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トライアスロン、はじめの一歩〈5〉 山本淳一が教える、ODレース対策《オープンウォータースイム(OWS)編》

投稿日:2019年5月28日 更新日:


ルミナ編集部

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準備次第でスイムは格段レベルアップする。

トライアスロン初心者には「スイムが苦手」という人が少なくない。泳ぎが得意な人でも、波やバトルがあるオープンウォーターのスイムは、プールとは別の難しさがある。そこで20年の選手経験を生かして多くのアスリートに実践的指導を行っている山本淳一さんに、オープンウォータースイム(OWS)対策を教えてもらった。

>>前回コラム トライアスロン、はじめの一歩〈4〉ODレース対策《トランジション編》 を読む

プールの泳ぎとOWSの違いを
理解して事前に対策を

オープンウォーターの泳ぎは、波や潮の流れや水温の変化があるだけでなく、ウエットスーツを着て泳ぐ、集団で泳ぐ、コースロープや水底のラインがない状態でまっすぐ泳がなければならない等々、色々な意味で普段のプールの泳ぎと違います。レース前に海などのオープンウォーターで練習したほうがいいでしょう。

ただしひとりでOWSの練習をするのは危険です。必ず経験豊かな人と練習しましょう。特に初心者はプロのコーチが行っているセッションに参加することをお勧めします。

プールでできるOWSトレーニング

プールでも部分的にOWSに近い練習はできます。たとえば普通にコースで泳ぐのではなく、ロープのないところで人をよけながら泳ぐ、水底のラインに頼らず、数ストロークに1回まわりの目標物を見ながら泳ぐといった練習をします。

ポイントは、ロープやラインに頼らないで泳ぐと、自分が左右どちらにどのくらい曲がるか把握すること。人の少ないときに目をつむって少し泳いでみると確認できます。25m泳ぐあいだに2mズレないで泳げる人は意外に少ないものです。本番では自分のズレかたを計算に入れながら、できるだけロスを少なくして泳ぎましょう。

ウエットスーツの着方も意識して練習する

ウエットスーツの着方も練習しましょう。いい加減に着ると、ある部分が突っ張ったり、ある部分がダブついたりして、肩周りや腕の動きが制限され、泳ぎに無駄な力が必要になります。ビギナーは本番でそのまま泳ぎ出すと、苦しくてパニックに陥ることもあります。

私が指導するOWSセッションでは、まずウエットスーツを着るところから始めます。ウエットスーツを着た状態で集合地点に来た人も、一度脱いでもらい、もう一度着てもらいます。ウエットスーツを着るときの注意点がいくつかあるからです。

OWS対策はウエットスーツの着方から。水の中などで、内側を濡らしながら着ると着やすいが、大会によって着られる場所も違うので、どんな状況でも正しく着られるか、また「どのくらい時間がかかるか?」試しておこう

ウエットスーツは身体に密着するようにできていますから、内側を濡らさないと着にくいものです。まず試泳の前に水を中に入れながら着て、ウォームアップしながら調整しましょう。

正しく着ることができたら、ウエットスーツのデザインなどで、そのマークや線が身体のどこに来るか、左右の腕や脚などの位置関係を覚えておくと、本番でもスムーズに着ることができます。

ウエットスーツを正しく着たときのマークやロゴの位置、継ぎ目のくる場所などを覚えておいて最終チェック。どこかがヨレていたり、突っ張っていると、泳ぎの妨げになるばかりか、安全性も下がるので注意

レースによっては(桟橋から飛び込むタイプなど)、浜辺でウエットスーツを濡らしながら着ることができない場合もあります。そういう大会ではボトルの水で中を濡らしたり、ワセリンを塗ったりしながら、手袋などを使ってウエットスーツが破れないように着ることになります。レースの情報を入手して、必要ならこういう着方を練習しておくと、本番で無駄なストレスを回避することができます。

もうひとつ意識してほしいのは、ウエットスーツを正しく着るのに何分かかるか。本番で慌てず。しっかりアップの時間を確保するためにも、ウエットスーツを着るのに何分かかるかを把握しておきましょう。

★ウエットスーツの正しい着方、基本のキ

まずは足先の部分が正しい位置にくるようしっかりズリ上げるようにして着るのがポイント。ここが甘くて、位置が低いと、上のほうすべてに無用な突っ張りが生じて正しく着ることができず、修正もきかない

