GEAR HOW TO

Pearl Izumiが考える、カッコいいトライウエアのつくり方。

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ルミナ編集部

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「PI TRI」の活動などを通じて新しいトライウエアのカタチを探求してきたPearl Izumi。昨シーズンは、これまでも長年展開してきたトライウエア(オーダーウエア)を、最新のテクノロジーと、PIの真骨頂ともいえるユーザー目線で大幅にリニューアルした「AIR TRISUITS」をリリース。Lumina史上最大のプロジェクト「KONAチャレンジ」(KONAチャレ)にも公式ウエア(=上の写真)を供給している。

今回は、その公式ウエアを実戦でまとって体感した印象について、KONAチャレメンバー@木更津トライアスロン出場組のコメントを紹介するとともに、デザインも含めこのウエアをサプライしたPearl Izumiの清水秀和さんに、同社が「トライウエアを一新するにあたって考えたこと」や、KONAチャレ公式ウエアをつくり上げた過程、チームウエアをつくるときのポイントについて語ってもらった。

個性を引き立て、チームを盛り上げるトライウエアづくりの秘密。

PI TRIを立ち上げ、PIトライウエア「AIR TRISUITS」の開発を手がけたPearl Izumiの清水秀和さん。マーケティングの責任者を務めつつ、自らもイチユーザーとしてトライアスロンライフを愉しむ

――昨年、鮮烈なリニューアルを果たした「AIR TRISUITS」。その機能面や素材について、実際、いろいろなトライアスリートに使ってもらって好評だったポイントなどをお教えください。

清水秀和さん(以下同) PI TRIのメンバーやその他多くのユーザーからウエアについてコメントをもらい、それをもとに開発を進めていくのですが、今回の「AIR TRISUITS」については、PI TRIメンバーから以下のようなコメントをいただいています。

“生地に適度な厚さがあり、透けないながらも伸びとフィット感がありました。 撥水性も高く、レースで使用しても水分で重く感じることがなく非常に快適”

“パッドが他社のトライスーツと比較して適度な厚さがあるため、お尻が痛くなることがなく、ビギナーの方にも向いていると思う”

前身頃と脇は、生地に高い伸縮性があり、水を弾く撥水素材を採用。レースで身体に水をかけたときもウエアが重くならず快適

“上下セパレートだと裾のめくれが気になるときがありますが、ワンピースの前ジップタイプはランニングの上半身のひねりもスムーズで非常に快適”

“生地の発色の良さ、質感や光沢などで高級感あるウエアに仕上がっており、このクオリティでカスタムオーダーが可能なのは高いバリューかと思う”

意外なコメントとしては、チームメンバーでOn Japan代表の駒田博紀さんの「トイレに行きやすい」でした。ワンピース型は上下一体型なので、めくれ上がることが気にならない着用感が好まれます。その半面、レース出場時の「トイレ問題」を気にする人もいます。AIR TRISUITではお腹部分の生地が比較的柔らかく伸びやすいので「小であれば、すごく便利だ」とコメントいただきました。開発側もそこまでは気が付きませんでした(笑)。

今年も佐渡国際トライアスロンに出場したPI TRIメンバー。彼ら彼女らがまとうPI TRIデザインウエアは昨年に続きLUMINA.comでも限定販売され完売した

――KONAチャレ公式ウエアのデザインや、PI TRIモデルウエアのデザインを形にしていく上で、Pearl Izumiでは、どのような工程をとっているのでしょう?

工程の中では、大きくはふたつの点を大切にしています。

1点目、PI主導の場合は「クリーン&ミニマムなアウトプット」になるよう心がけているということです。ウエアはその人の個性を引き立てるものであり、またレースではチームのアイデンティティを強く主張したいアイテムでもあります。そのバランスを考えたうえで、最終的にシンプルなものになるようにしたいと思っています。

もう1点は「分析→テーマ設定→ビジュアル化」というアプローチをとることを大切にしている点です。何となくその時の気分でデザインするというより、色々なものを客観的に見て、デザインをするようにしています。

ただプロジェクトにより、このアプローチは変わるかと思います。

「KONAチャレンジ」の場合は、あの誰もが憧れるアイアンマン世界選手権(KONA)を目指す人たちに向けて、という前提がありました。そこで2017年のKONAや、その他海外のアイアンマンのプロ選手が着用するウエアのデザインを幅広く分析してみました。

