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サーヴェロ2021モデルを《トライアスリート目線》で解説しよう

投稿日:2020年10月14日 更新日:


大塚修孝

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「オレンジ/カメレオン」のトレンドなカラーなど魅力ある仕上がりとなっている2021年の「P5」© Cervelo

KONA No1ブランド「サーヴェロ」2021モデルの変化と今後への期待

解説・文=大塚修孝(プロフィール末尾に掲載)

最新モデルを知る前に「P&PX」の違いを整理しておこう

サーヴェロ(Cervelo)は、1995年創業でハイエンドバイクだけをリリースするこだわりのカナダブランドだ。ツール・ド・フランスからアイアンマンまで、世界最高峰の大会で使用されるバイクで、特に、当初より「エアロダイナミクス」にこだわり、自動車で言うなら「F1専門」のメーカーと言えるだろう。

ロードとしての人気も高いが、特にトライアスロンにおけるシェアが高く、最高峰であるKONA(アイアンマン世界選手権)では、昨年まで15年連続トップシェアを「ダントツ」にキープするスーパーブランド。

今年のKONAは中止となったため、1年ブランクが空くが、2021年においてもその「KING」としてのポジションは変わらないだろう。

ロードバイクの人気は1年でガラッと変わってしまうが、このサーヴェロ伝説は特殊なパターンとも言える。

また、そのシェアを支えているのは「エイジユーザー」であることが特徴で、プロ選手ではなく、一般のアイアンマン・エリート選手に多く使用されていることが、さらに多くのトライアスリートから支持される、その理由と言えるだろう。

写真は2019年のKONAバイクチェックイン ©Kenta Onoguchi

もちろん、PX系のような、エイジユーザーへの徹底調査を基に作り上げられたバイクなど、選手に寄り添ったこだわりのプロダクトへの評価も高い。

2021年のラインナップについては、少し分かりづらい「名称」で分類されていることも変わっていない。

あらためて少し整理すると、各シリーズで「5」が最上位モデル、「シリーズ(series)」と付いたものが、以前の「3」にあたるようだ。

トライアスロン系は、大きくは「P系」と「PX系」に分かれる。Pはスタンダードモデル(冒頭写真)、PXは異形モデル(写真下)となる。

シートチューブやシートステイのない、いわゆる「異形」フレームPX系。写真はそのハイエンドモデル「PXシリーズ」 ©Cervero

Pには、エリートバイクのP5とP3の後継モデルとなる「Pシリーズ」があり、PXは、PXシリーズとP3Xがあるが、フレームは共通で、ハンドル形状など一部異なる点はあるもののコンポーネント以外、ほぼ同じバイクとなる。すでにP5Xがドロップしているため、PXに関しては、「PXシリーズ」が上位となる。

何とも複雑なネーミングにしてしまったものだ。

2021年のサーヴェロ「P&PX」モデルは
要するに何が変わったのか?

サーヴェロの2021年モデルは新ジャンルと位置付ける「モダンロード」のカレドニアがデビューとなり、S系、R系にもニューカラーが追加されている。

そして、トライアスロン系は、「型」としての変更はないが、P系のP5とPシリーズが「カラー変更」のみ。PX系は、カラーも含め変更はない。

昨年春のトライアスロン系フルモデルチェンジがあったので、ここで大きな変更はないのだが、注目したいのはそのカラーだ。

定番となるブラック系のカラー、トレンドとなるカメレオン系のカラーなど、その存在感をアピールしている。トライアスロンバイクは、翼断面となり、カラーやグラフィックなど、フレームカラーは良くも悪くも主張が強いため、各社もこだわりを見せているからだ。

写真は「オレンジ/カメレオン」カラーのP5 Disc Force eTap AXS 1 完成車(税抜価格120万円)© Cervelo

トレンドカラーの「オレンジ/カメレオン」が印象的な2021年の「P5」

トライアスロン系各モデルを見てみる。P5は、フレームセットも含めると4カラー追加となっている。もちろん、パーツアッセンブルなど仕様も決まった完成車での展開。

カラーリングは好みの分かれるところだが、「カーボン/ブラック/シルバー」の精悍さ、「オレンジ/カメレロン」のトレンドなカラーなど魅力ある仕上がりとなっている。

P5はサーヴェロの顔とも言える「TT&トライアスロン」のフラッグシップモデルで、ツールも走るエリートバイクだ。ルーツは2005年ツールで使用された後、トライアスロン界でも一世を風靡した「P3カーボン」で、その後、第1世代のP5に引き継がれ、現在の第2世代へと至る。

パワー系トライアスリートも十分納得の剛性は、KONAのエリート選手に支持されている。

写真は「カーボン/ブラック/シルバー」のP5 Disc DuraAce Di2 R9180完成車(税抜価格149万円)© Cervelo

Pシリーズは単色でボリューム感が違う、カメレオンブルーに注目

Pシリーズは、旧P3にあたるモデルで、造り、価格、取扱いなど、他のメーカーも含め、トライアスロンバイクの中心的な位置づけになる。

今回、Pシリーズのカラー変更は、大きくイメージを変えることになった。

象徴的なのは「カメレオンブルー」というカラーだ。旧P3からPシリーズにモデルチェンジした時、フレームのボリューム感が減ってしまっていたが、このカラーは、単色で仕上げているため、一見したボリューム感が、全く違うバイクに見えてしまうほど、「新鮮味」が感じられる。

