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プレシーズン(春)は「主観80%強度」のラン練習がポイント

投稿日:2022年3月17日 更新日:


ルミナ編集部

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細田雄一に訊く、トライアスリートのプレシーズン戦略:ラン編
Presented by アミノバイタル®

寒かった冬が終わり、トライアスロンのシーズンが近づいている。スムーズにレースシーズンを迎えるために、3~4月のプレシーズンは重要な準備の時期だ。

今、レースに向けてどんなトレーニングをするべきか?

今季から指導者としても本格的に動き始めるオリンピアン細田雄一に訊いた、トライアスリートのためのプレシーズン戦略。前半は、おすすめのラントレーニングから。

細田雄一 Yuichi Hosoda
170大会超の国際レース出場歴をもつベテラン・エリートトライアスリート。2000年代からエリートレースを転戦し、2010年アジア競技大会・金メダル、2012年ロンドン五輪出場など世界で活躍。2021年10月の日本選手権では成長著しい若手をおさえ10年ぶり2度目の優勝を果たしている。今季からプレーイングコーチとして後進の指導にもあたる。博慈会所属。

3~4月はレースに
対応していく移行期

細田 トライアスリートにとって冬はオフシーズン。昨シーズンの疲れをとりながら、比較的低強度の長いトレーニングで持久系のベースを作る時期です。

みなさんも、平地をゆっくりジョグしたり、長い距離を仲間としゃべりながら走ったりといったトレーニングで身体を作ってきたと思います。

これに対して3~4月の春先は移行期。レースに向けての準備段階として、レースの強度に耐えられる脚を作る時期です。

トライアスリートの傾向としては、どこのクラブのメニューを見ても、スイムのインターバルなどをやっているので、冬も比較的心肺機能は鍛えている人が多いようです。しかし、それに対して脚力は作れていない。これはエリート選手も同じです。

脚の筋肉と神経系を
スピードに馴らす

私が指導している選手のトレーニングには、陸上競技のトラックを使ったスピード練習や、公園のアップダウンがあるコース使ったファルトレク(変化走)、3種目続けて行う実戦メニュー(ラントレーニングとしてはブリック)を取り入れています。

トラックを使ったスピード練習は1㎞×5~6本といったインターバルです。スピード練習を行うのは、筋肉だけでなく神経系もレースのスピードに対応できるようにしていくため。速い動きをすることで、筋肉を動かすスピード系の神経に刺激を与えるわけです。

オフの間はゆっくり走る練習しかしていませんから、当然最初のうちは動きが良くありませんが、繰り返しているうちにだんだん慣れてきます。

ファルトレクはペースの上げ下げを繰り返す変化走。よくアフリカ勢がやっているスピードを高めるための練習です。たとえば1分ハードと1分ミディアム(ほどほどのペース)を繰り返すといった走り方をします。

ポイントはペースを決めないこと
主観で80%が目安

スピード練習もファルトレクも、ポイントはペースを決めないこと。この時期スピードを高めるための練習はタイムを設定せず、大体80%くらいといった主観で行います。なぜなら冬の間の走り込みでどれくらい仕上がっているのかは人によるからです。

タイムを設定してしまうと、そのタイムを切らなければいけないという気持ちが先行してしまい、オーバーペースになって、フォームが崩れがちになります。悪いフォームで無理にスピードを上げると、故障してしまう可能性が出てきます。これはエリート選手もエイジグループのみなさんも同じだと思います。

そういうリスクを回避するため、タイムは設定せず、強度は主観で80%くらいを目安に走ります。

強度80%がわからない人は、ランニングのラボで計ることができます。それが面倒なら、心拍数でおおまかに割り出してもいいでしょう。心拍数による強度は、パフォーマンスによって変わりますが、移行期にはあまり緻密に考えなくてもOKです。

大事なのはケガをしないで、筋肉や神経系を少しずつスピードに馴らしていくこと。無理にスピードを上げて、悪いフォームで走るのではなく、無理なくスピードに対応していくと、筋力やスピード神経の向上と同時に、ランニングエコノミーを向上させていくことができます。

トラックのスピード練習

インターバル走 400m+レスト800m ×5本

400mの強度は主観で80%くらい タイム設定なし
レストはジョグ レストの間に全回復させること

スピード走400mとレスト800mで1セット1200m。これを5セット行うと計6㎞になります。練習の前後にウォームアップとクールダウンを入れても1時間くらい。

4月になって脚力がついてきたら、8本などに増やしてもいいでしょうが、最初は5~6本というところから始め、レストもしっかりとることが重要です。

POINT
楽すぎると感じる練習で十分

400mを80%で走ってレストを800m入れたら、かなり楽だと思います。満足感は少ないかもしれません。しかし、移行期はこれをキープすることが大切です。

頭に入れておいてほしいのは、強度80%でも51.5㎞(オリンピックディスタンス)のレースペースのランより間違いなく速いということ。この時期の目的である筋肉への刺激、スピード神経への刺激は十分達成できます。

