3種目やるようになって、ランのタイムもよくなった
「3年前、はじめて横浜でトライアスロンを見た時は、こんなところで泳ぐんだ・・・と驚きました。その時は、トライアスロンを自分がやることになるとは思いませんでしたね」
中学時代から陸上をはじめ、全国高校駅伝、箱根駅伝、実業団ニューイヤー駅伝出場と、トップランナーとして活躍してきた瀧田護。6年前からランニングスクール「RUNVENT」を立ち上げ、現役時代に培ったノウハウを活かして、一般の人々にランニングの技術やランニングのある生活の楽しさを伝えている。横浜を中心に展開しているこのスポーツコミュニティの会員は4歳児から60歳代までとさまざまな年齢層が所属し、今では160人を超える。
指導者としても充実した日々を送っている瀧田さんが、今回、トライアスロンに初挑戦する。8月27日に開催されるオリンピック・ディスタンスの木更津トライアスロン大会だ。
「スクールで教えている選手が、1年ほど前にトライアスロンをはじめたのですが、泳いだり自転車に乗るようになってから、ランニングのタイムもよくなりました。3種目やることは、クロストレーニングにいいのだろうと、僕自身も、やってみたいという気持ちになりました。指導者として教えている以上、自分も新しいことに挑戦して、その姿を見せていきたいという思いもありましたね」
バイクはゼロからのスタート
木更津トライアスロンに出場することを決めたのが大会の3カ月前。高校2年生で疲労骨折をして半年間走れなかった時に、心肺機能を強化するためノンブレスで85m潜水したり、見よう見まねで1500mまではクロールで泳ぐことはできたので、泳ぎ自体には不安は感じなかったが、海では波もあるし、水温も一定でない、プールの泳ぎ方ではダメだと、自宅のある茅ヶ崎の海で実践的な練習を開始した。
週に2、3回、目標物を見ながら、真っすぐに泳ぐ練習や、どんな条件でも泳ぐことができるようになるために、あえて違うビーチで泳いだりしているという。
一方、エントリーと前後して購入したバイクの練習は、ほぼゼロからのスタート。元実業団選手がやっているバイクショップでクリートの外し方から始めて、ペダリングの技術を教えてもらっている。
「3種目は全然ジャンルが違うように見えますが、自分の重心軸を生かして、どういう風にコントロールしてその種目を乗り切るのかというところは共通している。それをひとつにまとめて闘う競技に魅力を感じています」
今までのシューズより、楽に速く走れるよう導いてくれる。
木更津でトライアスロンデビューする瀧田さんが選んだのが、HOKA ONE ONEで最軽量のロードシューズのTRACER(トレーサー)だ。
「このシューズをはき始めて驚いたことは、臀筋とかハムストリングなどの前に進むために重要な脚の裏側が刺激されて筋肉痛になったことです。現役時代から、さまざまなタイプのランニングシューズをはいてきましたが、今までは筋肉痛になったことはなかったんですが」
今までのシューズでの走り方での筋肉の使い方と異なり、普段使わない筋肉も使うようになることで、最初は筋肉痛になったようだが、このシューズでの走り方に慣れると、そうした筋肉痛はなくなり、従来のシューズよりも楽に、速く走れるようになってきた。
「着地するとき、普通は左右にブレて小指のほうに力が逃げるのですが、(HOKA ONE ONEのシューズは)ソールの形状が安定しているので、蹴らずに脚を前に運ぶと、自然と前に進みます」
心と身体を整える。
2007年現役を退いてからRUNVENTを立ち上げるまでの4年間、瀧田さんは家電量販店で接客の仕事に就いた。
「接客業をやっていた時は、走っていなかったのですが、気持ちが悪かった。歯磨きじゃないけれど、スポーツがある生活は、心と身体を整えているというのを感じましたね」
そして、その経験は、人に伝える今の仕事に生かされている。
「男女、年齢層も違う。さまざまなお客さんに、商品のメリットとデメリットを伝えて、それをお客さん自身に選んでもらう。同じように相手にどうイメージさせて、相手にどう決めさせるかの情報を与えるのが、コーチングの仕事だと思っています。いくら技術を教えても伸びない。その人自身が自分で決めて進んでいるかいないかが重要なんです」
より質の高いコミュニティを目指し、ランニングの技術はもちろんのこと、心のコントロールにも重きを置いて指導している瀧田さん。最後に、木更津大会への意気込みを聞いた。
「トライアスロンはメチャメチャなところがある。レース本番では、突発的なことが起こるかもしれません。スイムでバトルに巻き込まれるかもしれないし、バイクでパンクするかもしれない。でもそのときにどう対応するか。自分自身が試されますね。マラソンは、よく人生にたとえられるけれど、トライアスロンのほうがもっと人生を学べるかもしれませんね。
できるできないは抜きにして、気持ちは最初から1番を目指さなければ優勝などできないと、指導している子どもたちに言っています。初出場でも優勝目指して取り組んでいきたいと思っています。スイム、バイクとトップの見える位置について、ランで粘りたいですね」
たきだ・まもる
ランニングスクール「RUNVENT」代表。藤沢翔陵高校3年生の時、全国高校駅伝区間賞、関東学院大学で箱根駅伝3年連続出場、愛知製鋼でニューイヤー駅伝出場。カイロプラクターの資格も持ち、自身の経験とカイロ分野を融合した指導を行なっている。
http://runvent.com
Mamoru’s favorite shoe is the TRACER