ヒザの位置もしっかり正しい位置まで引っ張り上げる

足先・ヒザの部分がしっかり収まるべきところに収まると、ここまで着たとき、股のところに余計な空間ができない。逆に、ここに余計な空間ができてしまっていたら、引っ張り上げるのは難しいので、足先・ヒザまで下ろしてもう一度着直す

股の位置までしっかり決まってくると、上半身も無理なく着られるはず。腕の部分、胸の部分などは、先述のとおり、継ぎ目やマーク・ロゴなどが正しい位置にきて、無用な突っ張りがないように

下半身に加え、腕・胸の位置も正しく収まったら背中のジッパーもスムーズに、自分で締められる

波や浮き方の違いに慣れておく

波やうねりもOWSにはつきものです。波の高さは常に変わりますが、レース前に1〜2回オープンウォーターで練習して、波を経験しておくと、本番で落ち着いて泳げます。

ウエットスーツを着て海で泳ぐと、普段のプールよりかなり浮きますから、その感覚も覚えておきましょう。水面に対する頭の位置や入水の位置も、わずかですが感覚的にはかなり違います。

GPS機能のあるスポーツウォッチを持っている人はタイムを測ると、自分が普段と違う泳ぎをしているかどうかをチェックできます。

脚に浮力が加わる分、キックの感覚もかなり違います。バランスをとるだけなら、キックを打たなくてもすみます。キックをどれくらい打つのか、打たないのか、練習しながら判断しましょう。

目標物、時間帯、太陽の位置など
本番を想定して練習する

OWSではブイや陸に見える建物、山など、目標物を目印に泳ぎます。目標物を確認するため、何ストロークかごとに必要最低限ヘッドアップします。ヘッドアップに慣れていないと目標物の確認がスムーズにできませんし、フォームが乱れて疲れるわりにスピードが落ちるといったことが起きます。このあたりを意識して練習しましょう。

大会当日天気が良ければ、朝の太陽が低い位置から差してきます。普通のクリアレンズのゴーグルではまぶしくてまわりが見えず、目も疲れますから、スモークレンズが必要です。逆に曇っていればクリアレンズでないと、まわりが暗くて見づらくなりますから、クリアとスモーク2種類のゴーグルを用意して、当日チョイスできるようにしましょう。

大会当日の天候や、自分の好み(泳いでいるときの視界が明るいほうがいいか、暗いほうが集中できる等々)に合わせてクリア系、スモーク系、ミラー系などゴーグルのレンズの選択もさまざま(ゴーグル選びについては後述)

大会が何月かによって、太陽が昇る位置や角度も変わってきますから、そのあたりも事前に調べて、なるべく本番に近い状態で練習しましょう。特に朝スイムに慣れていない人は、大会までに何度か本番に近い時間帯泳いでおく必要があります。

現地で試泳するときも、本番と同じ時間で泳ぎ、太陽や潮の満ち引きなどを確認しましょう。

泳いでから砂浜を走ってみる

本番のスイムはフィニッシュしてからトランジションエリアまで走ります。泳いでからすぐ陸上を走ると、砂浜の走りにくさや疲れ、急に増す重力や三半規管が感じるバランスの違いにより、予想外に身体がふらつくものです。ウエットスーツを脱ぐのも手間取ります。

本番ではここまでがスイムですから、OWSの練習でもこの感じを体験するため、水から上がってすぐ走り、走りながらウエットスーツを脱ぎ初め、最後に全部脱ぐところまでやってみましょう。

本番では必ず試泳をする

本番前には必ず試泳しましょう。「疲れるから泳がない」という人の気持ちもわかりますが、実際には本番でいきなり心拍を上げるより、アップしながら少しずつ心拍を上げ、血管を開いたほうが、本番のスイムが楽になります。

私の場合は今でも400〜750mくらいアップします。現役時代よりはかなり短めですが、一度心拍をレースより少し高いところまで上げておくと、楽にスタートできます。

初心者でスイムが苦手な人も、100〜200mでも泳ぐと、水温や浮き方などが確認でき、不安なくスタートできます。泳ぎが得意な人も、心拍を上げて身体に血液を回しておいたほう「が安心してスタートダッシュできます。

試泳して一度心拍を上げると、回復に5〜10分くらいかかりますから、その時間を計算して試泳しましょう。

呼吸でメンタルと心拍を整える

初心者は不安と緊張から呼吸が浅くなり、練習でやってきたことを忘れたり、いつもの泳ぎができなくなったりします。お勧めしたいのは、呼吸でメンタルと心拍を整えること。

目を閉じて息をゆっくり吸い、一度止めてからゆっくり吐く。これを落ち着いて繰り返すと、心拍が整い、緊張がほぐれます。普段から練習しておくと、呼吸で心拍を上げたり、不必要に上がっている場合は下げたり、自分の状態をコントロールできるようになります。

