、私も何か挑戦してみよう』とひとりでも多くの人に思ってもらえたらうれしいです。
プロフィール mizu – 今泉瑞希 –
スポーツと旅を掛け合わせたスタイルで各種タイアップやイベント出演など幅広く活動中。豊富な経験、知見を生かしコンテンツアドバイザーも務める。2018年4月に人生初のロングレース、宮古島トライアスロンを完走。そこからトライアスロンが大好きになり、トライアスロンの魅力を発信し始める。2023年はアイアンマン世界選手権(KONA)にも出場を果たす。SNS総フォロワー数5万人超え。3月27日生まれ、群馬県出身。
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