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Maurten:ハイドロゲル×重炭酸塩の先の「無敵感」とは?<ニナー賢治編>

投稿日:2025年2月15日 更新日:


ルミナ編集部

text by:

ニナー賢治 Maurten
Maurten

話題のバイカーブ・システム
トライアスリート的メリットを語る

チームJAPAN男子のエースとして活躍するトップトライアスリート、ニナー賢治も愛用しているMaurten Bicarb System(マウルテン・バイカーブシステム)

特に高強度でのレースやトレーニングで、限界を超えたいときに、大きなメリットがあると話題になっている最新&注目補給食の真価について、

ニナー選手自身に語ってもらった。

取材=東海林美佳
写真=小野口健太

ニナー賢治
Kenji Nener
オーストラリア人の父と日本人の母をもつトップトライアスリート。18歳のときにトライアスロンに本格参戦。2018年12月からは日本代表としてワールドカップ、世界シリーズに出場(2021年4月に日本国籍を取得)。東京・パリ2大会連続でオリンピックに出場。2024年のWTCS横浜大会では、並みいる強豪を相手に日本人男子歴代最高位となる7位入賞を果たしている。

スーパートライの3/4は
キツさを感じないで戦える

――バイカーブをレースで使って良い感触を得ているとうかがいました。

昨年(2024年)距離が短いスーパートライ(supertri)※のシカゴとトゥールーズでバイカーブを摂取して臨んだんですが、良いパフォーマンスを発揮することができ、上位に食い込むことができました。

高強度で高いストレスがかかるスーパートライは、僕にとっては実験の場でもあるんです。そして見事に良い結果が出ました。

――どういう違いをもたらしてくれるんですか?

強度の高いスーパートライにおいてもレースの4分の3はキツさを感じないで戦える。もちろん最後はキツくなりますが、そこに集中して追い込むことができるんです。

※【supertri】スイム300m/バイク 4.8km/ラン1.6km×3セット連続など独自の短距離フォーマットで競うエンタメ性の高いプロリーグ。メダリストらが居並ぶレースでニナー選手は5・6位など上位入賞を果たしている。

Maurten Bicarb System
アスリートが高強度でのレースやトレーニングで、これまでの限界を超えるために開発された、革新的な補給食。GelやDrink Mixに使われているハイドロゲル技術を用いて、重曹(重炭酸塩)をカプセル化することにより、胃などの負担なく摂取することを可能にした。12、15、19の3サイズあり、体重と過去の使用経験によって、適切なサイズを選ぶ。

■内容物:ミキシングボウル、ハイドロゲル成分、重炭酸成分(重曹)
■価格:16,200円(1箱4食分入り)

▶使用方法などの詳細・ご購入は公式サイトから

独自のハイドロゲル技術で
実現した重炭酸塩ローディング

――キツさを感じない感覚というのは具体的には?

バイカーブの成分である重炭酸塩というのは、いわゆるバッファなんです。

乳酸がたまってきても、それを感じるまでに時差を作ってくれる。限界ギリギリのところで追い込むと、乳酸が蓄積されて筋肉が重く強張ってくるんですが、それを感じないのでさらに追い込める。

ある一定の時間帯でそういう「無敵感」を感じることができるんです。

もちろん、それはずっとは続くわけではなく、徐々に薄れてきて通常の感覚が戻ってきます。あくまで僕個人の使用感ですけど。

この重炭酸塩という物質はずっと前から研究されていて、パフォーマンスアップに効果があると科学的にも証明されています。オーストラリア国立スポーツ研究所でも推奨されていました。

ただ問題があって、そのまま摂取するとほとんどの人が胃をやられてしまうんです。

オーストラリアにいる頃、選手が錠剤をそのまま飲んでいるのを見かけたこともありましたが、胃を荒らしたり、ゲップが出たり、ひどい場合は下痢をすることもあったんです。だからなかなか実用化されなかった。

バイカーブを本番で使用する前、1、2回練習で試したというニナー選手。その際に測定した乳酸値にも違いが顕著に出たという

――マウルテンのバイカーブでは、その問題は起こらなかった?

