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松田丈志の佐渡B「自分超え」〈4〉バイク108㎞で10分短縮へのヒント!

投稿日:2019年8月28日 更新日:


ルミナ編集部

text by:

ⒸKenta Onoguchi

「勝ち飯®」アンバサダー 松田丈志の自分超えプロジェクト
★佐渡国際トライアスロン篇 #04セッティング✕努力でタイムを稼ぐ「バイク」対策

「勝ち飯®」アンバサダー松田丈志さんが佐渡トライアスロンBタイプ(9月1日開催)での自己ベスト更新に挑む「自分超え」プロジェクト、4回目のテーマは「バイク」。

今年の佐渡Bタイプのバイク108㎞では昨年苦戦した上りをラクにこなして「10分の短縮」という目標を掲げるが、大会直前まで多忙を極める松田さん、バイク練習にとれる時間は少ない。

そこでバイクフィッティングのエキスパート、エンデュアライフの松田航介さんのもとへ。

ポジションの見直しをしてもらうとともに、この短期間でもできるバイクパート対策について、アドバイスをもらった。

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取材・撮影協力= ENDURELIFE

今回の講師
松田航介さん(写真右)
Body Geometry FIT with Retülのバイクフィッターとしてスクール、プライベ-トレッスンなどを通じて多くのトライアスリートの技術向上をサポートしている。自身も学生時代からインカレなどで活躍したトライアスリート。

ⒸKenta Onoguchi

松田丈志さん(写真左)
アテネ、北京、ロンドン、リオで4つのメダルを獲得した元競泳日本代表。2016年に引退後はイベント等での水泳指導のほか、TVなどのメディアでコメンテーターや解説者としても活躍。昨年6月には宮崎シーガイア大会(51.5km)でトライアスロンデビュー、9月の佐渡国際トライアスロンBタイプを完走、今年も挑戦する。セガサミーホールディングス所属。

★今回の挑戦の日々の進捗報告は、松田さんのtwitterやinstagramアカウントでも随時掲載中!
詳しくは公式サイトで http://matsudatakeshi.com/

ポジションとペダリングの意識を変えて短期間で効果を出す

松田航介さん(以下航介) 去年の佐渡大会に続き、今年7月、ひわさうみがめトライアスロンに出場してみて、特にバイクに関して「問題だな」と感じる部分はありますか?

松田丈志さん(以下松田) 佐渡に出場して以来、実走はほとんどしていなくて、そんな状態でレースにいきなり出てみたら、とにかく腰が痛かったですね・・・。終盤、少し取り戻した感覚はありましたが、乗れている感じとはほど遠かったと思います。

航介 「ひわさ」のときの松田さんのレース写真(バイクパート)を見せてもらいましたが、スタート直後やバイクフィニッシュ直前の写真だったので、DHポジションはとっていませんでした。実際のレース中はDHバーを使った場面は多かったですか?

松田 ちょっとポジションがツラい気がして、DHバーはあまり使わなかったと思います。

今年7月に出場した「ひわさうみがめトライアスロン」では腰への負担などが気になりDHポジションをとることが少なかったという松田さん ⒸJero Honda

航介 腰も痛かったからですよね。あとバイクのトレーニング状況はどんな感じですか?

松田 そんなに多くはないです。実走する時間がほとんどなく、ただしローラー台は持っているので、タバタ式(※高強度・短時間のインターバルトレーニング>>関連記事)を中心に高強度のトレーニングを行っています。

佐渡までもあまり実走はできないので、バイクトレーニングもタバタが中心になっていくと思います。

航介 分かりました。「ひわさ」の画像からでも修正点が分かる部分もあったので、ポジションは重点的に見ていきますね。

あと短時間でできる対策としては、やはりペダリングのスキル、特に意識の部分を変えることで大きな効果が出てくると思います。ここを正しく意識するだけで、(レースでのタイムも)ずいぶん違ってくるので、そのあたりを今日はお話していきますね。

Before

まず、ひわさ大会終了時点と同じポジション&ペダリングでこいでもらい松田さんの視点でチェック。腰が痛くなるためあまりとらないというDHポジションはやや窮屈でぎこちない感じ ⒸKenta Onoguchi

12時~1時のタイミングでペダルを押し出すように

航介 まずはペダリングのコツですが、ペダルを時計に見立てるのが一般的な方法なので、それにしたがって進めていきます。ペダリングの際に一番無駄なところはちょうど(時計の針の位置で言うところの)6時の下死点で踏み込むことです。

ここでいくら頑張っても動力であるチェーンにまったく力が伝わりません。ちなみに時計のどのあたりで踏み込んでいるイメージですか?

