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トライアスロンのランが強くなる!秋冬ベースづくりメニュー
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イベントダイジェスト
暑~い夏が終わり、走りやすくなった秋冬のうちに走り込んで、ベースづくり&ベースアップを狙うトライアスリートは多いはず。せっかく走り込むなら「トライアスロンのランが強くなる」オフトレにしませんか?
トライアスロンでのレベルUPを最終目的とした秋冬ラントレーニングのポイントを選手としてはもちろん指導者としても経験豊富なオリンピアン細田雄一さんと、まごちゃんこと孫崎虹奈コーチが、それぞれのレベルや目標レースに合ったラン強化のヒントを与えてくれるスペシャルセミナーを開催しました。
その様子をダイジェストでお伝えします。
■細田雄一 Yuichi Hosoda
51.5kmを主戦場に活躍してきたベテラン・エリートトライアスリート。2000年代からエリートレースを転戦し、2010年アジア競技大会(中国・広州)で金メダル、2012年ロンドン・オリンピック出場、日本選手権2勝など華々しい戦績を残してきた。現在は後進の指導にあたりつつ、自身はミドル~ロングに挑戦中。昨年は宮古島大会に初出場・完走を果たしている。1984年、徳島県出身。
■孫崎虹奈 Nijina Magosaki
ジュニア時代からエリートレースで活躍し、大学時代には日本選手権にも出場。卒業後は3カ年でアイアンマン世界選手権(KONA)出場を目指す 「KONA チャレンジ」にサポートスタッフ兼任メンバーとして参加し、2019 年アイアンマン台湾で女子総合優勝。2023年10月にはKONAに初出場・完走を果たしている。現在はフリーのコーチ、大会MCとして多方面で活躍しており、昨年は宮古島大会に初出場、女子総合7位で完走している。
トライアスリート向け 秋冬ラン・トレーニングメニュー
▶トライアスリート向け「秋冬ラン・トレーニングメニュー」
▶トレーニングレースとしてのランニング大会活用法
▶来季レベルUPのためのフォーム&モビリティ改善のヒント
孫崎虹奈さん(以下まご) メニューは3パターン用意していますが、まずは王道パターン。週末バイクをしっかり乗る、またお仕事の時間もある程度決まっている、朝や夜にきっちり時間が取れる人向けのメニューを見ていきましょう。
パターン① 週末もしっかりトレーニングできる王道メニュー
細田雄一さん(以下細田) まず、前提としてこちらのメニューは今年トライアスロン始めた方にはオーバーワークになる内容です。ある程度トレーニングされていて基礎的なものを終えて、ランを強くするという向上が目的ということをお伝えしておきます。
ボリュームもけっこう多いです。週末しっかりトレーニングできる、というのを予想して月曜日はオフにしています。ただ、お仕事によってお休みが違いますので、曜日はそれほど気にしなくて大丈夫です。
火曜日はテンポ走です。ここにちょっとハードなやつを入れます。朝をイメージしましたので、まずは10分間ウォーミングアップをしっかりして、体操もしてほしいですね。
テンポ走は、8分をゾーン3で行います。人それぞれ強度は変わってくるのですが、結構きついです。もし、ご自身のゾーンをしっかり分かりたい方は、ランニングでゾーンを計ってくれる施設が結構あるので、そういったところを活用するのもオススメです。ゾーン3でテンポ走、2分ジョグを3セット行います。
そして、次の日の水曜日にあえてロング走をします。練習って1日やって1日休んでというほうが効率が良いと思われがちですが、あくまでも完走目的ではなくてランニングのパフォーマンスアップで攻めていくのであれば、テンポ走のあとにロング走を入れます。
ただLSDのようにゆっくり走るわけではありません。ゆっくり過ぎるとヒザがつぶれたり、足首で走ったりしてしまうので、テンポ走でやった良いフォームを記憶したまま次の日にロング走を入れることで、結構良い状態で走れるんですよね。
1日空けるとリセットされてしますので、良いフォームを記憶しているうちにこの練習をするのがオススメです。選手の間でも行っている方法で「セット練習」という言い方をしますが、あえて2日間続けてやる。そうすることで、次の日に毛細血管を増やせるし、意外と疲労抜きにもなるのでオススメです。
効果としては疲労がある状態でロング走をするので、バイク後疲労しているトライアスロンのランと似た状態を作り出せます。トライアスリートの方はご存じだと思いますが、レースでのランって普段のランと全く違う状態ですよね。経験があると思うのですが……(笑)。
いつもフレッシュな状態だけのロング走だとレースで走れない。そういうのも効果として見込めます。できれば90分~120分。これは平日の朝か夕方かのどちらかですけど、かなり難しいと思います。
が! 「ランが強くなる」ためのメニューですから、これくらいやれば間違いなく強くなります!