前のほうの端からスタートすると
楽に速く泳げる

集団で泳ぐ場合、バイクと同様、前の人が水の抵抗を大きく受け、後ろについている人は前の人の流れに引っ張られて楽に泳げます。

一般的に泳ぎの苦手な人は、後ろのほうからスタートしがちですが、スイムで時間がかかる人ほど前の方でスタートすべきです。ただし真ん中ではなく(左右いずれかの)端に位置をとること。スタートすると、そのあたりの一番速い人を頂点に三角形の集団が形成されますが、その三角形の端で前の人たちに引っ張られながら楽に速く泳ぐことができます。

前でスタートすると後ろから乗られたり、抜かされるときに殴られたり蹴られたりするのでは?」という心配は無用です。前のほうにいる人たちは泳ぎがうまいので、前に人がいればぶつからないようによけて抜かしてくれます。

バトルでボコボコにされるのは、中途半端に真ん中や後ろからスタートするからです。そのあたりの人たちはスムーズに抜く技術がないので、上に乗ってきたり、首に腕を巻き付けてきたりします。方向がわからず前を横切ろうとする人もいます。

バトルがこわいので、全員がスタートしてから出る人もいますが、独泳では前の人に引いてもらうことができないので、疲れるわりにスピードが上がりません。遅い人たちだけでかたまるのも危険です。まわりに人がいるからと安心して、どんどん遅くなる可能性があります。

スイムが得意な人は、
状況に応じて速度を変える

もちろん、初心者でも泳ぎが得意な人は前の端からスタートすべきです。中途半端に真ん中や後ろからスタートすると、自分より遅い人たちを抜かすのに余計な労力を使います。

自分より遅い人に後ろにつかれると、ついた人は楽にその速度をキープできますが、自分は後ろの人を引く分だけ疲れますから、スピードを上げて後ろを切る必要があります。

これも普段のプール練習では体験できませんから、OWSの練習でいろんな速度の人と一緒に泳いで体感しておきましょう。

レースに応じたアイテムを選ぶ

ゴーグルはウエットスーツと同じくらい重要です。太陽光対策用のスモークレンズと曇り用のクリアレンズの2種類用意する必要があるのはすでにお話ししましたが、UVカット機能のあるクリアのミラーレンズも、太陽光対策になります。

明け方の薄暗い中や曇天時のスイムで重宝するクリアレンズ(左)や、朝日が差し込むスイムなどに向いているミラーレンズ(右)など、大会当日の天候などに応じて選択できるよう、いくつかの種類を持っているのが理想的

もうひとつ、ゴーグルは普段の練習で使っているものではなく、レース用に新しいもの(使ったことがない製品ではなく、いつも使っている製品の新品)を用意したほうがいいでしょう。何度も使っているものは、曇り止めの効果が落ちてきているからです。

レンズの内側に塗る曇り止め液は、レースの最中にゴーグルがずれて海水が入ってきた場合に、目を痛める危険があります。目標物を頼りに泳ぐOWSでは視界を確保することがきわめて重要ですから、レース用に新品を買うのは必要な投資だと思います。

もうひとつ注意したいのはレンズの内側を指で触らないこと。触るとそれだけ透明度が落ちます。特にスタート前、ワセリンなどがついた指で触るのは危険です。

ほかに必要なグッズとしては、日差しがあるなら日焼け止め、寒い大会ならホットクリームなどを、レースのコンディションに合わせて用意しましょう。首や腋など、ウエットスーツでこすれる場所にはワセリンを塗ります。どこがどれだけすれるかはOWS練習で確認しておきましょう。

ウエットスーツを着用したとき、擦れが気になる個所(首や肩周りなど)には薬局・薬店で販売しているワセリンや、ウエットスーツ着用時用の潤滑剤(写真は「ウェットジェル」)を塗る擦れ防止はもちろん、着脱もラクになる

