COLUMN HOW TO

メカトラ・リスクを最小化するBIKE セルフチェック・リスト

投稿日:


ルミナ編集部

text by:

©Kenta Onoguchi

シマノメカニック&メイストーム監修

遠征先メカトラ・リスクを最小化する
セルフチェック・リスト
for Triathletes

取材=原 修二
写真=小野口健太

大会遠征先で起こりがちなバイクをめぐるトラブル。せっかく積み上げてきたトレーニングや準備も、あっという間に水泡に帰すという事態になりかねない。しかし、各自が遠征に出かける前にバイクを自己点検し、対策を施すだけで、そんな悲劇へとつながるリスクをつみとることができる。

そこでトラブル防止に有効な《セルフチェック・リスト》を、国内のエリートレースなどでオフィシャルメカニックサービスを担うシマノと、長年、トライアスロン大会のメカニックやエリート選手サポートを手がけてきたメイストームの大西祥司さん監修でお届けしよう。

事前の点検で不具合を見つけたら、信頼できるショップに相談すれば、遠征先で泣きを見ずにすむ。

シマノ・メカニックサービス
自転車のレース&イベントはもちろん、トライアスロンでも宮崎や横浜など全国各地の主要レースでメカニックサポートを展開している。

大西祥司
東京・川崎でプロショップを展開するメイストームインターナショナル合同会社CEO。宮古島、佐渡、IM台湾など内外のトライアスロン大会でメカニックサービスを手がけてきた。

点検を兼ねた洗車を習慣に

大西 忙しいトライアスリートはバイクの手入れまで手がまわっていない人が多いようです。点検を兼ねた洗車や注油は、練習後、毎回でもいいくらいですが、少なくともレースの前には、一度バイクをきれいにする習慣がつくと、ドリンクやジェル、汗などでパーツがベトベトになっていたり、チェーンが伸びていたり、タイヤが傷んでいたりといったことが目につき、洗車やパーツ交換をタイムリーにできるようになります。これが遠征先でのトラブル防止の第一歩。

消耗品は毎年交換すれば安心

チェーンやブレーキシューは消耗品。チェーンは錆びていなくても、1年くらい乗っていれば伸びてきます。ゆるんだチェーンは想像以上に大きなパワーロスを生みますから、理想は毎回レースごとに交換することですが、なかなかそうもいかないと思うので、年に1回、そのシーズン最初のレースの前に交換できればいいでしょう。ブレーキシューも減っていたらブレーキ性能が落ちますから、適宜交換が必要です。

「遠征先で充電切れ!」を防止するには

DI2(電動変速機)のバイクで大会遠征する場合、梱包の際、DHバー・ブルホーンバーまわりなどのシフトスイッチがどこかに当たった状態になってしまい、フル充電のつもりが、遠征先で、普段の練習シーンでは経験しないバッテリー切れに陥るなんてこともよく起こります。

自分でしっかり梱包したつもりでも、輸送時に手荒く扱われて、そうしたトラブルも起こりうるのです。

電気系統のケーブルはジャンクション(接続部)などで外しておくと安心。また、航空機輸送時は必ずバッテリーも外して運びましょう。

デリケートなパーツは

外せるように慣れておく

また、バイク輸送中は手荒な扱いを受ける可能性がありますから、リアディレイラーやディスクブレーキローターのような、デリケートなパーツはダメージを受けることが考えられます。こうしたパーツはわずかな歪みでも性能が低下しますから、取り外して別に梱包することをお勧めします。

遠征時に急にやるのではなくて、普段から自己点検と併せて、ディレイラーやディスクブレーキのローターを外す練習をしておきましょう。

Self-Check List

チェック項目の見方
□は、大会遠征前はもちろん普段から自己点検したいポイント
□は、
遠征前のバイク梱包時などに特に注意したいポイント

ブレーキまわり

□ブレーキはしっかり効くか
ワイヤーの錆びなどがあると、ブレーキ性能が十分に発揮されない。


□ ブレーキシューは減っていないか
ブレーキシューは消耗品。減っていたら早めの交換を!