そして、2日間トレーニングしたら必ずオフを入れます。テンポ走の筋肉痛も翌々日に時間差できて48時間とかリカバリーにかかってくると思うので、疲労のピークがくる木曜日あたりでしっかり疲労をとります。
もちろん、トライアスロンですから木曜日の朝スイムが入ってる方も多いかもしれません。でも、オフのときにランを強くしようと思っているのに、スイムもバイクも強くしようと欲張ると、オーバーワークになってしまうこともあるのでどれか1種目に絞ったほうがいいんですよね。
オフ後の金曜日は30分ジョグで流します。土曜日はバイクライド後、30分~60分走ります。平日はバイクライドは難しいと思います。30分くらいの屋外ライドだったらローラーのほうが効率が良いですから。
そのため、ある程度乗ってからランをします。ランニングの前にバイクに乗っていれば、有酸素運動をしてからのランですから効果としてはものすごく高い練習になります。
日曜日はできればペース走を行います。しっかり走っている方でなければここでのペース走は難しいので、しっかり体力がついてからがいいかなと思います。ペース走というのは、ペースを上げたり下げたりしない。変化走の逆ですね、5分と決めたらずーっとそのペースで40分から60分走ります。
レースペース+30秒が目安かなと思います。1㎞あたりそれくらいがゾーン3かな、と。もしレースペースが5分の方であれば、5分30秒とか40秒とか。
まご 質問が来ています。トライアスロンのランが強くなるということですが、51.5㎞のレースのラン10㎞のタイムで40分を目指している場合は、ペース走のときも40分を想定して走るか、ちょっと早いタイムのほうがいいのか。ということですが、いかがでしょう?
細田 これ本当に面白くて、世界のトレーニングもどんどんアップデートされていくんですよ。今年のパリオリンピック金メダリストのアレックス・イー選手は、高強度練習を取り入れていて、1㎞8本ハードなどを実践しています。
3年前の東京金メダリストのクリスティアン・ブルンメンフェルトは、もっと下のゾーンをずっとやっています。何が言いたいかって言うと、ご自身がどういう練習方法を積んでいくかっていうところで変わってくる、ということなんです。
ハイインテンシティ、高強度トレーニングもやるし、低強度もやる、というようにあっちこっちトレーニングをしていくと、うまくトレーニングが進んでいかないんです。
高強度もやるのに低強度の長いのもやると、オーバーワークになってしまう。時間がたっぷりあればいいですけどね。
まご 心拍を計れる時計では、ゾーンが色でだいたい分けられていてざっくり分かると思いますので、計測できる施設に行くよりも手っ取り早いと思います。
【ゾーンの目安】
細田 これは一人ひとり違いますからね。自分が現役の選手時代の2002年頃は時計では測れないので、施設に行ってきついテストをやっていましたが、今は時計で目安が分かる。だいたい1カ月くらいログをとっていれば良い目安が出ると思います。これ、すごくコスパがいいと思います。心拍ベルト、心拍を取れるガジェットはオススメです。
まご 質問で、最大心拍数からゾーンを教えてくださいっていうものが来ていますが、私の感覚だと50%がゾーン1,60%ゾーン2、70%ゾーン3、80%ゾーン4、90%以上くらいがゾーン5くらいかなという感覚ですが、本当に人それぞれ違うということですよね。
細田 そうですね、それから心拍だけにとらわれないほうがいいとも言えます。コーチが選手を見るときに何を見るかって言うと「主観的強度」っていうのを見るんです。朝起きて心拍を取る人が多いと思うんですけど、プラスして主観的強度を10段階でつけておくとすごく効果が高い。
時計の数値では調子が良い、または疲れていると出るけれど、そこに主観的強度を入れていくことはコンディショニングに役立ちます。あとはモチベーションも大事で、トップ選手たちもモチベーションと疲労度とふたつに分けて記録しています。
疲れてないけどモチベーションないなっていうときもあると思います。その辺は、ガジェットをすり合わせて、強度を変えていけばいいんです。
たとえば、今日は1㎞4分~4分15で8本やりましょうとなった場合、モチベーションが低いし疲労度も高ければ、4分15の効果が見込まれる一番下限でやったほうがいい。それより下だと効果が薄れてしまうので、そこはやはり踏ん張らないといけないので本数を6本に減らすとか。
こういった微調整は、特にお仕事をされているエイジグルーパーの皆さんであれば、もっとシビアに練習メニューをチョイスしていいと思います。
パターン①に日曜日のテンポ走は8分と書きましたが、10分でもいいし、2セットにしてもいい。継続が何よりも大事なので。こういったトレーニングは1週間やっただけでは強くならないので、少なくともこのオフの期間はやらないとあまり効果がありません。これは、ランだけではなくてどの練習でも共通です。
パターン② 週末集中メニュー
まご パターン①はガッツリパターンでしたが、次のパターン②は週末やお休みのときにしっかり集中してやるパターンです。比較するとどのあたりが変わっていますか?
