COLUMN KONA Challenge

マメにラップをとるだけでできるトレーニング改革。KONAチャレ合宿に学ぶ

投稿日:2019年1月31日 更新日:


ルミナ編集部

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KONAへ行くために、まず必要なのは「答え」ではなく「問題の見つけ方」

2018年春に始動したKONAチャレンジ(以下KONAチャレ)、3カ年プロジェクトの最初のレースシーズンも終わった2018年12月。勝負の2シーズン目に向け、この企画としては初の「トレーニング合宿」が千葉・南房総で3日間にわたり開催された。

レギュラー&フレンドあわせて約20名が集結した今回の合宿。
一番の狙いは、もちろんKONAチャレ・メンバーのモチベーションを高めること。

属性(年齢・性別・競技歴など)やアプローチは違えど、「2020年までに、絶対KONA出場を決める!」という志を同じくするメンバーたちが、トレーニングをともにし、同じ釜の飯を食う中で、バチバチ火花をちらしつつ刺激し合い、KONA出場権獲得に向け、加速していこうというもの。

オフトレ合宿に参加したKONAチャレメンバー。拠点エリアもそれぞれ異なる上、レースシーズン中は練習に大会遠征に忙しいメンバーたちが一堂に会する機会は貴重

プロジェクトリーダーTK(竹谷賢二さん)は、多くのメンバーがそろった合宿2日目のブリーフィングで、さらに具体的にその趣旨を語った。

「今回の合宿は、メンバーの皆さんとじっくりトレーニングをともにできる貴重な機会。いつものフィードバックMTGでは計測データや大会記録、皆さんのコメントから、ある程度推測にもとづくアドバイスをしていますが、今回はそうした数値だけではわからない、実際の動きやパフォーマンスをもとに、『リアルなフィードバック』をしていきたいと思います。

メンバー同士もお互いのパフォーマンスや状態を見たり、一緒に練習しながら考えを話し合う、より良い刺激を与えあっていきましょう!」

座学のフィードバックMTGと同様、この合宿でもメンバーたちの挑戦をけん引するべく、バイク&ランの実践練習などを通じて、さまざまなアドバイスや問題提起を投げかけたTK。

ただ「こうしてください!」という一方的な「指導」ではなく、基本的にTKが投げかけたものに対してメンバーそれぞれが自ら考え、「答え」ではなく、「問題そのものの見つけ方」や「問題の解き方(仮説)」を見つけていくというのが、KONAチャレならでは。

メンバーの中のムードメーカーでもあるマッスル木下こと木下貴光さんが、自身SNSで【気付きのシャワー✨ほとばしるKONA熱🔥】とキラキラの絵文字付きで表現したように、レベルも志も高いメンバーたちがさらに意識を高め、新たな「気づき」に満ちた3日間。

ここでは一般読者も参考にしやすそうな、いくつかのトピックスを紹介しよう。

志高く、熱い面々がそろったKONAチャレ合宿。ラン練で積極的に先頭を引くのは、長野在住ながらKONAチャレ内のムードメーカー的な役割を果たす熱き男、マッスル木下(写真右)

常日頃から、より正確な「セルフチェック」を行う

まず前提として、先述のとおりKONA出場を現実のものにするためには、TKや(個々がお世話になっている)指導者から言われるままに行動するだけではダメ。

今回のオフトレ合宿では、帯同したTKがメンバーそれぞれのバイク&ランでの「動き」を中心に確認していったが、当然、TKがこの先いつもつきっきりでチェックできるわけではない。

「チェックするのは自分自身、常日頃からセルフチェックを重ねていくことが肝要なので、この合宿では、まずは『確認の仕方』を知ることから始めましょう」(TK)

ガーミンをシンプルかつ有効に活用し、意味のある情報分析を。

日々のセルフチェックを、より正確で意味のあるものとするために、役に立つのがKONAチャレ公式パートナー「GARMIN(ガーミン)」に代表されるマルチスポーツウォッチ。

タイム、心拍からパワー(出力)、ピッチや上下動など動きに関する指標まで、さまざまなデータをとることができ、それを分析するいろいろな機能があるので、とても合宿期間中だけでは伝えきれないし、一度にマスターできないかもしれない。