松田 大体1~3時くらいだと思います。

航介 悪くないのですが、もう少し早めの12~1時のタイミングがいいと思います。

一番パワーがかかるのが3時の位置なのですが、12~1時の位置でペダルを送り出すようなイメージでいると、ちょうど3時くらいで自然にペダルに力がかかってきます。「自然に」というのは意識的に踏み込まなくても、自分の脚の重さで自然に回っていく、という意味です。

踏み込むポイントは時計の12時(上死点)から1時(写真のあたり)のタイミングを意識。松田さんの思っていたよりは、もう少し早めのタイミング ⒸKenta Onoguchi

松田 力を加えなくてもいい?

航介 そうですね。逆に3時あたりで踏み込むイメージをもってしまうと、タイミング的には遅くなってしまい、結果的には下死点まで力を加えることになってしまいます。3時くらいではすでに力を抜いて、脚の重さで回していく、という意識をもつことが大切です。

もうひとつ必要なのが、踏み込んだ脚の反対側を素早く引き上げること。反対の脚にも力が加わっていると、ある種ブレーキがかかっているのと同じことになります。

筋肉的に意識するのはお尻とハムストリングの付け根です。あとは脚を引き上げるための腸腰筋も同様に意識してください。脚を素早く引き上げるためには、ギヤを軽めにすることも大切です。

ギヤを軽くして回転が上がると腰が弾んでしまうことがあります。その場合は下死点まで踏んでいる可能性がありますので、良いチェックポイントにもなるかと思います。

ポジションのせいもあるかと思いますが、下死点になっても踏み込んでいると、路面からの衝撃を受けやすくなるので、これが原因となって腰に痛みが出ていることも考えられます。

踏み込みのタイミングが遅くなると、効率も悪いですし、痛みも出るので良くないことだらけです。

松田さんは佐渡のBタイプに出場するので、108kmの間、「12~1時でペダルを送り出す」「反対側の脚を引き上げる」の2点を意識し続けることが大切になります。

では実際に乗ってもらって、ポジションを修正していきましょう。

★動画はポジションを微調整する前の状態の松田さんのペダリング

高い柔軟性を生かし、より深い前傾ポジションに

航介 正しいポジションは、立った状態で前屈してみて、その柔軟性で決めていきます。あとは肩の柔軟性も大切ですね。松田さんの場合、競泳選手だったので肩の柔軟性はかなり高い。加えて前屈の柔軟性も高いので、かなり前傾したポジションも取れると思います。

さすがに肩まわりも前屈も柔軟性が高い松田さん。ならば、もっと前傾の深いポジションがとれるはず ⒸKenta Onoguchi

具体的には現状よりも「パッドの位置を肩よりも前に出す」「パッドの位置に合わせてDHバーを前に伸ばす」ことになります。調整して、乗って、調整して・・・をこれから繰り返していきます。

というわけで、まずは大まかに調整してみましたが、どうですか?

松田 格段に乗りやすくなりました。前の状態は少し窮屈な状態でした。ヒジをパッドに乗せるのがすごくラクになりました。

航介 頭が肩の間に違和感なく収まるようになったので、持ち前の肩甲骨周りの柔軟性も生かせるようになったと思います。

トライアスロン遠征あるある。パッドの位置が逆に・・・

航介 ちょっと気になったのですが、ヒジを乗せるパッドの位置がすごく近くて・・・。これ、前後を逆に取り付けているんじゃないですか?

松田 あ、確かに・・・。

航介 どおりで乗りにくくて、DHバーを使わなかったはずです。

松田 遠征のときにシーコン(ソフトタイプのバイクケース)に入れて持って行ったのですが、その時にDHバーを外したので、もしかして逆に取り付けたかもしれないですね。

航介 トライアスロン輪行あるあるですね(笑)。意外と元に戻せなくなることもあるので、マーカーでしるしをつけて、遠征時でもきちんと自分のポジションに戻せるようにしておきましょう。

トライアスロンの遠征先では準備することも多く、バタバタしている際にパーツを逆にセットしたり、ハンドルまわりやサドルの位置などが変わってしまっている例も多い ⒸKenta Onoguchi

クリートの位置もチェック&修正

航介 クリートは深めにしたほうがペダルへのかかりがいいので、現状よりも土踏まず寄りにします。

あと特に左のカカトが外にねじれるようなセッティングになっていたので、真っすぐに修正します。これでだいぶペダルが回しやすくなるのではないでしょうか?

