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入院、手術して感じたトライアスロンのこと、アイアンマンのこと。

投稿日:2017年12月8日 更新日:


野中 秋世

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宮古島特集のLumina#65、トレーニングしたくてうずうず。最新のLumina#67、掲載していただいたキサトラのリポートは病室で読むことに。中央のケースに入っている極小の物体が摘出したアブミ骨。海のおみやげ「星の砂」にそっくり。こんなもの一つで聞こえがまったく違うなんて

連載「アイアンマンいどみました。」

「下から目線」でお届けする、アイアンマン初挑戦・完走への道⑪

前回の『アイアンマンは、情報の「取捨選択力とパーソナライズ力」が大切。』はこちらから


入院、手術して感じたトライアスロンのこと、アイアンマンのこと。

Lumina#65で「にっぽんが誇る奇跡のトライアスロン」と特集されていた頃には想いがピークに。宮古島の、美しい海と最高のバイクコースを夢見つつ、この1年トレーニングしてきました。わたくしの来シーズンのメインレースはSTRONGMAN!・・・のはずでした。でも、泣く泣く断念することにしました。

と言いますのも、左耳の手術をしたんです。鼓膜の奥にある耳小骨のひとつ、アブミ骨を人工に置換するというもの。術後、聴力が劇的改善して本当にうれしい。

でも、1~2カ月はトレーニング禁止。気圧の関係で飛行機もしばらく禁止。スキューバダイビングは一生禁止。トライアスロンは大丈夫・・・本当に良かった。

宮古島の4月には、もう完全回復していると思いますけど、ロングに耐えられる身体を作れているのか? 万が一、飛行機でめまいを起こしたら? 単なるバカンスじゃないんだから。気軽にロングに出られる身分じゃございませんので、今回はやめておきます。耳は繊細な部位ですしね。

2018年の目標レースのひとつとして選びかけた宮古島。奇跡のバイクコースを走る気満々だったが・・・©Kenta Onoguchi

トライアスロン人生を生き急がない(※但し、あんまりぼやぼやしてもいられない)

「人は、失って初めて気づく生きもの」だよなぁと、9日間の入院生活中、そんな大げさなことを考えていました。

「トライアスロンを完走する」それがどれほど素晴らしいことか。できない状況になって初めて心から実感しました。レースデイだけを切り取って語れるものではなく、そこに至るまでトレーニングを重ねられ、生活をマネジメントし続けてこられたという証。

「アイアンマンを完走する」ともなってくると、自分の人生に奇跡を起こしたようなもの。環境を整え、条件を克服して初めてできる。時の運もあるのかもしれない。入院中に、ひしひしと感じたのは、「去年、アイアンマンを完走しておいてよかった~」というものでした。
子どもがまだ小さいからと、決断していなかったらどうなっていただろう。嫁さん、行かせてくれてありがとう。今回発症した耳硬化症(じこうかしょう)という病気は、両側性の進行性なのに片耳ずつしか手術できないから、来年末、もう1回手術予定なんです。

そうこうしているうちに、ずるずると後ろ倒しになってしまい、さぁ、いよいよアイアンマン!と思った矢先に、新たな問題が発生したら? もちろん可能性は病気だけではない・・・一生、チャンスを逃し続けてしまうかも。そう言えば、子どもが生まれる前に無理してでも夫婦で海外旅行にもっと行っておくべきだった。20代の後悔を40代でも取り返せていない。

スーパースター稲田弘さん(※2016年IRONMAN世界選手権を83歳で完走。自身のもつ世界最高齢完走記録を更新した)を筆頭に、自分よりも強くてカッコいい年上だらけの、究極のエイジレスな世界、それがアイアンマン。このまま50代、60代、70代、そして80代まで競技を続けられそうな気もしちゃう。

その思いと裏腹に、40代をピークに、50代、60代、70代と競技人口がガクンと減っていくのも事実。今回の入院で、なぜレースのスタートリストを見ると、エイジが進むにつれ人数が減っていくのかを理解できた気がします。レースに出たくても出られなくなる理由は、年々増すばかりなのかもしれない。宮古島に至っては募集が65歳までだし。

30代の頃は、トライアスロンは焦ってやるものではなく、レースはなくならないだろうし、ゆっくりじっくり取り組もうと思っていました。本にもそう書きましたし、今でもその気持ちに変わりはありません。「でも、だからってあんまりぼやぼやはしていられないな」という但し書きを付け加えておきます。自分の肉体が最も若い日は、いつだって今日なんですから。

というわけで、頭の片隅に「いつかはアイアンマン」がある方へ。いつかを逃すくらいなら、このコラムをキッカケに決断してしまうというのはいかがでしょうか。野中は、2018年もこれからも、引き続きやりますよ!

>次回コラム「日常をアイアンマン色に染めてみる。」はこちらから

■著者プロフィール
野中秋世(のなか・あきよ)
『トライアスロンはじめました。』『トライアスロンはまりました。』著者(共に誠文堂新光社)。トライアスロンをいかにして楽しむかを追求するエイジグルーパー。立教大卒。(有)ノナカ代表。三児の父。2011年51.5初完走。2016年IRONMAN初完走。2冊の本の続編的位置づけのコラム『アイアンマン挑みました。』をLuminaWEBマガジンにて連載中。

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