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2020東京に向け層の厚さを見せた日本女子〈日本選手権ルポ・後編〉

投稿日:2017年10月26日 更新日:


平野司

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2位・高橋侑子(写真左)を抑えて自身2度目となる日本タイトルを獲った佐藤優香(同中央)、19歳、ジュニアながら3位に入った瀬賀(同右)

佐藤優香選手が2度目の日本タイトル。3位にジュニアの瀬賀選手

(>>>日本選手権ルポ・後編盟友・平野司が語る田山寛豪、引退レースでの11勝目を読む)

写真/播本明彦 文/平野司

10月15日に開催された日本選手権、女子のレースで注目されていたのは、ケガ明けながら昨年世界ランキング3位の上田藍選手、先日W杯で優勝した井出樹里選手らベテラン勢に、佐藤優香選手、高橋郁子選手。さらに、先日のWTSグランドファイナルのジュニア3位に入った瀬賀楓佳選手や久保埜南選手ら若手選手の活躍も期待された。

レースは昨年同様に佐藤選手、高橋選手、久保埜選手、瀬賀選手が上田選手らから逃げる展開を見せた。先頭集団にチームケンズが3人。昨年は途中で捕まってしまったが、今年はチームワークを見せつけ見事逃げ切った。

トランジションの得意な高橋選手が先行するもすぐさま佐藤選手が追いつく、瀬賀選手も追いかけるが、なかなか差は詰まらず、佐藤選手が高橋選手を上手く引き離しにかかり2度目の優勝を飾った。3位にはジュニアの瀬賀選手。大阪時代から見てきた選手が活躍し、筆者としてもうれしい結果となった。

 

各ブロックでの予選や選考を勝ち抜いてきた52選手が参加した女子のレース。水温20.2℃ながら、朝からの雨の中、気温は20℃を下回る肌寒い中での戦いに

 


スイムラップを獲ったのは佐藤と同じチームケンズの19歳、瀬賀。2020東京に向けた躍進が期待されるホープが今年も序盤から積極的にレースを展開

 

バイクパートで先頭パックを形成したのはチームケンズの3選手(佐藤、瀬賀、久保埜)に高橋を加えた4人。うまく連携して後続集団から逃げ切った

 


鎖骨骨折から驚異の回復を見せ、WTS戦線にも復帰した上田もバイクで猛追するが、今年は先頭パックには届かず

 

ラン序盤はクイックトランジションから好スタートを切った高橋が先行し、同世代のライバル佐藤との一騎打ちに

 


最後は「どうしてもこの日本タイトルだけは譲れなかった」と語る佐藤がラン勝負に競り勝ち2度目の日本王者に

 


3位に入り自身初となる表彰台に上がることになるチームケンズの後輩、瀬賀の健闘を労う佐藤。2020東京戦線もチームケンズがその中心に居ることを、あらためて印象付けた

 

★女子レースダイジェストMOVIE

公益社団法人日本トライアスロン連合(JTU) 公式WEBサイトより

昨年からコース変更となり走りやすいコースとなったものの、完走率の低いコースレイアウトとなったお台場。完走率は男女ともに約50%と完走するのも難しいレースとなったがやはり格別のレースであることは間違いない。ひとりでも多くの選手があの雰囲気を感じ、2020年に、同じお台場で開催されるオリンピックで活躍して、メダルを獲ってもらいたいと心より願っている。

第23回日本トライアスロン選手権
2017年10月15日(東京・台場)

女子上位
順位/氏名/所属/総合記録
1 佐藤優香(トーシンパートナーズ、NTT東日本・NTT西日本、チームケンズ)1:59:58
2 高橋侑子(富士通)2:00:10
3 瀬賀楓佳(トーシンパートナーズ・チームケンズ)2:00:35
4 久保埜南(トーシンパートナーズ・チームケンズ)2:02:07
5 松田友里恵(ペリエ・グリーンタワー・稲毛インター)2:02:22
6 杉原有紀(流通経済大学)2:02:30
7 上田藍(ペリエ・グリーンタワー・ブリヂストン・稲毛インター)2:03:42
8 西麻依子(東京都トライアスロン連合 )2:04:13
9 阿間見眸(日本体育大学)2:04:23
10 潮田小波(中京大学)2:04:36

★全リザルトは公益社団法人日本トライアスロン連合(JTU) 公式WEBサイト

■著者プロフィール
平野 司(ひらの・つかさ)
スポーツクラブNASトライアスロンスクールのヘッドコーチ。現役時代は世界レベルの泳力を武器にITUサーキットを転戦した元トッププロで、2005年には日本選手権で優勝、日本代表としてアジア選手権、世界選手権を始めとする世界大会でも活躍した。

優勝者コメント

取材/孫崎虹奈(Lumina)

「来季につながる日本一のタイトル」

佐藤優香選手

今回の日本選手権のタイトルは絶対に獲るという気持ちで大会に挑んだ。「うれしい気持ちとホッとした気持ちがある」と安堵の表情を浮かべる佐藤。ランは、高橋選手との一騎打ちを制したが、仕掛けるのではなく自分のリズムで淡々と走った。今回の優勝は、同じ集団でレースを行ってきた瀬賀、久保埜の存在が大きかった。大会中は3人で同じ部屋に宿泊しチームワークを高めた。

「後輩である瀬賀が3位に入ったのはうれしい。国際大会で思うように結果を残せなかったが、日本一というタイトルで来季につなげることができる」と話し、すでに来季を視野に入れたレースだったことを明かした。

 

TV放送情報
NHK BS1 「第23回日本トライアスロン選手権(2017/東京・台場)」

10月30日(月) 19:00~20:50
女子 19:00~19:50/男子 20:00~20:50
*19:50-20:00 中断BSニュース

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