闘うためのテクノロジー〈後編〉
ジャパニーズブランド・シマノのテクノロジーが、トライアスリートの決戦装備を進化させる。
SHIMANO DURA-ACE
Di2 R9150Series
ULTEGRA Di2
R8050Series
トライアスロン決戦装備としての電動変速システムDi2
10年目を迎えたシマノの電動変速コンポーネントDi2。安全かつ確実なシフト操作をもたらすテクノロジーは、進化の歩みを止めることはない。トライアスロン決戦仕様を究める上で、電動変速化しない理由はもはや、ない。
第3世代となったDi2。
「店頭で売れる99.5%は電動」
電動変速を普及させたデュラエースDi2 7970シリーズがリリースされたのが2009年。2代目9070シリーズ、そして現行の3代目R9150シリーズと進化し、気づけば今年で10年目となった。昨秋には、R9100の技術を落とし込んだアルテグラDi2 R8050シリーズもリリースされ、いまやトライアスリートの決戦仕様を究める上で欠かせないシステムになったと、大西さんも日々実感している。
「完成車販売を除けば、(メイストーム)店頭で出る99・5%は電動式です。一度電動にした人がメカニカル(機械式)に戻すことは皆無ですし、誰もがその良さを実感しています」
トライアスリートにって、その最大のメリットは「安全性」と大西さんは強調する。
「DHポジションでも変速できるのが大きい。片手放しが苦手な女性には特にお勧めですね」
また新たに追加されたシンクロナイズドシフトも、初心者にはありがたい機能だ。これはリアディレイラーの変速と連動してフロントディレイラーを自動的に変速させるもの。「E-TUBE PROJECT」で設定すれば、フロント変速のタイミングを自分好みにカスタマイズすることも可能だ。
「フロントとリアを別々に変速することに慣れている人の中には、当初は違和感を感じる人もいるかもしれませんが、セミオートマ的なシステムで、新鮮。初心者には便利だと思います。このシステムの時代から乗り始めたトライアスリートなら、そうした違和感もなく、このストレスフリーが当たり前になるかも。それこそクルマのATみたいに、これがスタンダードになるかもしれない」
さらにANT+でガーミンEdgeシリーズと接続すると、サイコン上にギヤポジションやバッテリー残量を表示できる。
スプロケット2セットで
あらゆるコースに対応
また電動式に限ったことではないが、R9100&R8050ではリアディレイラーのキャパシティーが広くなったことも利点のひとつ。つまり、より大径の軽いギヤを装着できるようになったということだ。
「平坦基調の宮古島などでは歯数差が小さいクロスレシオを選択。ヒルクライム的に上り続けるワンウェイコースの、はつかいち(パワートライアスロン)や、やはり上りの多い、五島長崎(バラモンキング)などでは軽いギヤのついたワイドレシオをチョイスするなど、コースに合わせて2種類のスプロケットを使い分けるのもいいかもしれませんね」
操作性やメンテナンス性にも優れ、サポート体制が充実しているのもシマノのメリット。トライアスロンの場合、DHバーの中をケーブルを通す必要があるが、ケーブルの長さや接続方法なども初代7970シリーズから比べるとショップでの作業も格段にやりやすくなったという。飛行機輪行でバイクをばらして運ぶトライアスリートにとっても、トラブルのリスクが少なく、安心だ。
「デュラエースグレードのR9100だけでなく、セカンドグレードのアルテグラにも、機能的にはそん色のない電動コンポーネントがラインアップされているので、お客さんには予算に応じてお勧めすることもできます」と大西さん。
トライアスリートとして「より楽に=より速く」の決戦装備を究めていく上で、シマノの電動変速コンポーネントDi2は欠かせない選択肢となってきそうだ。
>>>闘うためのテクノロジー〈前編〉「ついに登場したシマノ製パワーメーター」を読む
シマノ デュラエースDi2 R9150シリーズ
アルテグラDi2 R8050シリーズ
ストレスを感じさせないシフティングを可能にする電動変速コンポーネント。シングルボタンでもフロント変速が可能なシンクロナイズドシフト機能も追加された。デュラエースDi2 R9150に次いで発表されたアルテグラDi2 R8050シリーズも、重量や質感の高さなどはR9150には及ばないものの、機能面ではトライアスリートの決戦装備として必要十分な要素を備えている。
問・シマノセールス自転車お客様相談窓口ナビダイアル TEL0570-031961 http://cycle.shimano.co.jp/
■プロフィール
大西祥司さん Shoji Onishi
ライアスリートとして国内外のレースを転戦し、アメリカから帰国後に海外ブランドの輸入販売を手掛けるメイストーム合同会社、ならびに東京・高円寺にプロショップ「メイストーム」を設立。V型異形バイクの「ソフトライド」、「DIAMOND(ダイヤモンド)」を始め、これまで数多くの決戦アイテムを国内のトライアスリートに紹介してきた目利きのスペシャリスト。取材協力/メイストーム TEL03-6454-0404