コメント取材/山村勇騎(YUKI from TriWorldJapan.com)
写真/小野口健太
アイアンマン世界選手権(以下KONA)、有力プロアスリートたちが火花を散らすレース前記者会見(※女子編はこちら https://lumina-magazine.com/archives/news/9926)。
男子のディフェンディングチャンプは、昨年、連覇中のヤン・フロデノや、ライオネル・サンダースとの激闘を制して初優勝を果たしたパトリック・ランゲ(ドイツ)。同国の前王者でライバル、フロデノが70.3世界選手権を制した後の故障発覚で、KONAをキャンセルせざるを得ない状況となったことを嘆きつつも、連覇のプレッシャーも含めたタフな戦いを予見している。
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Patrik Lange パトリック・ランゲ
「ヤンがいないことは残念だけど、それでもタフなレースであることに変わりはない」
ロングを始めたときは、期待される様な存在でなかったけど、こんな風に夢を達成して成功できたことはすごくうれしい。今シーズンはヤン(・フロデノ)の大活躍に、とても良い影響を受けてきたので、有難く思っているよ。ヤンが(今回のレースに)出場できないことは残念だけど、他にも素晴らしい選手が勢揃いだし、タフなレースになると思う。そして、また世界王者になれることを、楽しみにしているよ。
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前回、王者フロデノが失速する一方、パトリック・ランゲと、初王者の座をかけた一騎打ちの末、勝利を逃したライオネル・サンダース(カナダ)は、昨年の優勝争いがいかにエキサイティングなものだったかを独特の表現で熱弁して、会見の場を沸かせた。
Lionel Sanders ライオネル・サンダース
「昨年は死力を尽くしたバトル。今年も最高のバトルを期待している」
これまで静かに悔しい日々を送ってきたけど、ここにはベストなパフォーマンスをするために来た。去年はフィニッシュしてから、パトリックと激しいハグをしたんだけど、ふたりともすごいエネルギーを放っていて、ボクはそのとき、「顔を殴ってくれないか?」と思ったくらいなんだ。それはネガティブな感じじゃなくて、ふたりとも力を出し切ったバトルを通して、もう説明ができないほどのエネルギーを感じてたんだ。今年も、去年の経験からいろいろ学んで、また良いバトルができれば良いなと期待しているよ。
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まさに新進気鋭のふたりに対し、冷静に自らを分析して、静かにチャンスを狙うのは、歴代KONA王者ながら昨年は4位に泣いたセバスチャン・キーンル(ドイツ)。
Sebi Kienle セバスチャン・キーンル
「過去の成功を見ているだけじゃ、将来の成功は見えない」
去年のレースを終えてから、もっと何ができたのか、これから何をすればよかったのか、色々考えていたよ。今まで優勝するだけだって宣言してきて、実際優勝した経験もあるんだけど、ただ過去の成功だけを見ているだけでは、将来の成功は見えないんだと感じている。
できれば、スイムを先頭パックで上がり、バイクで差をつけて、2時間39分くらいで走れたらなんて考えてるけど、それは少し難しいよね。特にこのレースは、かなり戦略的な要素が必要なレースだし、今回ライオネルやふたりのパトリック(ランゲとネルソン)など、速いランナーがいるから、とても興味深いレースになりそうだよ。
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サンダースやランゲ、キーンルら、今のアイアンマンシーンを象徴するスター選手たちに挑むKONAルーキーたちの中で、最も大きな期待と注目を集めているのが、ITU(オリンピック戦線)のリヴィング・レジェンド、ハビエル・ゴメス(スペイン)。
初めてのKONA参戦とあって、いきなりその頂点に手が届くとは思っていないようだが、新しい挑戦に心躍らせている。
Javier Gomez ハビエル・ゴメス
「新しい課題を見つけ、成長を感じられるのが、とても楽しい」
過去15年間、ずっと同じようなレース(ITUサーキット=オリンピックディスタンス)を続けてきたので、コナでレースすることに、とてもワクワクしているんだ。これまでやってきたこと(ITUレース)から飛び出して、トレーニング中に、新しい課題を見つけたり、これまでの過程を通して徐々に成長が見えていることが、とても楽しい。
70.3の世界選手権(9月開催、ヤン・フロデノ、アリスター・ブラウンリーに次ぐ3位)では、ランで歩いてしまって、調子が悪かったんだけど、その後もしっかりトレーニングを重ね改善してきたから、レースの日に、ベストを尽したいね。
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アイアンマン発祥国「アメリカ代表」という自負とプレッシャーのもと、KONAに挑んできたティム・オドネル(アメリカ)は、プロアスリートとして円熟期を迎え、かつてない境地に至りつつあるようだ。
Timothy Odonell ティム・オドネル
「結果よりも、これまでのプロセスを完遂できるようなレースにしたい」
2015年大会では、アメリカ代表の優勝候補として、そのプレッシャーを感じてはいたけど、それはモチベーションでもあったね。レースの日は、結果よりも、(コナに向けて)これまで取り組んできたプロセスを完遂できるようなレースにしたいね。
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40回目のKONA、新旧トッププロがそれぞれの想いを胸に挑む決戦は、10月13日(日本時間10月14日未明~)号砲を迎える。
世界で一番強いアイアンマンは、いったい誰だ?
レース速報・リポートはLuminaのSNSや本WEBマガジンにも随時、掲載予定なので、お楽しみに。
また、アイアンマンの公式Facebookアカウント『IRONMAN now』でもライブ配信予定なので、こちらもチェックしてみよう。