サーヴェロに限らず、今年は各社「カラーリング」に注力している傾向が強いが、このPシリーズも上手く仕上がったと思う。

写真は「カメレオンブルー」のPシリーズ © Cervelo

© Cervelo

世界的な人気では「P5」だが
国内では「PX系」人気高し

PX系は、前述の通り、変更はないのだが、未だにP5 vs PX系という構図があるようだ。

昨年のKONAでの使用率の高さでは、New P5に軍配が上がった(同タイミングでリリースされたP3Xとの比較)。

KONAという特別な舞台ではあるが、アイアンマンたちに人気があるのはP5 か? それともPX系か? その問いに対する「ひとつの答え」が出たと言っていいだろう。

また同時に、「異形(トライアスロンバイク)の行方」もうかがい知ることができた。

ただ、日本国内では事情は違っていて、出荷ベースではPX系の人気が高いようで、やはりユーザビリティも兼ね備えた「トライアスロン専用」としてのPXの評価が高いようだ。

また、PXは、DHバーの高さを自由に変えることができるため、リーズナブルではないが、「トライアスロンバイク・エントリー(入門)」としても重要な役目を果たしてくれる。簡単には決まらない「DHポジション」を追求しやすいバイクとも言えるだろう。

日本国内での出荷ベースで見るとP5よりも人気が高いというPX系。トライアスロン強化店であるワイズロード御茶ノ水店でもやはり同じ傾向があるとのこと © Kenichi Nakashima

コースに応じた操作性の調整や
「P5」の遠征仕様などに期待

トライアスロンでの大きなシェアをもつ、サーヴェロだけに、その使命も多くのことが考えられる。

基本となる、エアロダイナミクス、軽量性、剛性などは各社でも「当然」のこととして性能向上を求められているが、トライアスロンに強いサーヴェロでは、大原則と言ってもいいフレームサイズのフィット性、基本性能となる直進安定性など、「乗れる、乗りやすい」、そういうバイクの開発を期待したい。

もちろん、現段階でもそれらができていないわけではない。ただ、小柄な日本人女性トライアスリートがハンドル落差のある理想的なポジション出しができるジオメトリーや造りの対応ができないのか?

また、直進安定性においても、その「度合い」がポイント。バイクに乗る上でまずやらなければいけないことは、真っすぐ走ることで、それができて初めて「推進力」を考えることができる。

その点では直進安定性は、トライアスロンバイクにおいて極めて重要なポイントなのだが、トライアスロン大会にも様々なコースがある。

例えば同社のグラベルロードモデル「Áspero(アスペロ)」は、フロントフォークの前後向きを入れ替えることで、±5mmのフォークオフセットが選択可能な「トレイルミキサー」を搭載し、トレイル量の調整が可能となっている(※)。

※編集部注:トレイルが長いと、直進走行の安定性が良いとされている。

サーヴェロのグラベルロードモデル「アスペロ」は、フロントフォークの前後向きを入れ替えることで、±5mmのフォークオフセットが選択可能な「トレイルミキサー」を搭載(サーヴェロ国内取扱元・東商会公式サイトより)

アスペロの目的は別だが、トライアスロンバイクにおいてもコースに応じたセッティングの一環として、操作性を変えるトレイル量を調整できたら面白い。同社のカレドニアやアスペロなどからトライアスロンモデルへのフィードバックがあるかもしれない。

また、トライアスリートのバイク選びを語る上で、度々キーワードとして挙げている「ユーザビリティ」(使い勝手の良さ・扱いやすさ)も、さらに高めていく必要があるだろう。

特に、エイジユーザーでも海外遠征が多いトライアスロンの場合、よりスピーディかつ、保護性の高い、確実なパッキングが必要となる。

ハンドルの分割仕様、専用ケースなど、下位グレードへの対応も含め、扱いやすいバイクの提案を大いに期待したいものだ。

少なくとも「P5」にはPX系同様の「遠征仕様」が待ち望まれている。P5は、TTとの兼用にもなるので、対応が難しいことも予想されるが、別モデルとして「P5 Tri」といったマイナーチェンジ仕様の追加も検討すべきだろう。

遠征時のユーザビリティを考えたP5Ⅹの「分割式ハンドル」。P3Ⅹへのアッセンブルも可能だが、今後ほかのモデルにも標準装備されるようになるか ©Kenta Onoguchi

主目的が「(レースでの)ロングライド」となるトライアスロンのバイクには、まだまだ開発の余地がありそうだ。

冒頭でサーヴェロは「F1専用」(クルマで例えるならフォーミュラカーレース専用)と例えたが、一方で新しいジャンル・乗り方への探求意欲も高い。

トライアスリート目線で見れば、そこには、さらに高い「快適性」を実現してくれそうな期待を感じてしまう。

■著者プロフィール
大塚修孝(おおつか・のぶたか)
本誌連載などでおなじみのトライ アスロン「モノ」ジャーナリスト。トライアスロンに関わり29 年。特に、アイアンマン世界選手権は、96年から四半世紀にわたり取材を続けているライフワークとなっている。レース出場者のバイク全台を自ら撮影して調査する「GERONIMO COUNT」など圧倒的なデータ収集力と緻密なデータ分析には定評がある。

Triathlon GERONIMO
www.triathlon-geronimo.com

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