細田 「ラン強化」を強調して、バイクはそんなに乗らないというパターンです。こちらも月曜日はオフ。何もしない日は1日はあったほうがいいという考えがあって、身体的にも精神的にも大事なのでオフにしています。
火曜日は60分マックスでジョグ。翌日にペース走が待っているので、ちょっと走っておくことで身体も動くので。そして週の真ん中、水曜日にペース走をもってきています。40分~60分くらいです。強度はゾーン2です。これも本当にベーシックな秋冬でベースを作っていくというメニューです。
練習ってピラミッドにするのが一番良くて、一番高いところはゾーン5なのですが、トライアスロンではほとんどいらない。インターバルでさえ、ゾーン3でいいと思っています。
私の場合は、ゾーン2の上限で心拍150拍くらい、最大心拍が200なので高めです。ご自身のゾーン2の上限までを目安にしてください。この上限をキロ何分、たとえばキロ6分と決めたらそれで60分走ります。ゾーン2ってLT1の下ほうなので、間違いなく効果が高いのでやりましょう。
木曜日はジョグで、疲労も出るかもしれないので金曜日は週末の練習に備えてという意味でもしっかりオフにします。
テンポ走は筋肉の張があると効果下がります。フォームが悪い状態でやると変なフォームが身に着いちゃうんですよね。選手たちにも言っているのですが、1㎞8本のラスト7~8本のときはフォームが崩れるんです。そでも頑張ってラスト200mをダッシュしたりする……でも、あれはほぼほぼ意味がない(笑)。
土曜日は、10分ウォーミングアップして、8本テンポ走、10本でもいいし、ゾーン3なので15分が1セット。走る時間によってレストも変えていって、だいたい1/4くらいの時間かな。これを4~5セット行います。そうすると50分、最大でも1時間内にしてください。結構良い練習になります。
ここでも、ガジェットをつけている方だと「高強度有酸素トレーニング」の数値が4とか5段階が出て「今日あなたは高強度有酸素の練習ができました」みたいなコメントがつくと思います。そういう有酸素の高いところのメニューになっています。
そして、やはり日曜日はロング走をやってもらいたいです。★マークを付けていますが、これは持久力アップ、固まった筋肉をほぐすイメージです。ただ、気を付けてほしいのはあまりダラッと走るのではなくて、リラックスはするけどヒザが落ちたり、腰が落ちたりしないように良いフォームで走りましょう。
良いフォームというのは前の日にテンポ走で走っているので、それを思い出しながら走るといいですね。セット練習の効果はそこにもあります。前の日に早いスピードで走ると次の日も走れる、と。
まご 51.5kmでもロングでもやることは変わらないでしょうか?