ゴーグルやウエットスーツ、ウエアなどは、海水に浸かると塩分でいたみますから、使った後はかならず真水で洗い、乾かすなど、メンテナンスをしっかりやりましょう。

日々のダメージをマメにつみとる。
シーズン中のアミノ酸補給作戦

シーズン中はレースやトレーニング、夏の暑さなどで蓄積したダメージが抜けきらないことがあります。自分のコンディションの良し悪しを判断し、トレーニングの量や質を調整しましょう。身体に残っているダメージの度合いを判断するには、主観的な感覚だけでなく、以下のような項目を日々チェックし、記録しておくと、客観的な尺度になります。

★簡単に日々のダメージの抜け具合をチェックできる客観的データ
・体温
・安静時心拍
・体重
・尿の色

ダメージをあまりためこまないためには、サプリメントを活用してその日その日のダメージをできるだけ抜いていくことも必要です。私がレースやトレーニングのダメージ緩和、リカバーのために、アミノバイタル®を活用するとき、特にシーズン中は、普段よりアミノバイタル®の量(摂る回数)を増やすようにしています。

たとえば通常トレーニング前・中に青いパッケージのアミノバイタル® プロ® や、ミノバイタル® アミノショット®、運動後のリカバーに最適なゴールドパッケージのアミノバイタル® GOLDを1本ずつ摂っているとしたら、

シーズン中のポイント練習やレースの後など、ダメージが残っていそうな日には、寝る前にもこのセットをもう一度飲む。つまり普段の2倍です。トレーニング中にアミノバイタル® プロ® や、アミノバイタル® アミノショット®を飲んでいる人は、これを多めにしてもいいかもしれません。

もちろん摂るタイミングや量は、体格や体質など人によって異なるので、最終的には、自分自身で自分なりの最適な必勝パターンを見つけていくことになると思うのですが、

サプリメントをうまく活用できているかどうかは、前述の客観的なデータ・チェック項目(体温や安静時心拍、体重、尿の色など)を基準にして判断してみてもいいと思います。

コンディションが良いときの状態を把握して、それを基準にすれば、摂ったサプリメントがうまく働いているかがわかるし、摂取タイミングや量、種類など、自分なりの必勝パターンを組み立てることもできるかもしれない。

3種類のパッケージカラーで
自分なりの組み立てもカンタン!

アミノバイタル® シリーズは、トレーニングやレースでのパフォーマンス発揮をサポートする高濃度のアミノ酸(BCAA)を含む、青いパッケージのアミノバイタル® プロ® と、アミノバイタル® アミノショット® と、

高濃度のアミノ酸(BCAA)を含有したアミノバイタル® プロ® (左)と、小容量ゼリータイプのアミノバイタル® アミノショット® (右)

トレーニング中や、レース後半でも途切れないためのエネルギー源アミノ酸(アラニン+プロリン)と糖質が摂れる、赤いパッケージのアミノバイタル® パーフェクトエネルギー®、「アミノバイタル® アミノショット®」パーフェクトエネルギー®

エネルギー源アミノ酸(アラニン+プロリン)と糖質を含んだエネルギー補給ゼリー、アミノバイタル® パーフェクトエネルギー® (左)と、小容量ゼリータイプの「アミノバイタル® アミノショット®」パーフェクトエネルギー®(右)

日々のトレーニングや、レースのダメージから素早く・しっかりリカバーするために、筋肉中のたんぱく質のもとになる9つの必須アミノ酸の中でも、特に重要な働きをするロイシンが高配合されているゴールドパッケージのアミノバイタル® GOLDと、パッケージカラーを目印に、それぞれシーン別に使い分けられるラインアップがそろっているので、自分なりの摂取パターンを組み立てる上でもわかりやすく・使いやすいと思います。

運動後のリカバーには欠かせない「アミノバイタル® GOLD」。頑張った分だけ大きなダメージが残るレース後は、なるべく早いタイミングで摂っておきたい


■プロフィール

山本淳一(やまもと・じゅんいち)
1996年よりナショナルチームへ入り、トライアスリートとして20年近く競技活動に励む。現在は、初心者からトップアスリートまで幅広く指導。都内を中心にトライアスロン愛好者のチームや、東京女子体育大学トライアスロン部のコーチとして活躍しながら、自らもエイジグループ・カテゴリーでレースに出場。この4月に開催された石垣島トライアスロンでは総合優勝を果たしている。

―― 過去のコラムを読む

トライアスロン、はじめの一歩。Supported by アミノバイタル®

>>〈1〉トライアスロン、はじめの一歩。その前に知っておきたいコト

>>〈2〉どんなモノを準備したらいいか?

>>〈3〉失敗しないレース選び、基本のキ。

>>〈4〉ODレース対策《トランジション編》 

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