トライアスリートが挑戦
グランドキャニオン横断トレイルラン Rim to Rim

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ルミナ編集部

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アメリカ、ロサンゼルス在住の“ニック”ことトライアスリートの出口学さんがグランドキャニオン横断ランに挑戦。トレーニングとしてはハード過ぎるけれどチャレンジが大好きなトライアスリートにピッタリのアドベンチャーアクティビティー。世界中のトレイルランナーのバケットリスト(生きている間に必ず成し遂げたいこと)と言われるその冒険の様子をレポートしてくれた。

 

世界に類を見ない絶景コースへ

今回私が挑んだのは、グランドキャニオンの「Rim to Rim」 と呼ばれる直線距離で約 16km、実走距離で約 34km の南北リムを結ぶ、世界に比類の無い絶景ルート。

真夏の谷底は最高気温50度近くまで上昇し、冬は雪に覆われる個所も多いため 私のレポートを読んで挑戦したい! と思った場合はベストシーズンの5月か10月が気候的にはおすすめ。

Day 1 (2017年6月16日)

ロサンゼルスから車で約 8 時間かけてグランドキャニオンのサウスリムへ。ビジターセンターで情報収集後、いくつかのビューポイントから世界遺産の眺望を堪能した。

その後、妻と子どもたちがメキシコに帰省中のために連れてきた愛犬のゴールデンレトリーバーのブラウニーを公園内のケンネルに預ける。夕刻、園内にあるマスウィック ロッジにチェックイン。夕食後、翌日に備えて早めに就寝した。

Day 2

午前4時40分のバスに乗るため3時に起床。まずチェックアウトし、バックカントリー インフォメーションセンターからサウス カイバブ トレイルヘッド行きの始発シャトルに乗り、15分程で到着。

右が出口さん。まだ夜が明けきらないうちからヘッドライトを装着して出発

 

ヘッドライトを装着して、まだ薄暗く肌寒い5時前にスタート! そんな私たちを横目に「Rim to Rim to Rim」と呼ばれる、1日でグランドキャニオン往復を試みると思われる軽装のトレイルランナーは、すでに数百メートル前を軽快に走り降りて行った。

ヘッドライトの明かりを頼りに足元に注意しながら、白み始める空の下を走ること約30分。 周囲の景色がはっきりと見えてくる。

グランドキャニオン訪問は今回で 8 回目、谷底へのトレイルも 4 回目ではあるが、季節や時間帯により異なる顔を見せる雄大な景観に改めて感動するとともに、今この場にいられる喜びを心から噛み締める。

数億年前の地層に囲まれ、地球の歴史を遡るかのごとく、約11kmのルートを軽いステップで谷底を目指す。早朝の穏やかな陽射しが作り出す陰影が渓谷に独特な立体感を与え、言葉では言い表せないほど美しい。

眼下に臨むコロラド川まで駆け下る。川の右側に見えるのが渡った橋

 

1500mの標高差を2 時間強で下り、コロラド川に到る。コロラド川とはスペイン語で「赤い色をした川」という意味だが、実際には「緑色の川」(上流では赤土のため褐色の水だが、ダムに赤土が堆積するため下流では緑色とのこと)に架けられた橋を渡って対岸へ。

コロラド川の北側には渓流に沿ってキャンプ場、並びに渓谷内で唯一の宿泊施設であるファントム ランチ ロッジがある。渓流越しに見上げるサウスリムもまた格別の美しさ。

谷底は真夏の日昼は50度近くまで気温が上昇することもあるが、午前 8 時前なのでかなり涼しい。持参のエナジーバーで栄養を摂り、ボトルに水を補給し若干の休憩・周辺探索の後、登り始める。

見上げるリボンフォール。太陽の光を浴びてきらめく水流にしばし癒される

 

ここからノースリムのノース カイバブ トレイルヘッドまでは約 23km、標高差1800mの行程。勾配は南からの下りに比べ緩やかだが、直射日光がもろに当たる長丁場だ。徐々に太陽が昇り、谷底に日が差し込むようになると気温は一気に上昇する。

