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<女子は高橋侑子が念願の初優勝>2018年トライアスロン日本選手権

投稿日:2018年10月15日 更新日:


ルミナ編集部

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Satoshi Takasaki/JTU

10月14日(日)、第24回トライアスロン日本選手権が東京・台場で行われた。
朝方までの雨の影響でうすら寒く、女子スタートの8:25時点で水温21℃、気温14.9℃。ここ数年の荒天を考えればまずますの天候の中で、まずは女子のレースがスタートした。

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女子レース

ひとり世界レベルのチーム(サンディエゴ)に飛び込んだ高橋侑子の成果とは

「優勝してほっとしたというか、素直にうれしいという気持ちが一番ですね」

レース後たんたんと語る高橋は、2017年1月から単独でサンディエゴのトップクラスのトライアスロンチームに所属して、現在もほとんど日本には帰らずレースと合宿の日々を過ごしている。何より変わったのは「タフになったこと」と語る高橋がゆるぎない走りで初めてのタイトルを勝ち取った。

Satoshi Takasaki/JTU

レースの主導権を握ったのは高橋、プランが崩れた佐藤

ウエット着用となったスイムは世界レベルの泳力を持つ若手の久保埜南と瀬賀楓佳がトップで上がり、バイクレグへ。彼女らのチームメイトで先輩でもあるディフェンディングチャンピオンの佐藤優香は

「スイムのファーストブイにいくまでに出遅れてしまって……1周目で9番というアナウンスが聞こえて『あ、もしかしたらこのレースは外してしまうかもしれない』と焦ってしまったけれど、なんとか第2パックに追いついて、そこに高橋選手もいました」

と話す通り、バイクでは高橋を含む第2パックとして、先頭のふたりを追った。第1パックの飛び出したふたりは戦略通り、後ろの佐藤を含む集団を待って、久保埜、瀬賀、高橋、佐藤、岸本新菜、西麻衣子、池野みのりの7人で先頭集団を形成した。

そこから30秒遅れて、日本選手権5勝を挙げていてお台場との相性抜群、ランが凶器の上田藍を含む第2パックが追随する。

Satoshi Takasaki/JTU

先頭集団は高橋がリーダーとなり、集団をコントロールした。

高橋「バイクは余裕を持ちながら、主導権を取りながら回せました。最後ちょっと仕掛けてみたんだけど(笑)、そこは決まりませんでした」

バイクのラスト8周目で高橋はスパート、10秒ほどアドバンテージを築いたものの、アタックは失敗に終わった。

佐藤「今日のレースはチームメイトの瀬賀と久保埜が自分をカバーしてくれた面もあった。スイムアップ後、前にふたりがいたら私のパックを待つことになっていました。バイクの高橋選手がアタックをかけたときも瀬賀と久保埜が私をカバーしてくれて。これは、レース前にチームミーティングで戦略を立てていました」

Satoshi Takasaki/JTU

チームケンズVS高橋侑子の図式でレースが進む。ただこの戦略は、当初上田対策だった。「ランスタート時2分以内なら逆転可能」と以前話していた上田だが、それほどランでの追い上げは他選手にとって脅威であり、本人の武器でもあった。ただ、バイクで周回を重ねるごとに、第1パックと第2パックとの差はどんどん広がり、飯島健二郎監督(チームケンズ)が「1分半はつけたい」と言っていた差に近い80秒の差でバイクフィニッシュ。

Satoshi Takasaki/JTU

ランパート1周目で、高橋、佐藤、久保埜、岸本の4人が飛び出す。前日の記者会見にも登壇し、今シーズンの良い流れをそのままこのレースにつなぎたいと話していた岸本もきっちり表彰台が狙えるところでランをスタートさせた。

周回を重ねても上田が追ってくる気配はない。見るからにいつもの切れのあるランとは違っていた。

上田「T2を終えて、地に足を付けたときに『あ、結構きているな』という感覚があったんです。3種戦う中でランでこんなに走れなかったのは、今回が初めて」とレース後に話した通り、結果は6位に沈んだ。