分析の結果、「2016年まで多かったダークな色合いのデザイン」から一変して、白を上手く活用したデザインウエアが上位選手含めて目立っていました。

白は一般的に容姿やスタイルが膨張して見える色なので選択する場が限られます。が、KONAチャレのメンバーであれば多くの人がアスリート体形であるため、白を基調にシックな色合いのネイビーを採用できると考えました。そして、目指す舞台がハワイということもあり、ヤシの木(アロハ的要素)を装飾としてあしらったわけです。

KONAチャレ公式ウエアを着て、木更津トライアスロンのコースを走るフレンドメンバーの田所さん(レースでの着用感などのコメントは記事後半に)

一方、PI TRIのウエアデザインの場合は、上記のふたつのポイントに加えて、毎年デザインをリニューアルするので、昨年と違うデザイン感が求められていました。デザインするにあたって設定したテーマは、「アスリートから湧き出るエナジーと、柔らい身体や柔軟な思考を融合させる」でした。

これを踏まえたうえで、「シックなブラック&ホワイトをグラデーションで表現する」という案を生み出しました。サイクルウエアは通常直線で色を切り返すのが一般的ですが、グラデーションを使うと不思議な印象を与え、シンプルだが逆に「融合」のイメージや、インパクトを与えられるのではと考えました。

「アスリートから湧き出るエナジーと、柔らかい身体や柔軟な思考の融合」というテーマを、シックなブラック&ホワイトのグラデーションで表現した、最新のPI TRIデザインウエア

カッコいいチームウエアをつくるためのポイントとは?

――KONAチャレ公式ウエアや、PI TRIモデルウエアと同じような工程を経て、一般向けに製品化されているPIGLのサイクルウエアも、機能性だけでなく、その洗練されたデザインが話題を呼んでいるようですね。

PIGLのウエアも「分析→テーマ設定→ビジュアル化」というプロセスを経て、生み出されていると言えます。分析はここでお話すると気が長くなるような話になるので、ここでは割愛します(笑)(★参考記事『毎日の気づきが「感情を刺激するウエア」をつくる。』)シーズン2の「New Discovery」では、多くの情報をノートに書き込めたり、スマホでキャプチャーを残していったりして、イメージのストックを貯めていきました。

テーマ設定もキーワードで表現する場合もあれば、ビジュアルが先行して、テーマが決まることもあります。

どのような場合でもウエア自体を具体的にデザインする前に「何を表現するのか」という共通認識が関係者間でも必要になります。例えば、下の写真は、とあるプロジェクト向けのテーマを決定するために作成したイメージボードです。

ウエアだけでなく、車、建物、洋服、何かのイメージと色々なものを混ぜていきます。ここで議論を交わした後に、具体的なデザイン作業に入っていきます。

このようにして、一つひとつのウエアは素材が選択され、設計図が描かれ、仕様が決まり、デザインとプリントがされ、裁断と縫製がなされて、完成となります。

――今後、PIのオーダーウエアシステムでチームウエアをつくってみようかと検討しているトライアスリートに、カラーリングも含めたデザイン面など、アドバイス・ご提案があればお願いします。

挙げるとすれば3点。ひとつは、「要素を少なく」というのが最初のオススメです。ロゴやモチーフもたくさん入れれば入れるほど、ひとつずつが目立たなくなります。「本当に目立たせたいモチーフは何か」を考えるといいでしょう。

色の種類はウエア以外にもサングラス、バイザー、シューズなどでアクセントを付けられるのでウエアだけで多くの配色を使い、完結させないほうが逆にまとまりが出て目立ちます。もちろん、チームの個性として差し色で、蛍光イエロー、オレンジ、ピンクなどを選ぶという選択肢もあります。

ふたつ目として、色々な体形のチームメンバー向けにデザインする場合は、身体の中心(お腹周り)を濃い色にすることが、スタイルが良く見える工夫かと思います。濃い色で身体が締まって見えます(笑)。

3つ目は、ひとつ目と近い話ですが、全体で3色使いになる配色を心がけることです。ウエアだけで3色使うのか、ウエアとその他小物含めて3色にするのかでウエア自体のデザインも変わってきます。