細田 そうですね、ラン強化という面でお話ししているので変わりません。
まご 私の場合は、アイアンマンに出るからと言って30㎞走などやったことはありませんでした。基礎ができていれば、スピードをどこまで継続できるかっていうところなので、テンポ走からのロング走はとてもイメージしやすいですね。
51.5㎞でもアイアンマンでも同じメニューができると思いました。
パターン③ 年末年始を利用した強化メニュー
まご では3つ目にいきましょう。パターン①、②は時間がない人向けのラン強化のメニューでしたが、3つ目「セルフ合宿」に関しては、これからの時期、時間に余裕がある人がランに特化するためには何をしたらいいのかっていうところで、実はランだけではなくて、バイクのロングライドも入れたほうがいいよっていうのが、雄一さんのオススメのトレーニング法ということですよね。
細田 時間がある年末年始に強化するっていう意味であればランだけに偏らず、パターン①、②のメニューをそこまで大きく変えずに時間がとれる分、ロングライドを入れてみたほうが体力がつくと思います。
一番時間がかかるのが自転車ですよね。アイアンマンであれば180㎞をあのポジションで乗るっていうのはたまに経験しないとダメだと思っていて、1カ月に1回くらいは週末に入れておかないとレースと同じ時間、自転車のサドルの上にいるのは必要だと思っていまして、まさにこの年末年始にやるべきことのひとつかなと思います。
これは選手としてのあるあるなんですけど、レースがないときにやり過ぎてしまって、シーズン前にヒザを痛めたり故障してしまう人も多い。ラン強化といえども、年末年始はランの走り過ぎは逆に注意かなと思っています。
オーバートレーニングにならないためには、トレーニングログをつけるのがオススメです。デバイスに勝手にログが溜まりますけど、1週間ずつとるのがいいでしょう。
まご 表にもあるように実施する順番は必ずこの順番ですね。先ほどのトレーニングの内容にもありましたけれど、テンポ走からのロング走で距離をしっかり走るっていうところの順番を守ったほうが、トレーニングの効率は良くなるということでしょうか。
細田 これらの練習は言うだけではなくてもちろん私もやるんですけど、今年はテンポ走をオフのテーマとしています。これはちょっとやっただけでは効果が出なくて続けないと効果が出ないパターンです。
そのため、高強度でやっていくならまた別のコーチの案が必要になってくるのかなと思います。高強度にはそれなりの練習があって、ハードなインターバル入れると、他はほぼほぼジョグでいいと思っています。あまりやり過ぎると壊れちゃうんじゃないかなと思うので。そこは注意が必要ですね。
ここで紹介したテンポ走、ロング走の練習をしているのに違う曜日にインターバルをいれるのはオススメしません。
ADVANCE
30秒の短距離走でタイパ良くレベルアップ
エリート選手たちに流行っている300m全力走というのを紹介します。
ちゃんとウォーミングアップやった後、300m、皆さんなら200mでいいと思いますが、時間にすると30秒だけダッシュを入れます。有酸素と無酸素のハイブリットがだいたい30秒くらいなんです。ダッシュを3本だけ入れて、そのあとにペース走をやるんです。
テンポ走とロング走のセット練習を、テンポ走=ダッシュ、ロング走=ペース走にして、ハード練習として取り入れています。
メニュー①、②のパターンに余裕がある人やたくさん練習されている人は、こういったダッシュも取り入れみてもいいかもしれません。
ただ、注意点はケガです。200mダッシュの間隔は15分くらい開けてくださいね。それくらい、1発ずつをドカン、ドカン、と本気でやるので。その後はすぐペース走、そうするとキロ4分がゆっくりに感じます。
「こんなにゆっくりなの」ってビックリするかもしれません。着地も接地も地面をとらえる感覚が相当良くなるので、オススメです。
これは鍛えていないとできないので番外編としてお伝えしておきます。
かなりレベルは高いですけれども、よく体操、動きづくりをしてから行います。30㎞走は時間がかかりますが、このような練習ならタイムパフォーマンスがいいですよね。
まご 質問で、トレッドミルの効果がある練習があれば教えてください。雪国に住んでいるのでこれからの時期外を走ることができません、と来ています。都内も一気に気温が下がって、室内で走りたいという人もいると思うのですが。
細田 トレッドミル、すごく足に優しくていいです。そのうえで、注意すべき点が大きく分けて2点あります。
まずは斜度に関して。0℃でやるとブレーキ気味になるんですよね。普通は自分が動きますけれどトレッドミルは下が動くのでブレーキがかかります。そのため、0.5~1%角度を上げるといいと思います。その分、速度を落とせば心拍は外と同じで、同じメニューができます。
もう1点は足が流れやすいです。足が後ろ後ろに流れてふくらはぎを使います。これに慣れちゃうと外に出たときもふくらはぎをいっぱい使う走り方になりがちですので、早めに返して、足を前に出してあげるのは大事です。
まご 私も90分、20㎞走るときはトレッドミルを使っていて、日本選手権やアイアンマンの動画を見ながら走ります。外よりも自分の着地の音がよく聞こえるので、雄一さんがおっしゃっていた、後ろの巻き込みも流れていくと着地の音もどんどん遅れていくのでそのリズムを考えながらやるといい。斜度もだいたい0.5から1上げてやっています。