そこでTKがまず覚えてもらいたい点として挙げたのが、シンプルに「ラップをとる癖をつけること」。

自動的にセグメントされる距離ごとのラップだけでなく、ペースを変えるときや、走り方・動き(フォームやピッチ、身体の動かし方など)を変えるとき、まずはいろいろなところでマメにラップをとる癖をつける。

「そうすることで、細かく切ったセグメントごとに『何が起こっているか?』を分析することができます。実戦に活きるデータ分析はまずここから。ラップをとらなければ、マルチスポーツウォッチをつけている意味が半減! そのくらい大事です」(TK)

たとえばライド100㎞、ラン10㎞といった1回の「トレーニング全体」で、ペースや心拍、動作をざっくり把握するといったように、曖昧なデータをとるのではなく、ラップをとるか、ファイル自体を分けるなど、細かく区切って、データを分析しよう。

「要するに知りたいことは、『自分が何をやったか?(できたか?)』です。『あー、今日は150㎞乗ったぞー!』『大体レースペースで30㎞走った~』といった、ただの満足感ではなく、あとから見返したくなるような、意味のある記録をとるようにしましょう」(TK)

マメにラップをとる。シンプルにこれだけで、さまざまなメリットがある。
今回の合宿では、バイク&ラン練習の中で、実際に細かくラップをとり、トレーニング後にそのデータを見ながら、基本的な分析(確認)の仕方を実践した。

バイクでセルフチェック!「ひとこぎ・ひとこぎの質を確認」

合宿中日、2日目のバイク練習では、約10㎞のタイムトライアル(TT)を2本、アイアンマン(180㎞)のレースペースで実施。各自、往復コースの折り返し(約5㎞)でラップをとった。

「行きは向かい風、帰りは追い風ですので、そのコンディションも加味して、ふたつのラップの詳細を確認、分析してみましょう」(TK)

TT2本のうち最初の1本は、アイアンマンペースでの基準データを記録。
ペダリング動作を磨くドリルを行った後、2本目のTTを実施した。

1本目と2本目のデータを比較することで、ドリル(動きの改善を意識)が実際のレースペースの走りにどう影響したか、その変化を分析することができるというわけだ。

今回行ったドリルは、ペダリング動作のうち、上死点から3時の位置で入力するときの足の「かかり感」や、11時から1時の位置にかけ足が上死点を通過する際のスムーズさなどを意識するもの。

このドリルに取り組んだ前後、ゆっくりした回転数(40回転/分)・ギヤ固定で一緒に走ってみると、その進み方に大きな差が出るのがわかる。

ドリルの後、ひとこぎひとこぎがしっかりと推進力につながる動きができているか、回転数・ギヤ固定の緩走でチェック。TKやほかのメンバーとの進みの差を目の当たりにする。当然、しっかりかかっている人は、グングン進む

TKアドバイスのもと一連のドリルに取り組んだ後、2本目の10㎞TTでは、1本目より多少風が弱まったという違いを加味しても、タイムに大きな変化が出た(短縮した)メンバーも。

往復約10㎞の折り返し(5㎞)でラップをとり、追い風(帰り)・向かい風(往き)の差もチェック。写真はKONAチャレ・トレーニングパートナー「まごちゃん」こと孫崎の例

ドリル自体ももちろん重要だが、今回の場合、動きの意識を変えた前後に同じ区間を同じペースで走行してみて、その変化を読み取る。この一連の「確認の仕方」を知ることが重要なのだ。

最初にドリルを行った直後は、「何を意識していいのかわかんない!」と素直に「?」を叫んでいた気鋭のフレンドメンバー田所隆之さんも、バリエーションに変化をつけ何度かドリルに取り組んだ結果、「1本目(のTT)より2本目のほうが1分半くらい速かったですね」と、ごく短時間ながら、何か変化を感じた様子。

ドリルを挟んだ1本目・2本目でタイムだけでも違いを感じた田所さん

ランでセルフチェック!「走るように走れているか?」

ランでは、簡単な動作解析(上下動など)ができるガーミンの「ランニングダイナミクスポッド」を活用。

走りの動きを意識した前後で、違いが出せているかなどをセルフチェックした。もちろん、このときもマメにラップをとって、各区切りごとの変化を確認するとわかりやすい。

ランニングパンツのウエスト部に取り付けるだけで、「上下動」や「接地時間バランス」「ストライド幅」などのランニングダイナミクスを測定できる「ランニングダイナミクスポッド」