Satoshi Takasaki/JTU

1周目、2周目と4人の集団で走るも徐々に縦長の展開に。

高橋「ランの2周目に入ったところから、自分にまだ余裕があるな、というのと周りがきつそうだったので、あと2周で上げていこうと思いました。3周目で少しスパートしたら、すぐに差がついたので、コレは行ける! と思いました。ランのペースがまったりする前に決めておこう、と」

佐藤「自分のランの戦略では4周回をしっかり冷静に落ち着いていって、最後の4周目でスパートをかける予定でした。3周目に高橋選手が抜けたときも4周目で挽回すると思っていたのですが、3周目で思ったよりも差がついてしまって。ただ、そこでついていったら、今度は最後までもたなかったと思います」

そこからは高橋が余裕をもったゆるぎない走りで最後まで走り抜け、初めて表彰台に上がった2012年から足掛け7年かけて、日本女王のタイトルを手にした。

このチャンスを絶対につかみ取る、岸本の一念

同じ年のライバルレースが展開される中で、もうひとつ熾烈な表彰台争いが行われていた。WTSなど世界の舞台での経験も豊富な久保埜と、今年飛躍的に実力を伸ばしてきた岸本のニューリーダー対決だ。

岸本「ランの3周目で3人(高橋、佐藤、久保埜)の選手に離されてしまったんですけど、本当になんとしてもここまできたからには、表彰台にあがりたいと思って、最後まで粘り切って、ラスト1周久保埜選手に追いついたときに、1回落ち着くために並ぼうか迷ったんですけど、ここまできたら、抜かした勢いで走り切ったほうが良いと思って、そのまま駆け抜けて、フィニッシュしました」

今年大学を卒業したばかりの岸本は4回目の出場にして、最後まで決してあきらめない走りで最後は久保埜に44秒差をつけて3位入賞を手に入れた。

目線の先は常に世界
高橋侑子

Satoshi Takasaki/JTU

スイムから本当はもう少し気持ち良くと言いますか、余裕をもって行きかったんですけど、そこがうまくいきませんでした。でもバイクでうまく切り替えて、足をしっかり使いながら、周りをひっぱって、周りの足もげずっていけるような動きをできたと思うので、それもうまくいったかな、と思います。ランでも思っていたよりも余裕を持って走れたので、これはいけるぞ、という気持ちで。すごく周りの方も応援してくださったし、それが励みになりましたし、この場で今でやってきたことを見せられたのは良かったかなと思います。

コースは違いますが、東京オリンピックが行われるお台場で勝てたことは率直にうれしいですが、正直世界とはまだまだレベルの差があり、オリンピックではもっともっとスピーディーな展開になると思うので、そこにしっかりついていけるようにしていきたいな、と。

良い環境でトレーニングができている

アジア大会での優勝や日本選手権優勝はひとつの自信になったとは思うんですけど、アジア大会後のWTSグランドファイナルのゴールドコーストでは全く思ったようなレースができず、その次の中国のW杯でも全然思うような走りができなくて悔しかったので、「高橋ならやってくれるだろう」と思ってもらえるようなレースができるようにこれからも頑張りたいと思っています。

ランで粘れたのはコツコツやってきたことが少し成果として見えたと思いますし、気持ちも強くなったと思います。海外に拠点を置いて、コーチとチームメイトと切磋琢磨しながら、本当に良い時間を過ごせてきているという自信があったので、それをレースに出せたところが良かったかなと思います。

海外選手は、気持ちが強い選手が本当に多いので、もうひと踏ん張りと言うところで押せる選手がけっこういて、そういうところを見ていると刺激になるし、チームメイトでW杯やWTSで表彰台に上がる選手もたくさんいるので、自分も次はやってやろうという気になります。みんなで気持ちを高め合える、すごく良い環境でトレーニングできています。

もちろん、日本選手権は連覇も狙いたいです。

「悔しい」の一言につきます
佐藤優香

Satoshi Takasaki/JTU

スイムで出遅れてしまい、その時点で自分の戦略からは外れてしまいました。最後のラン勝負で対応できなかったっていうのは、自分の現状だし、スタミナ不足でもありますし、これが今の実力だと把握できましたので、この悔しさを次につなげるしかないなと感じます。