予報では当日の最高気温は 45 度。快晴の青空と赤い岩肌のコントラストは、見る者を圧倒するほど美しいが、ほとんど日陰がないルートはやはりキツイ。

谷底から約 2.5時間、上りルートのほぼ中間に位置するリボンフォールに寄り道をした。滝越しに見る渓谷は、そこまで自らの足で辿り着いた者にしか味わうことのことができない、優越感満たされる景観だ。

直射日光を真上から受けて体力はどんどん奪われるが一歩一歩進むしかない

 

リボンフォールを後にしてからの最後の約10kmは暑さとの戦いだった。日差しを遮る木々がほとんどないため、トレイルで唯一の涼は岩の凹凸よって作られるわずかな日陰だけだ。

暑さに喘ぎながらも、刻々と変化する景観を時折振り返り、楽しむことは忘れない。

ノースリムから下ってくるハイカーとは頻繁にすれ違い簡単な挨拶を交わすが、灼熱地獄を北に向かって登るハイカーは稀だ。当然の事ながら、そこを走るような物好きにお目に掛かるはずもなく、太古の地層を拝みながら走り歩くこと約3時間、ようやくノース カイバブ トレイルヘッドに到着した。

途中の休憩や栄養補給、滝での水浴びを含め 約9時間(実働約7時間)をかけて、20 億年の地球の歴史の彼方への雄大な旅はここで完結した。

とはいえ、本日の宿であり、ノースリム唯一の宿泊施設であるグランドキャニオンロッジはまだ 4km の彼方……。冷えたビールを夢見ながら疲れた足を引き摺り、ようやく4km先のロッジに到着した。着替える間もなく、先ずはビールにて無事完走の祝杯!

1日かけた冒険は次の挑戦へのはじまりに

 

Day 3

午前7時発のシャトルバスでサウスリムへ向かい11時30分に到着。一昨日に預けた愛犬ブラウニーを引き取り帰路へ着く。帰りの車中、すでに次なるチャレンジとなるべくグランドキャニオン往復 「Rim to Rim to Rim」に思いを馳せる。

壮大な自然は訪れるたびに表情をかえる。次はRimtoRimtoRim!

 

【携帯品・補給】
Nutrition
水の補給場所は途中3カ所程度あり。日中は気温が上昇するので、常に2リットル程度の携行が望ましい。今回の横断では、「Tailwind」(粉末ドリンク)1袋200キロカロリーを10袋持参し、6袋消費。「Cliff Bar」200キロカロリー2個、「Stinger Waffle」160キロカロリー2個、計1920キロカロリー 。

Gear
ヘッドライト(200ルーメン以上のもの、さらには予備を携帯することが望ましい)、トレッキング・ポール、地図、2リットルのキャメルバック+500ccの予備ボトル、携帯用ウォーターフィルター。

【ワンポイントアドバイス】

■トレイルは基本的に1年中オープンしていて、渓谷内で宿泊をしなければパーミットの申請は不要。ただ、安全上の理由からバックカントリーオフィスへの届出が望ましい。

■3日目のシャトルバスについて。サウスリムとノースリム間を結ぶ定期運行のシャトルはなく、乗り合いシャトルの事前予約が必要なので注意。例年5月15日~10月16日まで運行しており、南北リムよりそれぞれ1日 4 本運行。 所要時間は4時間30分程度。片道 90 ドル。Trans-canyonshuttle.com で事前予約しておくべし。

 

 

愛犬ブラウニーと

■プロフィール

出口学 (also know as Nick Deguchi)

1965 年東京生まれ、カリフォルニア州ロサンゼルス在住。20 代前半に日本を離れ、南米コロンビア、エクアドル、メキシコでの十数年にわたる中南米での生活を経て2007年からロサンゼルス。現在は日系企業勤務の傍ら、日々新しい挑戦を探す毎日。アイアンマン・アリゾナ、米国本土最高峰ウィットニー山、ヨセミテ・ハーフドーム、ブラックマウンテン100kmウルトラマラソン、スカイダイビング、グランドキャニオン横断トレイルランなど。

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