KONAチャレメンバーによるAIR TRISUITSファーストインプレッション

KONAチャレ公式ウエアを着て木更津トライアスロン(8月26日)に出場したメンバー3人に、ウエアの機能面からデザインまで、気温35℃を超える猛暑の実戦で使ってみて感じた印象を語ってもらった。

KONAチャレ公式ウエアで木更津トライアスロンに出場したメンバー3人(右から永堀さん、田所さん、恩田さん)と、KONAチャレをサポートするMAKESの山口一真さん(同・左端)。山口さん着用のMAKESウエアもPIのオーダーウエアシステムで作成されたもの

恩田 一生さん(フレンドメンバー)=写真左から2番目
“従来のトライウエアにあった胸周りや腕の締め付け感がない”

【着心地】
★168cm、61kgで「Mサイズ」はぴったり。ジャストフィットしていて、これまで着ていたトライウエアにあった胸周りや腕などの締め付け感がない。
★スイム・バイク・ラン、3種目の動きの違いを考慮した設計になっていて、レース中の違和感は皆無。(一般的な)ワンピースタイプはレース前のトイレが面倒になりますが、(AIR TRISUITSは)フロント(上半身)がフルジップでお腹の部分も柔らかいので、ノンストレスでした。
★キサトラ当日はバイク・ランの距離が短縮するぐらいの酷暑でしたが、直射日光対策としてウエアの機能は素晴らしかった。白基調のため、ジリジリとした日差しは感じず、身体のダメージは少なかった。また、翌日以降もウエア部分は日焼けしておらず、UVカット効果を実感(色白の私にはとても重要な機能)。バイクやランのときも体温を下げるため、水をかけていたのですが、ウエアの撥水機能により、重みを感じることもなく、気化熱によってかなり体温を下げることができました(両腕のアームカバーも秀逸)。
★サドルの摩擦により股間の擦れが生じることが多いのですが、製品素材か良いからかレース後に炎症はなかった。

【デザイン】
私の乗っているTTバイク(LIV avow)も白基調でKONAの海やヤシの木をイメージさせる色使いがされており、偶然だがKONAチャレウエアとのデザインに統一感が出て、とても気に入っている。

田所 隆之さん(フレンドメンバー)=同・3番目
“水をかぶっても、ウエアがお腹に張り付く感じがせず、快適”

【着心地】
ヒジの近くまで覆う袖の長さでも肩周りが邪魔にならず、日焼けの影響が特に気になるロングで強さを期待できそうです。また汗をかいたり水をかぶったりしても、ウエアがお腹に張り付く感じがせず快適でした。

【デザイン】
涼しげな白ベースにお腹まわりの黒で、スタイル良く着こなせます。差し色として入っているハワイデザイン(ヤシの木柄)もお気に入りです。

永堀 悟さん(レギュラーメンバー)=同・右端
“袖ありウエアに着替えた瞬間、心地よい清涼感”

【着心地】
木更津トライアスロン、レース当日は35℃を超える気温と肌に突き刺さるような日差しでしたが、KONAチャレの袖ありウエアに着替えた瞬間に肩から上腕部にかけての清涼感に加え、ウエア全体が肌に馴染むような伸縮性に感動。その伸縮性はスイムパートにおいても全くストロークを邪魔することがなかった。バイクパートでは肩から背中に抜ける風が心地よく暑さをあまり感じずにレースを進めることができました。

【デザイン】
良い意味で派手過ぎず、爽やかなカラーリングがお気に入り。また、右肩と左脚の裾部分にコナをイメージさせるヤシの木をあしらったデザインがKONAチャレメンバー以外の人からも好評です。

KONAを走るトップアスリートらの着用ウエアなどを分析し、世界のトレンドを踏まえて作られたKONAチャレ公式ウエアのデザイン。ハワイをイメージさせるヤシの木(アロハ的要素)の柄が、KONAを目指すメンバーの間でも好評

KONAチャレンジ公式ウエアのバックスタイル。「肩から背中に抜ける風が心地よく暑さをあまり感じず快適」とはKONAチャレ・メンバー、永堀さんのコメント

>>>Pearl Izumiオーダーウエア公式サイト(トライスーツ)
https://www.pearlizumi.co.jp/lp_airseries

 

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