マウルテンのバイカーブは重炭酸塩の小さな錠剤をハイドロゲルに包み込むことで直接胃壁に触れないようにしているので、胃を荒らさず腸まで届く。これは、本当にすばらしい解決法だと思います。

マウルテンがかなり前からバイカーブの開発に取り組んできたのも知っています。クリスティアン(ブルンメンフェルト)やアレックス(イー)が発売前から試していたのを見てますから。どのレースで使ったかまでは知りませんけどね。

グフタフ(イデン)はスイム序盤に照準を合わせて摂取してましたね。

スイムは先頭集団に入れるかどうかがかなり重要で、グスタフはスイムが苦手種目なので相当攻めないといけない。バイカーブでダメージを感じずに限界まで攻めるという作戦でした。

トレーニングをともにしている最強ノルウェー・コンビ、ブルンメンフェルト(写真)やイデンらも早くからバイカーブを実戦投入していたという

――勝負所にタイミングを合わせて摂取することができるわけですね。

そのメリットがずっと続くわけではないので。

バイカーブが身体に吸収されて作用する時間を逆算して摂取できればいいわけですが、レース中に摂取できるものではないので、そこは難しい部分もありますね。

自転車競技ではレース中に摂取するケースもあると聞きましたが、どうやってそれを可能にしているのかは不明です。いずれにしろ、よく理解して正しく使うことが大事だと思います。

コンポーネント A(ボウル)、コンポーネントB(ハイドロゲル)、コンポーネントC(重曹)の3つからなるMaurten Bicarb System

まず、ボウル(A)に水を200ml 入れ、ハイドロゲル(B)を注いだ後、フタを締めて激しく振り混ぜる

5分間ほど放置した後、フタを開けて重炭酸塩のタブレット(C)を注ぐ

ハイドロゲルが均一になるまでスプーンでやさしく混ぜたら、すぐに摂る。重曹のタブレットは噛まずに、そのまま飲み込む

勝負レースのスタート直前
30~40分前にチャージ!
〈ニナー選手の使用実例〉

――ニナーさん自身はレースの何分前に摂取してるんですか?

スーパートライでは、スタートの30分から40分前です。

メリットの持続性を考えると、もっと直前に摂ったほうがいいのかもしれないんですが、レース直前に胃の中にものを入れるのには抵抗があるので。

スタート前にある程度胃を落ち着かせた状態にするには、そのぐらいのタイミングがいいと思ってます。

――他の選手も使っているんですか?

スーパートライでは結構見かけますよ。僕以外に7、8人はいるんじゃないでしょうか。

――スーパートライより長い距離でも使う予定ですか?

オリンピックディスタンスでは使えそうだなと思っています。

アイアンマンのような距離ではどうかな。レースの特徴と自分の強み、弱みを考えた上でうまく使いたいですね。

パフォーマンス持続に必要な
炭水化物を確実に摂れる
〈Drink Mix&Gel〉

――ジェルやドリンクミックスも愛用されているそうですね。

効率良く大量に炭水化物が摂取できて味も好きなんです。ドリンクミックスは進化して飲みやすくなりましたね。

――レースではどう使っていますか?

オリンピックディスタンスの場合、レース前にドリンクミックス320を1本飲み、さらにもう1本、320を入れたボトルをバイクに積んでおきます。これはどちらかというと予備。

そしてバイクにはジェルをふたつ貼り付けておきます。すべて使い切るわけではないんですが、エネルギーが欲しいというときに摂れるように多めに持っておくんです。

基本はバイク中に摂取。ランでも必要だと思ったらバイクからジェルを剥がして持っていきますね。

Maurten Drink Mix

リニューアルされたDrink Mix
ハイドロゲル技術はそのままに、より水に溶けやすく、口当たり滑らかになり、吸収もよりスピーディーになったドリンクミックス。ユーザーであるアスリートの声に耳を傾けた、マウルテンならではのアップデートが好評。

――マウルテンを使うようになって、違いを感じますか?