たとえば400m71秒でほぼ1㎞3分ですが、400mなら1㎞3分ペースはそんなにつらくないかもしれません。だからといってこのペースで飛ばすのは危険です。エイジの人なら80秒くらいか、もっと遅くてもいいと思います。

POINT
ペースの上げすぎに注意

タイムを計ってみて、1㎞換算で51.5㎞の自分の持ちタイムより大幅に上がってないかチェックしてみるといいかもしれません。400m71秒だったら1㎞3分、つまり10㎞30分です。これはトップ選手が移行期にやるペースで、そんなに速いエイジグルーパーはいないはずです。

400mが200mだと短すぎて、逆に負荷をかけすぎることになり、肉離れなどの可能性も出てくるので要注意。

選手やエイジでもランナーなら、短いと80%でも1㎞3分を切ってくるので、強度70%でも時速20㎞くらいは出てしまい、脚に負担がかかるからです。

ケガのリスクを避けて筋肉とスピード神経に刺激を与えるには、400mくらいがちょうどいいと思います。

POINT
量を増やすなら、段階を踏みながら

こういうスピード練習が得意な人は、この400m×5本をベースにして、翌週〜翌々週は6本など、段階的に増やしていってもいいでしょう。繰り返して慣れてきたら、400mを800m〜1㎞に伸ばしてもいいかもしれませんが、目的は筋肉への刺激とスピード神経への刺激ですから、400mから始めるのがおすすめです。

ファルトレク(変化走)

ペースを上げ下げしてスピードに慣れていくトレーニング
1分スピード走+1分ミディアム走 ×10セット

1分ではなく2分ずつでもかまいませんが、長いときつすぎる可能性があるので要注意。50秒くらいでもOKです。

スピード走は1分なら距離にして300mくらい。電柱などを目印にしてスピードを上げ下げするのもいいでしょう。

ただし1㎞何分何秒といったペースは決めないこと。タイム設定すると、タイムを切ることが目標になってしまうので、この時期には不適です。

ゆるい起伏のある公園などで行うと、上りで自然と負荷をかけることができるので効果的です。

実戦メニュー>>バイク+ランのブリック

レース期に向けて、実戦的な動きにつながる筋肉・スピード神経への刺激を入れていくトレーニング

▼バイク:5㎞
速度は強豪エイジなら40㎞/hくらい。初心者ならバイク30㎞/hくらいを目安に。

▼ラン:主観80%で5分

バイクを頑張った後にブリックランをやることに意味があるので、バイクは5㎞より短くてもOK。

インドアで行う
実戦メニュー

都会に住んでいる人は、バイクとランを続けてやる場所がなかなかないかもしれません。バイクを盗まれる危険もあります。そういう場合は、ジムなどを利用するのがおすすめです。

時間の目安は
エアロバイク 10〜15分
トレッドミル 5分

たとえばスポーツクラブで朝スイムに出ている人なら、スイムを早めに抜けて、短いエアロバイクとトレッドミルでバイク・ランをやるのもいいでしょう。

目的は筋刺激とスピード神経への刺激なので、この時期の実戦メニューは自分のバイクでやらなくてもOKです。

実戦メニューは
確認作業でもある

実戦メニューのブリックランでは、レースに向けての仕上がり度合いをチェックすることもできます。目標のペースを決めて走るためではなく、主観の強度80%が今の時点でどのくらいのスピードなのかを知るために、タイムを計ってみるわけです。

たとえばイメージは1㎞3分30秒なのに4分かかってしまうとすると、これが現状での80%ということになり、まだそれだけ準備ができていないということがわかります。

準備ができていないのに、無理して上げてしまうと故障したり、フォームを崩したりして、せっかく冬のオフに築いた持久系のベースをそこなってしまいます。足りないのは心肺機能なのか脚筋力なのかといったことを見極めながら、少しずつ上げていきましょう。

走る前の「準備運動」、とばしてない?