□ディスクブレーキのローターが曲がっていないか
ホイールを回して異音がしたら、ディスクが歪んでブレーキパッドと当たっている証拠なので要交換。


□ディスクブレーキのローターは外して運ぶと安心
ローターは輸送中の扱いで曲がるリスクが意外と高い。歪んでしまうと交換するしかないので、予備を持つか、外して運ぼう。ロックリングを外す工具を持っていれば簡単に取り外し可能。





□ディスクブレーキのローターは触らない
ブレーキパッドと接するローター(円盤)の面を触るとブレーキ性能が落ちるので、触らない。持つときはへりや真ん中を持つ。



外したローターは頑丈なケースに入れて運ぶ
ローターは硬いケースに入れ、緩衝材で保護すると安心。大西さんは100円ショップで買えるCDケースと緩衝材(プチプチ)を活用している。



ハンドルまわり

□ハンドルまわりがガタついていないか
体重をかけてハンドルを色々な方向へグイグイ押して、ヘッドパーツなどのネジがゆるんでいないかチェック。ゆるみは六角レンチ等で締める。



□ハンドルやDHバーのエンドキャップはついているか?
キャップがないと転倒時のケガにつながる。大会のバイクチェックで不合格になる可能性も。


電気系統

電気系ケーブルはジャンクションを外す
バイク輸送時はハンドルを普段より大きくきることがある。ケーブルを傷めるリスクもあるので、リアディレイラー(写真上の2点)やシートポスト(同下の3点)などの接続部で外し、マスキングテープなどでフレームにとめておこう。





電動変速機のバッテリー残量は十分か
遠征先でのバッテリー切れは意外に多い。「まだ残っているだろう」「普段、切れたことないし」と過信せず、ジャンクションのバッテリーチェッカーで充電残量を確認しよう。輸送時のトラブルもあるので、充電器とバッテリーの予備も持っていくのがベスト。


空路の輪行ではバッテリーを外す
飛行機で運ぶ場合、バッテリーは空港のチェックではねられるので、外して機内に持ち込もう。仮に一度通過できても、途中で見つかり没収されてしまうこともあるので要注意。

★航空会社によってはバッテリーを取り外さなくてOKな場合や、逆に取り外せないとバイク輸送自体を断られるケースもあるので、取り外せない場合は、各社の窓口に直接問い合わせよう。


変速機

□チェーンにオイルはついているか
チェーンオイルをしっかりさす。錆びていたら交換を。


□チェーンが伸びていないか
チェーンの伸び(ゆるみ)は走行性能に影響する。シマノで販売している「チェーン伸びチェッカー」で交換時期を確認するのがベスト。大西さんの場合はフロントギヤとの間に写真㉑のように4㎜の六角レンチをねじこんで入るくらい伸びていたら要交換のサインとしている。


リアメカ全体を外して梱包すると安心
リアメカはわずかなショックで変速がうまくできなくなるなどトラブルが起きやすい。輸送時は全体を外し、緩衝材で入念に梱包すると安心。また、ディレイラーとフレームをつなぐエンド金具は曲がりやすいので、消耗品と考えふたつくらい予備を持っていくと安心。


タイヤまわり

タイヤに傷やひび割れはないか
ひび割れやキズは本番でパンクのリスクを高めるので、タイヤ交換を。またタイヤに表示されている推奨空気圧上限まで入れる必要はない。普段から試して適正な空気圧を知っておこう。


予備チューブは古くないか
レースにパンクはつきもの。予備チューブを2本は用意しよう。古くなってゴムどうしがくっついているようなものはNG。チューブラータイヤの予備はリムセメントがしっかりついているか確認。


バルブコアが固着したり・ゆるんでいないか

バルブコアがゆるんだり固着していないか確認。ここに不具合があると、レース中のパンク時など、うまく空気が入らずあせることに。


ディープリムは延長バルブも忘れずに
ディープリムの決戦用ホイールは延長バルブを忘れがち。これもバルブコアがゆるんでいないか要チェック。


そのほかのポイント

シートポスト固定用ネジは予備を用意
シートポストを抜いて運ぶ場合、現地で固定するときネジを締めすぎてねじ山を切ってしまうトラブルが多い。予備を用意し、ネジ締めは慎重に。


□外した部品を忘れずに
TTバイクなどはシートチューブと固定するための部品(ヒンジ)がついていることも多い。普段はあまり外さない部品で形状も特殊、外したまま家に忘れたり、シートチューブの中に落としたり等のトラブルが起きがちなので注意。



サイクルコンピューターは正常に動くか
現地で故障に気づく人が意外に多い。充電器や、電池タイプの場合は予備電池を持っていくと安心。


□クリートは減っていないか
クリートが減ると、ペダルにうまくはまらなくなるので要注意。ネジが錆びたり、ゆるんでいないかも要チェック。


 

バイクチェックイン時には、ヘルメットのストラップが正しく締まるか? という確認のほか、前述のエンドキャップが付いているか(P10)など、基本的な整備不良をチェックされる場合も。これをクリアしないと、チェックインできない大会もある

 

 

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