炭水化物を確実に摂ることで高強度のパフォーマンスが持続できるというのは大きいです。

クルマはガソリンがなければ走りませんよね。シンプルなことですが、エネルギー補給を軽く見ると痛い目にあいます。

レースでは、バイクボトルにドリンクミックス320を入れて携行している ©Sho Fujimaki

――これからIM70.3などにも積極的に参戦していくということで、補給はますます重要になってきますね。

70.3は距離的にはオリンピックディスタンスのおよそ倍なので、それをベースに補給計画をプランニングしていこうと思っていますが、とにかくエネルギー切れだけは起こしたくないので、ある程度予備の分も持ってレースすることになると思います。

あとはレース中、集中しているとつい飲むのを忘れたりしがちなので、気をつけたいですね。

――70.3での活躍、楽しみです!

日本のエイジグルーパーの間ではショートよりもミドルやロングのほうが人気があるようですが、プロはまだ世界レベルに届いていない状況です。

僕が参戦していくことで、より注目度を上げ、日本のトライアスロン界に変化を起こしていきたいと思っています。

昨年(2024年)12月には出身地パースに近いバッセルトンで開催されているアイアンマン西オーストラリアで70.3デビューを果たしたニナー選手。壊れたウエアのジッパーを直していてドラフティング・ペナルティー(5分)をとられてしまったりで順位こそ振るわなかったが(プロ20位)スイムはほぼトップと同じ位置で上がるなど、今後に期待をもたせるポテンシャルを発揮した ©Sho Fujimaki

Maurten(マウルテン)とは?

Maurten

スウェーデン発の次世代スポーツニュートリションブランド。独自の「ハイドロゲル・テクノロジー」によって、かつてない高濃度の炭水化物を効率よく、胃への負担なく摂取することを可能にした革新的補給食。トライアスロン界ではサム・レイドロウ以外にもルーシー・チャールズ・バークレー、クリスティアン・ブルンメンフェルト、グスタフ・イデン、フローラ・ダフィといったトップ選手たちのパフォーマンスを支える。ヤン・フロデノも現役時代、愛用していた。

今回、冒頭で紹介したバイカーブシステム(Bicarb System)以外に、主力商品として、水に溶かしてドリンクとして飲むパウダータイプ(Drink Mix=写真)とジェルタイプ(Gel)がある。

Maurten

一般的なエネルギージェルよりも、やや固形に近い、もちもちした独特な食感のMaurten Gelタイプ

なぜ、カラダにやさしいのか?

ハイドロゲル・テクノロジー
「ハイドロゲル・テクノロジー」とは、炭水化物をハイドロゲルで包み込むことで、胃に負担をかけることなく吸収器官である腸まで素早く届ける技術。アイアンマンにおける補給は第4の種目と言われるほど重要な要素だが、嘔吐やおなかの不調といったトラブルに悩むアスリートは少なくない。Maurtenはこの「ハイドロゲル・テクノロジー」によってそのリスクを最小限にとどめることに成功した。

無添加、ナチュラル。
Maurten製品は香料、着色料、保存料無添加。また、ハイドロゲルの原料は海藻から抽出されたアルギン酸塩と、りんごやレモンなどに含まれるペクチンという2種類の食物繊維のみ。余計なものは一切含まず、必要なものだけが含まれているため、原料リストは至ってシンプル。

Maurten Products
製品ラインアップ


水に溶かしてドリンクとして飲むパウダータイプの「Drink Mix」とジェルタイプの「Gel」があり、「Drink Mix」には「320」と「160」、加えてカフェイン入りの「320Caf 100」の3種類がある。ジェルタイプは「Gel 100」と「Gel 160」、そしてカフェイン入りの「Gel 100Caf 100」の3種類。「100」「160」「320」など数字の違いは内容量(摂取できるカロリー数)の差。

▶詳細・ご購入はコチラ
Maurten公式サイト

 

 

 

 

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