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「第二次“異形”トライアスロンバイク時代突入」 ヴェンタム、サーヴェロ、そして、ダイアモンドの国内本格展開が始まる!

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大塚修孝

text by:

GERONIMO大塚のトラモノ批評 #001

「第二次“異形”トライアスロンバイク時代突入」

2017年のコナを席巻したCervero P5X ©Kenta Onoguchi

ヴェンタム、サーヴェロ、そして、ダイアモンドの国内本格展開が始まる!

トライアスロンバイクの形状が、気になってきた。

2013年ダイアモンド、2015年ヴェンタム、そして、2016年サーヴェロ「P5X」と、その「準備」は整ったという感じだ。

やはり、KINGサーヴェロが参入したことで、確立されたフレーム形状と言えるだろう。通常とは異なる形状をもつこれらのバイクフレームのメリットは何なのだろうか?

90年代の第一次・異形TRIバイクたち。

異形フレームの起源は古い。90年代のトライアスロンシーンにおいて、ソフトライド、ジップ、ケストレルが、その「第一次時代」を築いていた。

90年前半は、ソフトライドとジップがその「特異」なデザインで、「トライアスロンバイク」を独自路線でその象徴として、アピールしていた。

そして、90年後半は、ケストレルの黄金時代に。現在のサーヴェロのように、アイアンマンのバイクシェア1位に輝き、人気となった時代があった。

当時のこの3バイクに言えることは、乗り味としての「ソフトライド」だった。特に釣り竿のようにダイレクトに可動したソフトライドのビームは、大きく揺れていることが分かる。

ケストレル、ソフトライドともに90年代トライアスロンバイクの象徴となったZIPP

ジップは、エラストマーによる内蔵型のサスペンションシステムを持ち、その「硬さ」の調整も可能だった。そして、ケストレルは、フレーム構造と、カーボンの積層により、その滑らかなフィーリングが称賛された。

この異形フレームたちは、通常の「ダイアモンド型」と呼ばれるフレームに比べ、構成しているフレームの部材が少なくなっていることが、最大の特徴だが、個々の特徴がある。

ソフトライドやジップは、シートチューブとシートステーの合計3本を省き、ケストレルは、シートチューブの1本を省いていた。

21世紀「新御三家」の一角「VENTUM(ヴェンタム)」©Kenta Onoguchi

そしてこれは「新御三家」とも言えるダイアモンド、ヴェンタム、サーヴェロも同様。ダイアモンドとサーヴェロは、シートチューブとシートステーがなく、ヴェンタムは、ダウンチューブとシートステーがないのだ。

「エアロダイナミクスと快適さ」を追求した新御三家

これらのメリットとして、やはり「エアロダイナミクス」が高いことにある。ただ、それだけでは、この「第ニ次」はない。同時に「競技性の高い快適さ」も追求している。

ここで言う「競技性」とは、アイアンマンにおいて、イーブンでのバイク走行のパフォーマンスを高め、ランへのダメージを少なく走ることだ。完全にDHポジションでの走行を前提として設計している。

そして、「快適さ」とは、DHポジションでの高速巡行時に適度な「ソフトライド感」を与えてくれる。そんなバイクが、これらのバイクだ。

ヴェンタムは、Z型という特に目を引く形状だが、特徴的な中心部(シートチューブに当たる部分)の整流効果が高いエアロダイナミクスを誇り、シートステーレスがバランスの良い快適さを実現している。

サーヴェロは、エイジグルーパー14500人をリサーチし、造り上げたもので、エアロダイナミクス、快適さ、そしてストレージを高次元に融合している。

今季から国内本格展開が決まった「DIMOND(ダイアモンド)」 ©Kenta Onoguchi

今季、国内本格展開の「ダイアモンド」も、「人車一体」のフィッティングが重要

そして、今季、国内でも本格的に展開されることとなったダイアモンドは、ジップをヒントにその流れをストレートに汲んでいるバイクで、エアロダイナミクスを徹底した。

ジップは、可動型により、サス効果を出していたが、それはない。そこまでのダイレクト性は必要としていないのだ。サーヴェロもダイアモンドも、ビームが宙に浮いた状態であり、固定でありながらも、やはり、最低限の動きは出てしまうが、このバランスが重要なのだ。

ロードレース用ではない、イーブン走行のアイアンマンバイクだ。硬過ぎず、柔らか過ぎず、微妙なバランスが存在する。ライダーの体重も関係してくる。

DHバーとサドルの落差などポジショニングにも関係が大きくなる。だから、「人車一体」となれるかは、個人差の出るバイクなのだ。

ビーム型のバイクは、踏み過ぎないように乗るバイクなのか?

そうではない。踏んでもその余計な「力」を逃がしてくれるバイクだ。いずれにせよ、フィッティングによるフィーリングが大きく変わるだけに、今まで以上に慎重なポジション出しが必要となるバイクと言えるだろう。LM

 

■著者プロフィール
大塚修孝(おおつか・のぶたか)
本誌連載などでおなじみのトライ アスロン「モノ」ジャーナリスト。トライアスロンに関わり25 年。特に、アイアンマン世界選手権は、96年から取材を続けて2016年で21年目となる。レース出場者のバイク全台を自ら撮影して調査する「GERONIMO COUNT」など圧倒的なデータ収集力と緻密なデータ分析には定評がある。 Triathlon GERONIMO www.triathlon-geronimo.com

©Kenta Onoguchi

 

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コメント

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  1. 児玉 修司 児玉 修司 Master

    UCIルールに縛られたロードレーサーに感じるシンプルな美しさに対し、トライアスロンバイクの機能的なデザイン・迫力は、これもまた「美しい」と思います。特に90年代の試行錯誤を繰り返して様々なデザインが生まれていた時代のバイク、いいですよね!


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