細田 逆にそれを使うのもありかな。フラットにして走ってみるとヒザで受けているのがよく分かるんです。それをやったあとに斜度をつけると、お腹とか体幹まわりとかお尻とかで体重受けているなって差を感じる遊びというか、そういうゲーム性をもたせても面白いかもしれませんね。
まご 私はトレッドミル大好きなのですが、インターバルもやりやすいですね。
細田 あとは下に落ちるのだけは本当に気を付けてください。
まご 私からのアドバイスとしては、室内用のシューズで走る人もいるんですけど普段と違うと足を痛めたりとかするのも普段のシューズと同じ物のほうがいいと思います。
トレーニングレースとしてのランニング大会活用法
まご トライアスリートの皆さん、結構マラソン大会に出たりとか駅伝入れたりする人もいるので、トレーニングとして活用する方法をお話ししていきたいと思います。ひとつずつピックアップしていこうかと思います。まずはフルマラソン。雄一さんどうでしょう。
細田 フルマラソンはかなりハードです。テーパリング調整をして自己ベストを出すとして走るのであれば、それは「レースとして」いいと思います。
ただ、トレーニングとして取り入れるには長過ぎるのでは? と思っている派です。フルマラソンを1回走るとしっかり休息を入れないとオーバーワークになりがちですので、私はフルマラソン後はしっかり落としてリセットしてから練習したほうがいいと思っています。
まご 私もフルはあまり出ていなくて、単体では1回しか出ていません。あとはアイアンマンで3回フルマラソンを走ったっていうくらい普段はフルを走りません。雄一さんのおっしゃるとおり、身体も疲労しますし、内臓系も疲れちゃったり余計なところでパワーを使っちゃうので。
私はクロカン、トレランのほうに振り切ってトレーニングすることが多いので、何をターゲットにするのかっていうのは大事かなと思います。
ではハーフはどうでしょう?
細田 これはすごくいいと思います。ハーフは最大強度の練習だと思って取り入れるのは効果が高いと思います。たとえば、トレーニングとして強化として取り入れるのであれば前の日にロングライドを入れてハーフに出るのは効果が高いと思います。
ただ、そうするとハーフのベストタイムなんか絶対に出ないですから、トライアスロンのランを強化すると考えることが前提です。ハーフマラソンのペースを考えるのではなくて前の日にバイクに乗って疲労した状態でハーフを走るのが目的、それはグッドだと思います。
90分~2時間くらいで終わるので疲労もそんなにない。ロングの練習には最適ですね。
まご なかなかひとりで90分走るはがしんどいな、っていう人にはちょうどいいですよね。そして、5~10㎞のロードレース、こちらは目的が変わってくるというか。
細田 何を目的にやるかですよね。多分1時間以内でゴールできると思いますので、ゾーンで言えば4、人によっては5になってきますからもし強化を目的にするのであれば、前日に疲労しないほうがいいと思います。
中途半端なペースで5~10㎞のロードレースに出ても、練習とし意味がないと思うので3日間くらい前から練習は抑えて、フレッシュな状態で自分のベストを出していくっていうほうが、かなり良い練習になると思います。
ただ、ケガには注意ですね。特に冬場なので。
まご 私の場合、春先にレースがあるときには4月とかのリレーマラソン、ファンレースで刺激入れみたいなイメージで入れたことはありますけど、冬場に出ることはありません。
冬場の5~10㎞は身体への負担が大きいというのが理由ですが、練習では出し切れないパワーを大会では出せるといういう点は大きいかもしれませんね。
出場の目的がもうひとつ上の段階で走りたいっていう場合はいいと思います。ただ、ダラッと出るよりはなにか目的を見つけて、そのためののトレーニングができるといいと思います。
そして、クロカンやトレラン。海外だとクロスカントリー大会が多くてトライアスリートも出ているイメージがありますが、どうでしょう?
細田 これがすごく効果が高いので、日本でもクロカンレースが増えてほしいですね。トライアスリートに一番最高のトレーニングになると思います。
何がいいかというと、心肺機能強化にすごくいいと思います。あとは脚筋力強化。芝生だったり、土だったりするので、身体の使い方がすごく上手になります。
着地の位置がちょっと前に出ただけで全然進まないですし、着地後に足をけると滑っちゃって進まないんですよ。足をける、足首を使うような走りだと全然前に進まないので、自然に反発をもらうような自分の体重をしっかり押し込んで走るので、着地してからヒザがつぶれるという走りではなくなります。
まご トレイルランだと山登りよりもスピードハイクくらいでなかなか走れない。下りはちょっとスピードを出しながら気を付けるというところで全身の筋肉を使いますよね。一方でクロスカントリーは走れちゃうところがポイントです。
なかなか大会がないので、公園の土の所を走る続けるとかビーチを走ってクロカンに近いような不整地を走ってみるといいと思います。
最後にひとつ質問がきています。フルは負担が大きいというお話しですが、アイアンマンレースに向けての強化ならフルマラソンは有効ですか? ということですが、いかがしょうか?