今回、TKがランの技術チェックのテーマとして投げかけたのは、自分が「走るように走れているか?」、それとも「歩きの延長の走りなのか?」見極めること。

もし「歩きの延長の走り」ならば、「走るように走れる」ように改善していこうというもの。

本来あるべきランニング動作と、「歩きの延長の走り」を分ける、ひとつのポイントは「着地の瞬間、脚(ヒザ)が伸びているか」。

着地時にしっかり脚(ヒザ)が伸びていれば、無駄に大きい上下動はおこらない。

まずはこれを「その場足踏み」でチェック。なるべく速くやってみて、着地時に脚(ヒザ)が曲がってしまったり、大きな上下動がおこってしまってはダメ。この速い足踏みができなければ、正しいランニング動作はできていないとみていい。それは「ランニング風」に見えるかもしれないが、「歩きの延長の走り」にとどまっている。

ドリルで「後ろ(着地時)の、伸びた脚だけで進む」「前に踏み出した脚だけで進む」・・・と、走りの動作をわけてやってみる。確かにランが得意な、速いメンバーはどのドリルでも比較的違和感なく進んでいるように見える。

これら一連のドリルに取り組む前後に、500ⅿごと4段階にペースを分け、「歩く」から「走る」へ移行していく変化走を実施。もちろん500ⅿごとにラップをとりながら、ビフォーアフターの変化をデータで確認してみる。

「動員率を上げて、歩きからランニングへ動きを切り替える。結果的にスピードが上がる。この一連のプロセスが実感できると、ランニングのスピードは『体力が上がったから速くなる』わけではないということがわかるはずです」(TK)

「アイアンマンのラン」をより速く走るには、単に自分の体力を上げて、全力の走りのスピードを高めていくというだけでは限界がある。それでは、スイム、バイクのダメージで疲れたらスピードが落ちて終了・・・ということにもなってしまう。

そう聞いて各ドリルに取り組むも、その場足踏みの段階で、自らが本来のランニング動作をできていないことを自覚させれらるメンバーも。

「今までいかに走るための動きができていなかったかを認識。足踏みさえまともにできない自分がそこにいた・・・」とは、アッキー(皆川亜紀子さん)卒業後、レギュラーメンバーに昇格したマッキーこと牧野星さんの弁。

マッキーに限らず、各メンバーそれぞれが合宿後、今回学んだ「確認の仕方」を日々のトレーニングに取り入れている。

ランニングダイナミクスポッドを活用すれば、ペースと上下動比の関連などを簡単に確認できる。写真はマッキーが今回の合宿でとったデータ。ドリル後、後半の500ⅿ✕4では上下動比が良く(低く)なっていた(SNS投稿より)

★各メンバーの日々のトレーニングの様子は、KONAチャレ公式サイトや、Facebook公式アカウントで確認できます。

>>>KONAチャレ過去掲載記事を読む
File01. キックオフミーティング「夢へ挑戦するアスリートたちのリアルタイムストーリー」
File02. 第1回フィードバック「レースでもう一段強くなる秘訣は”変化を恐れないこと”」
File03. モータージャーナリスト河口まなぶ、 KONAへの焦燥と誓い。

File04.ウエットスーツに頼らない本物のスイムを手に入れる(AQUALABでの測定リポート)
File05. 第2回フィードバック「スタートから3カ月で見えてきたコナアスリートへの道筋」
File06. 真夏の木更津トライアスロンでKONA獲得のヒントを探る
File07. KONAへつながるトライアスリート的 勝つための食診断 Part.1
File07. KONAへつながるトライアスリート的 勝つための食診断 Part.2
File08. 第3回フィードバック Part.1 「最終目標から逆算すれば、日々やることも明確に」
File08. 第3回フィードバック Part.2「大腿骨骨折からの走力回復」
File08. 第3回フィードバック Part.3「パワー向上の手段は筋トレだけじゃない」
File08. 第3回フィードバック Part.4 「60代でKONA出場! を阻む壁とは?」

 

◎「KONA Challenge supported by MAKES」オフィシャルHP

オフィシャルページでは、メンバーのトレーニング状況やピックアップコンテンツなどを随時更新しています。

◎MAKES
https://makes-design.jp/

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