ランでは、4周回をコンスタントに刻むという目標があったので、落ち着いてレース運びをしたんですけど、思うようにスピードが伸ばせなかったので自分の戦略不足だったと思います。

課題を超えるにはランの強化だけではなくて、ランにつなげるためのスイムやバイクのスタミナをもう一度強化する必要があるな、と感じます。

自分の成長に高橋の存在は大きい

去年優勝することができて、今年は連覇に挑戦しに来たんですけど、やっぱり2連覇するのはすごく難しいことだと実感しました。連覇することで、自分の意味があると思っていたので2連覇を成し遂げられなかったのは自分の弱さだなと感じます。

スイムから余裕のない状態であがってバイクは全体的に余裕があったんですけど、でもそれを最後のランの後半に生かせなかったのは、考えている以上にバイクで余裕をもった走りをしなくてはならなかったのかな、と思いました。3種目とも力以上にスキルの面で磨いていかないとと思いました。でも全力を使い果たせたので、悔いはないです。

高橋選手はアジアチャンピオンで同い年ですし、日本一のタイトルを取られてしまったのは本当に悔しいんですけど、自分にとって高橋選手の存在は大きいですし、この負けた悔しさを来シーズンにつなげていきたいです。

想像以上のレースができて、正直びっくりしています
岸本新菜

Satoshi Takasaki/JTU

今回、4度目の日本選手権で過去3回ともスイムで良い位置で上がれず、思うようなレースが続かない3年間だったので正直お台場のレースは自分でも怖いなという部分があったんですけど、第1パックに乗ることができて、このチャンスは絶対つかみとろうと思ってラン勝負に持ち込みました。

今回の表彰台が次のステップアップになるようにここでは結果を出さなければいけないと思っていたのですが、前日記者会見に出させていただいて、正直先輩たちと並ぶレベルではないと思っていました。

今まで一番プレッシャーがあった日本選手権でした。でも、先週の地元開催の福井国体でもプレッシャーに勝ってレースできたので、ここでも勝ってやると思ってやりました。

次はW杯での入賞を

今回のレースでたくさんの課題が見つかりました。今シーズン良い流れでレースはできているんですけれども、今年で終わりにならないように今回見つかった課題を克服していきたいです。今はまだ、日本選手権のレベルの話で世界のレベルになるとバイクの走力もすごく上がるので、足を使った状態でいかに走れるかというのをつきつめて、3種目の細かい部分を強化していきたなと思っています。

次のW杯宮崎は私にとってはじめてのW杯への出場になるので、そこで世界のトップ選手とどこまで戦えるのかというのを楽しみながらレースしたいです。

◎女子Result
1.高橋侑子(富士通/東京)27 1:59:50 (0:19:44/1:03:15/35:57)
2.佐藤優香(トーシンパートナーズ、NTT東日本・NTT西日本、チームケンズ/山梨 )2:00:12(19:46/1:03:12/36:18)
3.岸本新菜(福井県スポーツ協会/福井) 2:00:53(19:59/1:03:01/36:56)
4.久保埜南(トーシンパートナーズ・チームケンズ/山梨)2:01:19(19:15/1:03:41/37:26)
5.池野みのり(山梨学院大学)2:02:29(19:43/1:03:15/38:31)
6.上田藍(ペリエ・グリーンタワー・ブリヂストン・稲毛インター/千葉) 2:02:47(20:23/1:04:32/36:54)
7.福岡啓(横浜こどもスポーツ基金/福井) 2:02:48(20:25/1:04:31/36:57)
8.西麻依子(東京都トライアスロン連合)2:03:28 (19:45/1:03:13 39:30)
9.酒井美有(トーシンパートナーズ・チームケンズ/山梨)2:03:36 (20:08/1:04:48/37:40)
10.加後美咲(奈良教育大学・AS京都)2:03:45 (20:06/1:04:42/37:51)

【テレビ放映】11月3日(土)NHK-BS 午前9時~女子/午前10時~男子

全体のリザルトはコチラ>>>
http://www.jtu.or.jp/national_championships/result2018_m.html

2018NTTトライアスロンジャパンランキングはこちら
http://www.jtu.or.jp/ranking/2018/japan/index.html

Satoshi Takasaki/JTU

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