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お台場初開催のデュアスロン日本選は潮田、古谷が初優勝

投稿日:2021年12月26日 更新日:


ルミナ編集部

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第18回日本デュアスロン選手権を制した古谷純平(左)と潮田小波(右)

写真=小野口健太
Photographs by KentaOnoguchi

18回目にして国内トライアスロンの聖地お台場で初開催

第18回日本デュアスロン選手権が12月26日、東京・台場の特設会場で開催され、トライアスリート&デュアスリート100選手(女子26名、男子74名)が、冬のマルチスポーツ国内頂上決戦に臨んだ。

トライアスロンでは日本選手権会場として長い歴史があり、東京オリンピックのレース会場にもなった聖地・お台場で開催された今大会、第1ラン5km/バイク約20km/第2ラン2.5kmのスプリントフォーマットで競われた。

国際大会や過去の日本選手権でも採用されてきたフォーマットで、スピーディな展開が見どころだが、特に第2ランが2.5kmと短いことから、第1ラン・バイクでの展開が勝敗をわける設計となっている。

ふたり連携してレースを動かした上田(左)と潮田(右)。最後は身体が動かなくなった上田がいつもとは意味合いの違う笑みを浮かべることに

2019国体王者・潮田が
上田藍を抑えて初優勝

クリスマス寒波の影響で気温3℃と、真冬らしい寒さの中でスタートした女子のレースでは、トライアスロンでもランの強さを武器としてきた2019年の国体王者・潮田小波が、序盤から積極的にレースをリード。

3×オリンピアンで今年10月の日本選手権でも7勝目を上げている上田藍とともに突出すると、そのままバイクでもふたり逃げを決める。

バイク・ランでは世界でもトップクラスの力をもつ上田と、同じくバイク・ランを得意とする潮田、ふたりが連携した逃げは、市街地コース4周回の最終周で後続パックに吸収されてしまったが、第2ランに入った後も、序盤から上田、潮田がペースを上げ後続を引き離しにかかる。

デュアスロンでも国内選手権はもちろん、世界選手権を制した経験をもつ上田が、抜け出して勝負を決めるかと思われたが、この日、最後に引き離しにかかったのは潮田。

最終周回で上田との差をグングン広げ、デュアスロン日本選手権初勝利を決めた。

最後は上田を引き離して初優勝をつかんだ潮田。デュアスロンへの出場経験は少なく、今回で3戦目だという

2位には、バイクでも積極的な仕掛けを見せた17歳の若手、安西琴美が入っている。

国内大会では珍しく、ラン終盤に他選手の後塵を拝する格好となった上田は3位。今季でオリンピック戦線を一旦、退き、アイアンマン(ロング)での世界挑戦に向けて長い距離のトレーニングにシフトしていたことから、スプリントフォーマットでのスピード勝負に対応できなかった。

女子上位
(順位/名前/所属/総合タイム)
1 潮田小波(三重県スポーツ協会/三重)0:59:54
2 安西琴美(日本大学藤沢高等学校/神奈川)1:00:02
3 上田 藍(ペリエ・グリーンタワー・ブリヂストン・稲毛インター/千葉)1:00:08
>>公式リザルト

レース後コメント
潮田小波
「探り探りのデュアスロン。第1集団で戦えるイメージはあった」

「第1ランでどれだけ人数を絞れるかがバイク以降の展開を決める重要なポイントだったので、10人以内には絞りたいなと思っていたんですが、結果的には(上田)藍さんとふたりで抜け出すことができたのが今回優勝できた大きな要因だと思います。

(スイムを比較的苦手とする)トライアスロンと違って得意のランが最初にある今回は、第1集団でレースを展開できるイメージは最初から頭の中にあったのですが、

一方で、デュアスロン大会自体にはあまり出る機会がなく、今回で3度目くらい。探り探りというところもあったので、藍さんがいなかったら、自分は優勝できていない展開だったなと思っています。

今後はトライアスロンだけでなく、デュアスロンやフルマラソンなど、マルチに、自分のやりたいことに取り組んでいきたいと思います」

女子上位3選手(写真左から安西、潮田、上田)

上田藍
「ロング挑戦に向け、精神的に良い刺激が入った」

「最近は(ロング挑戦を視野に)量の練習を重視している分、スピードのレースになったときに思っていた以上に対応できず、走っていて身体が動かなくなって、自分でもビックリしました。

やはり実戦と同じゾーン(強度)の練習をしているかどうかというのは一番大事な要素で、この1時間くらいの短いレースでは、それが顕著に出たなと。

第2ラン1周目の後半あたりから、いつもならまだ余力があるところで、徐々に身体が動かくなってきて、(潮田選手には)とてもついていけるような状況ではなかったので、せめて表彰台には残らないと・・・と思って粘りました。

2位に入った安西選手が来たときは、ちょっとくらいついてみようかと思ったのですが、やっぱり動かないものは動かなかったですね。

国内のレースで、ランで抜かされることはあまりなかったのですが、最後ランで抜かれて、抜かしていく選手の背中を見ているときに、『あぁ~抜かされたぁー』と(苦笑)ショックで、悔しかったのですが、今日のパフォーマンスはこれがベストなので。良い刺激が心に入りましたね。