松田 確かにスムーズに回せるようになった気がします。

航介 本番では特に「回すこと」に意識を持ったほうがいいですよ。松田さんは身体が大きくパワーもあるので、どうしても踏みがちになると思いますので。

クリートの位置にもやや左右でズレがあったので真っすぐに微調整 ⒸKenta Onoguchi

あと練習はタバタが多いということでしたが、練習強度が高くなるとどうしてもペダリングが崩れがちになります。松田さんの場合は、踏み過ぎになってしまうと思うので、そのあたりは注意したほうがいいかもしれませんね。

RETUL(リトゥール)で動きのクセも解析

航介 ここまでは自分の目でみてきになったところを大まかに調整してきましたが、ここからはセンサーを取り付けてRETULでチェックしてみます。

RETULというのは、人間工学などの科学的アプローチから作り上げられた自転車のフィッティングのためのプログラムです。モーションキャプチャーでライダーの動きを解析して、そのクセに合わせたポジションを構築していきます。

モーションキャプチャーで乗り手の動きを客観的に解析するRETUL(リトゥール)で、あらためて松田さんの動きのクセなどをチェック ⒸKenta Onoguchi

RETULで松田さんのペダリングを分析してみたところ・・・身体の状態で特に気になるポイントは「左の腰が前に出ていること」と、ポジション的な部分で言えばサドルが少し低めというところでしょうか。

ⒸKenta Onoguchi

DHバーを取り付けたトライアスロンのポジションをとる場合、少しサドルは高めにして、ハンドルを下げ気味にしたほうが、頭が下げやすく空気抵抗も抑えられると思います。

具体的な数値としては・・・ステムを20㎜伸ばして、ハンドルを10㎜下げて、サドルは5㎜高くしてあります。

パッドの位置はさらに修正したいところですが、このDHバーだとこれ以上の修正ができないので、さっき調整したままにしてあります。

松田 でもさらに乗りやすくなりました!

★動画はRETUL(リトゥール)フィッティングを受けて徐々に変わってきた松田さんのペダリング。微調整してペダリングして、さらに微調整をくり返していく

After

簡略版ながら松田さんによる一連のフィッティングを受け、ポジションを調整した後の松田さんのライディングフォーム。無理のない範囲で前傾が深まり、これまでと同じ出力を発揮するにしても脚や腰への負担は少なく、ランでのパフォーマンス向上にもつながりそうだ ⒸKenta Onoguchi

航介 このRETUL FITを行うと通常は3時間くらいかかってしまうのですが、今回はお試しということで、1時間程度で行いました。今後ももしトライアスロンを続けるなら、一度しっかりとチェックしてもいいかもしれませんね。

でも今回の見直しだけで佐渡Bのバイク108㎞で「5分短縮」はいけると思いますよ!

松田 最終的には10分短縮したいのですが、後は練習でなんとか5分短縮できれば。

航介 だいぶ乗りやすくなっているので、ランニングへの疲労感は少なくなっているはず。仮にバイクで無理にさらに5分短縮できなかったとしても(ランでのパフォーマンスアップを含め)総合的にはかなりのタイムアップが期待できると思いますよ。

河原勇人コーチによる目標設定と全体の大まかなプランの方向付けを行った後、ラン、バイクそれぞれのスペシャリストに、ごく限られた期間・ごく限られた練習時間で最大の効果を上げるヒントをもらってきた松田さん。

いよいよ、9月1日 、佐渡国際トライアスロン(新潟)の舞台へ。

松田さんが多忙を極めたこの夏、リアルに挑んだ「自分超え」プロジェクト、その結末やいかに?

>>>♯05「そして、佐渡でいかに闘ったか?」へつづく

「勝ち飯®」アンバサダー松田丈志さんの取り組みは、AJINOMOTO®✕SPORTSサイトでチェック!

<VOL.1>目標設定!!
https://sports.ajinomoto.co.jp/topics/26/post_29.html

<VOL.2>海外滞在中の食事
https://sports.ajinomoto.co.jp/topics/09/_vol2.html

<VOL.3>トレーニング時の補食の摂り方
https://sports.ajinomoto.co.jp/topics/21/_vol3.html

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