まず、私の場合でお話しすると、アイアンマンは70.3を含めたら、4~5回出ていますが、アイアンマンのためにフルマラソンに出場したことは1回もありません。30㎞走もやったことがなくて、マックスでも20㎞走くらいまでです。
それでも一応、3時間40分くらいでアイアンマンのフルマラソンを走っている私からすると、練習でフルマラソンを走ってもそのタイムがアイアンマンに反映されることがまずない。
バイクの後のランなので100%のタイムでバイクを走っても、ランで歩いてしまったらどれだけフルマラソン単体のタイムが良くてもトライアスロンとしては良い結果にはなりません。
42㎞走る自信をつけるためには出てもいいと思うけれど、アイアンマンのためにフルマラソンに出るっていうのは、つながらないかなと思っています。
細田 私もまごちゃんと一緒の考え方です。あとはフィットネスレベルによると思います。40㎞走ってもキロ4分くらいで走ってもそんなに疲れないよ、2時間50分くらいのタイムだったら練習でできるよって方であればフルマラソンのレースも良い練習になると思います。
実際、アイアンマンのプロの選手はやっていたりもしますしね。でも、そうではない方が入れてしまうとほぼレースの強度になってしまうので疲れちゃって、1カ月内臓疲労が残ってしまうことになりかねない。それはレースまでとったおいたほうがいいんじゃないかなと思います。
ロングライド180㎞も練習として毎週ちゃんとできるのかが大事で、もしできないのであれば150㎞とかに落としていかないとただのオーバーワークになっちゃう。
トライアスロンは1年では強くなれない。積み上げていくしかないんです。本当の意味で強くなるには10年くらいかかるんじゃないかと思っています。長いと思う方もいるかもしれませんが(笑)、だからこそ楽しい。
1年少し上がって2年目下がってしまっても、また3年目は上がっていけるという、そういうスポーツだったりもするので。
まご 自分の特性ですよね。短いほうがいい人、長くじっくりやったほうがいい人、競技歴が重なってくると、分かってきますので、どういった練習方法があっているかと自分で把握しておくのは大切かもしれませんね。
来季レベルUPのためのフォーム&モビリティ改善のヒント
【細田雄一のオススメはパーソナルトレーニング】
フォームとは言うのは、走っているときや泳いでいるときの姿勢のことです。そしてモビリティというのは機能性や動きのことです。エリート選手もそうですが、こういったことはシーズン中とかにはやらなくて、秋冬のベースづくりのときに行います。私も行っていました。
今もそこは変わらず、各国の強豪レベルの選手でさえ、この時期を練習のボリュームをグッと落として、週に2~3回、私は2回、トレーニングラボ、ジムに通ってトレーナーさんに見てもらっていました。
すべてに入れることですが、これも十人十色で人それぞれ違いますので、できればパーソナルトレーニングがオススメです。
まず自分と向き合って、何を求めるのか、パワーなのかスピードなのか、メディカルチェックも入れて、自分のゴールを決めます。
12月~3月まで4かげつくらいのプランを立てます。たとえば左右のバランスや機能の弱っているところを把握して強化するとか。
パーソナルトレーニングというと、結構値段が高いというイメージがあるかもしれませんが、その人に何が必要かを考えてくれ、的確にみてもらえるのでフィジカルトレーニングだと思ってみてもらえればいい。
すべての運動に通じる、身体の基礎、フィジカル、フィットネス、トライスロンの3種目すべて、ケガ予防としても。1回覚えてしまえば、知識とて蓄積されるので実はコスパとしてはとてもいいんです。グループワークで受けるよりも、個人的に受けたほうがいい。
できる練習が増えていくので、オフトレ時期にオススメします。
ただ、ボディーメイクがメインのところはオススメしません。高めようと思ったときに筋肉を肥大させるというのはそんなにつながらないからです。もちろんコンテストに出るなどであれば別ですが、しっかりと自分の目的を考えればトライアスリートにとってはそこは必要ありません。
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