私には(距離が)短すぎましたが、そうした中でこそ、今回のように若い選手が勝負できるという面白さがありますし、レースによって勝つ選手が変わってくるというのも見どころのひとつかなと思います。

ロング挑戦に向け、このオフは特に練習強度を抑え、量を積んでいるという上田。アイアンマン本格参戦に期待が高まる

ランの得意な潮田選手と第1ランで抜け出したときに、『一緒に行けるところまで行くよ!』と声をかけて、実際そうした流れになったのですが、バイク終盤15㎞あたりで追いつかれた後、その集団の中で安西選手らが積極的にアタックをかけていたので、そうやってレースを動かしていたふたりが1・2位に入ったのは納得。

安西選手はパリ・ロス五輪を狙う若い選手なので、今のうちから積極的にレースをつくっていこうという積極性は、これからが楽しみだと思いました。

私自身は、来年2月にオーストラリアで70.3に出場予定で、そこに向けて(トレーニング)量を積んでいます。

日本にはエリート(プロカテゴリー)でKONA(アイアンマン世界選手権)に出られる選手が長年居ないので、出場して上位に入れるような選手になって、トライアスロンをより盛り上げていきたいと思います」

バイク序盤から抜け出し、終始自分のペースでセイフティーリードを確保することに成功した古谷

パリに向け再始動した
古谷純平が貫録勝ち

国内デュアスロン界をけん引してきた深浦祐哉(ゴーアップ・杉沢歯科医院)をはじめとするベテランアスリートから、パリ&ロス五輪に向けて期待の若手トライアスリートまで、70名超もの選手が参戦した男子のレース。

多彩なメンツが出そろった今レースのオープニングを飾ったのは、トヨタ自動車陸上長距離部で実業団ランナーとして活躍してきた森 拳真の第1ラン。5000mの持ちタイムが14分台前半というその走力で、ひとり抜け出す。

70名以上の後続選手たちを置き去りにして、第1ランを終始独走で終えた森。今後、トライアスロン、デュアスロンにどこまで順応できるか楽しみな存在

森は当然のごとく第1ランのラップ1位(5km15分8秒)を獲ったものの、その森をすぐに飲み込んで形成されたバイクの先頭パックから突出し、その後、このレースを制圧するに至ったのは、トライアスロン日本代表主戦力の一角を占める古谷純平。

バイク序盤からひとり抜け出すと、そのペースに呼応できる選手が現れず、そのまま20kmほぼ独走に。

20名ほどで形成されたメインパックとの差を約50秒まで広げ、セイフティーリードを確保してスタートした第2ランでもキロ3分6秒前後のペースをキープ。自身初となるデュアスロン日本王者のタイトルを勝ち取った。

2位にはレースナンバー1番でこのレースに臨んだ安松青葉、3位には小原北斗が入っている。

第1ランでその走力の高さを見せた森は課題とするバイクで足を削られ7位、デュアスロン界のトップランナーとして長年活躍してきた深浦は10位で、お台場の晴れ舞台で初開催されたレースを終えている。

デュアスロンの世界選手権でTOP10入りの経験ももつ深浦祐哉は10位。「またいつかお台場で戦いたいですね。もう少し頑張ろうという新たなモチベーションをもらえました」

男子上位
(順位/名前/所属/総合タイム)
1 古谷純平(三井住友海上/東京)0:51:47
2 安松青葉(アクサスホールディングス/茨城)0:52:25
3 小原北斗(セクダム・チームエフォーツ/鳥取)0:52:29
>>公式リザルト

レース後コメント
古谷純平
「パリに向けた良いトレーニングが積めている」

「もちろん第2ランのことは考えて走っていたので、バイクで全力でいききったわけではなくて、自分のペースで走っていたら周りがついてこなかった。そのまま自分のペースで走ったらあんなにも差が広がって、ラッキー!と(笑)。

ここのところ絶望的なくらいランの調子が落ちていたので、そんな中で自分の強みであるバイクの力を生かして勝てたというのは、よかった。自信につながりました。

第2ランはキロ3分5~6秒くらいで押していけていたので、バイク20㎞近く単独で走った後のランにしては、よかったかなと思います。

「いろいろあった1年でしたが、最後に勝って締めくくることができてよかったです」(古谷)

東京五輪の代表選考では、レースでいろいろ不運もありましたが、振り返ってみると、オリンピックばかりに集中し過ぎてしまって、視野が狭くなっていたのが自分の中での反省点。

WTCS横浜でパンクしたときも、いつもなら必ずホイールステーションの位置を確認していたんですが、あのときに限って、そうしたことがまったく視界に入っていなくて、きちんと確認していなかった。

パリに向けては、『オリンピック!オリンピック!』となり過ぎず、70.3(ミドル)への出場など、いろいろ新たに挑戦していこうと考えています。

東京五輪の代表選考に漏れた後、3週間完全に休んでリセットして、それ以降、良いトレーニングがしっかり積めています。

今は、本格的なランの強化の前準備として、再始動した8月からしっかり走り込んできて、1月以降、某強豪大学の陸上部で一緒に練習させてもらうことになっているので、そこからしっかりランを強化していきたいなと考えています」

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