トライアスリートはトレーニングの時間をすべて3種目の運動にあててしまい、準備運動をあまりやらない傾向があるようですが、練習を効果的にするため、ケガを予防するために、準備運動は大切です。

目的は関節をほぐして動きをよくすることなので、ネットに出ている基本的な体操でOK。

週1〜2回運動する人なら静的ストレッチでゆっくり伸ばす必要がありますが、毎日運動している人は動的ストレッチで、身体を動かしながら関節をほぐしてもいいでしょう。

上半身は肩甲骨ほぐし、下半身は股関節ほぐしがメイン。柔軟性を高めるというより、可動域を広げるのがポイントです。筋肉の硬さは人それぞれですから、持っている可動域を最大化させる体操でいいと思います。

トライアスリートにオススメの準備運動

寝た姿勢でストレッチポール

みなさんがよくやるのは、ポールを縦にして上に寝るストレッチ(写真上)だと思います。正しくポールを当てて脱力すると肩甲骨がゆるみますが、これはスイムの前などに絶対やったほうがいいストレッチです。

今回私のオススメは、ポールを横にして、肩甲骨の下あたりに置いて、その上で脱力・深呼吸するストレッチ。

肩甲骨の下(写真上)あたりにストレッチポールがくるように仰向けになり脱力・深呼吸。前後に少しカラダをずらしてみてもいい(写真下)

さらに横を向いて同様に脱力・深呼吸(写真下)。これで肩甲骨まわりがゆるんでランの動きが良くなります。

棒を使った動的ストレッチ

棒を背中に抱えて、上体を左右に曲げたり・回転させたり。
さらに上体を倒して回転させる。

肩甲骨まわりをほぐすと同時に上半身全体をほぐすことができます。

肩に棒を担いだ状態で左右に上体を曲げる。肩甲骨まわりがゆるむのを意識しながら行う

肩に棒を担いだまま上半身を前傾させる場合は、軽くスクワットするように、お尻を少し後ろにつき出すようなイメージで。視線もそのまま落とす(顔を上げて、前を見ない)

写真上の状態から状態を左右に回転させる。回転させたとき肩甲骨が動いているのを意識しながら

道具を使わない、肩甲骨まわりのストレッチ

手を腰の後ろに当ててヒジを前へ持ってくる(写真下)。これだけでも肩甲骨まわりをほぐすことができます。

股関節ほぐし

脚を横に開いて四股を踏む姿勢をとり、腰をいけるところまで落とす。痛みが出るところまでいってしまうと逆に股関節が硬くなるので、痛くならない程度で行う。壁に手をついてもOK。股関節がほぐれ、血流が良くなります。

四股のような姿勢から腰を落としたら、肩を入れるような動作を入れると、肩甲骨まわりもあわせてほぐせる。このときつま先は開いた脚と同じ方向に向いているのが基本

腸腰筋伸ばし

脚を前後に開いて腸腰筋(骨盤・腰椎と大腿骨をつなぐ腸骨筋・大腰筋の総称)、骨盤まわりの筋を伸ばす(写真下)。

上体を左右に少し曲げて、より股関節・腸腰筋のあたりが気持ちよく伸びるようにするのもいい

トライアスリート的ランニング大会の選び方

トライアスロンのためのトレーニングの一環としてランの大会に出るなら、10㎞ロードやハーフマラソンなど、イーブンペースで走れる大会を選ぶこと。

ペースの上げ下げがある陸上のトラック競技5000mなどは、直接トライアスロンのラン強化につながらないと思います。

ハーフマラソンはバイク40㎞のあとの10㎞ランに似ているので、51.5㎞のラントレーニングとして効果的です。トライアスリートでも、ハーフマラソンが速い人はトライアスロンも上位に入ってくる人が多いようです。

トレーニングでAT(有酸素運動と無酸素運動の境目の強度)ペースをキープして走り続けるのはつらいですが、レースなら楽しく走れます。ハーフマラソンを16㎞のペース走の代わりと考えるなら、最初の4㎞をアップと考えて、ゆっくりペースから入り、そこから上げていってもいいでしょう。

ハーフマラソンを本気で走る場合、前後にウォームアップとクールダウンを5㎞ずつ入れることになるので、トータル30㎞になり、そうなると51.5㎞のトレーニングというよりミドルやロングの練習になります。そうしたことも念頭に置いて、大会選びや走り方を考えましょう。

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冬のオフシーズンなどはスイムを2時間練習して、そのままバイクで140㎞走ったりするので、合わせて7時間くらい動き続けることになります。こういう長丁場のトレーニングでは特に、早め早めにエネルギー補給するのが正解だと思います。


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>>後編《細田雄一に訊く、トライアスリートのプレシーズン戦略:バイク編》へつづく

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