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【夢の舞台に立ってみて】太田麻衣子コラム#011

投稿日:2022年10月28日 更新日:


ルミナ編集部

text by:

©KentaOnoguchi

太田麻衣子のウキウキトライアスロンライフ#011

前回>>#010【いよいよKONAへ】

夢の舞台を終えて

皆さんこんにちは! トライアスロンコーチのラプレム太田麻衣子です。夢舞台、初KONA(アイアンマン世界選手権、以下KONA)が終わりました。たくさんの方に応援をいただきありがとうございました。

レースを終えて思うことは、「楽しかった!」そのひと言に尽きます。もちろんレースはきつかったのですが、ただただ幸せなKONAでした。目標タイムは10時間30分。結果は11時間18分。目標には程遠かったですが、まずは完走したことで満足です。

勝ち抜いた人だけが出場できるKONA。スタッフ、ボランティア、応援、選手の方全員がリスペクトし合い、今までに感じたことのないエネルギーで溢れた大会でした。またプロ、パラ、エイジ選手が一緒にスタートすることで人間の可能性を感じました。そして夢のようなKONA WEEKを日本選手一丸となり楽しめたことが何よりの思い出です。

レース直後は完走できた喜びいっぱいで悔しさはありませんでしたが、時間が経つにつれてやはり悔しさと反省点がたくさん出てきました。レースを走って得た課題、弱さを来年どれだけ克服できるか。まだまだ進化できる。まずはしっかり休養して練習を再開していきます。

ここからは、レースレポートをお届けします。

トータルタイム 11:18:02
SWIM/1:01:00(エイジ4位)
BIKE/6:04:34(エイジ85位)
RUN/4:04:09(エイジ60位)
W35-39/55位 / 151人中
女子/247位 / 1204人中

▼ラプレムYouTube

▼Garminデータ
https://connect.garmin.com/modern/activity/9743686673

高鳴る胸を押さえて

【スイム】

2:30起床。前日寝たのは22時頃だけどスッキリ目覚めた。朝食(赤飯のアルファ米と味噌汁)を食べて、いつもの筋膜リリースとストレッチをして準備。腕に付けたウォッチのコンディションは良いとの表示。会場に着きボランティアの方の熱いお迎えに胸が高鳴る。日本人選手にも会えてリラックス。

スタートはプロから。私の35-39カテゴリーは3番目で、6:35にスタート。水温は27℃くらいのためウエットスーツは禁止でスイムスーツを着用。グループの一番後ろから入水して約200mのスタートラインに並ぶ。

3分ほど浮いてスタートを待ち、いよいよスタート。右呼吸のため左側からスタートして周りの様子を見ながら淡々と泳ぐ。2〜3人を抜いて、虹が少し出始めているのを見つつ集団の3番手に付ける。お互いぶつからないように泳ぐのがスマート。KONAは常にけっこうラフなコンディション。

折り返し手前で私が集団の前になり水中カメラマンにピース! 復路は進みにくくなるものの余裕あるペースで泳ぎそのままスイムアップ。エイジ4位。

SWIM 1:01:00

【バイク】

予定ペースは心拍140前後。NP160弱、体重3倍前後のパワー。10km地点のパラニロードで日本チームの応援を受けクイーンKへ。バイクは1往復でずっとゆるやかなアップダウン。日陰ゼロ、日差しと風が強くてタフなコース。KONAに滞在中、何度か乗った中では風は弱いほうかな。

15km地点で海にかかる大きな虹を見てまさかの号泣。一瞬で消えて気合いを入れ直し、行きのワイコロアで日本のメディア陣とたくさんの方に応援いただく!

【補給・体調メモ】
▼エイドは9カ所。毎回水(500ml×2〜4本)を身体に掛ける。
→暑くて7~8カ所目で止まって水をもらう。7カ所目で冷たいドリンクが飲みたくてコーラを250mlくらい飲む。これが後に響く? 提供されるスポドリのゲータレードは苦手。
アームクーラーがすぐ乾いてしまいそれが暑かった原因?
▼40分ごとにエネルギーを摂る。
▼こまめに給水。
▼1時間ごとにナマコサプリと塩カプセルを摂取。
▼心拍、パワー、深部体温を常にチェック。

これを守りながら乗る

180w出ていてもバンバン抜かれる。ドラフティングの心配は全くなくずっとひとり旅。余裕があるので付いていこうかとも思ったけど、潰れたくないので終始マイペース。世界は速い! でもこのパワーならもう少し速いはず。乗り方に改善点あり。これが今回得た一番の課題だった。乗り方については、色んな方に「もったいない」いと言われる。来年は集団に乗れる力を付けたい。それだけでも大幅なタイム短縮ができるはず。

DHポジションでずっとストローが気になる。練習(ストローボトルなし)とポジションが違い、集中できない。ずっとボトルの付け方を間違えていたみたいで初歩的なミス。来月の「しろさとTT200」で再試行!

BIKE 6:04:34 (平均心拍141 / NP172 体重3.2倍)

【ラン】

ランスタート60位。バイクを予定通りに乗ったので脚が軽い。ペースを上げないように気をつけて、ジップロックに氷を入れて手に持ち冷やしながら走る。溶けたら身体に掛けてときどき食べて体内を冷やす。

©KentaOnoguchi

これはかなり効果的なので暑いレースに出る方はぜひ試して欲しい。2日間開催になりボランティアが減った影響で、例年よりエイドが減り1.6kmごとから2.3kmごとに変更になる。13時頃にランスタートし、日陰ゼロのため熱中症にならないように身体をしっかり冷やて、COREで深部体温をチェックしながら走る。

日本チームの応援、ボランティアのサポート、沿道の応援が嬉しく力になる。クイーンKに入ってからは約10kmひたすら真っすぐゆるやかなアップダウン。20~30kmのエナジーラボで長いな……と思ってしまう。

給水はずっとコーラを飲んでいたからか? 胃の調子が悪くなってきてたまに「おえっ」となりそうに。ランの補給も少なかったのか力が出なくてエイド以外でも少し歩くように。後半日本選手とすれ違うことが多くなり声をかけ合い力をいただく。赤坂御所と葛西の周回コースのことを思い出しながらあと何周分だ! と練習を思い出しながら走る。

今まで出たロングのランは周回やすれ違いで常に誰か知り合いがいる状況。そのときは人の力を借りて走れていただけ。ひとりでも走れる強さが必要。残り2km、たくさんの応援に迎えられてまたパワーがみなぎってくる!

苦しかったことはすっかり忘れて、まるで優勝したかのような笑顔でフィニッシュ! メンバーさんも無事に! ロングのフィニッシュはどんな内容であっても辿り着けたらそれだけで幸せ。たくさんの応援をありがとうございました!

RUN 4:04:09

《総括&課題》
・バイクを冷静に乗れたのは良かった点。しろさとTTや佐渡で踏みすぎた経験を生かせた。
・バイクでの力の差を痛感したので、冬場はバイク強化が課題。筋トレとインドアバイクメニューを追加する。
・練習で本番並みのボリュームをやれていなかった。そのため体力、精神的な支えがなく、本番でしんどいな、長いなと思ってから全く粘れなかった。練習でできていないことは本番でもできない。
・ランでスポーツドリンクを飲めず、上手く水分補給ができなかったと考えられる。来年は苦手なゲーターレードを飲むか、自前のスポドリを用意する。

レースの苦しみは幸せ。KONAで感じたこと

KONAは自分との戦い。3種目ともタフなコースにどれだけ打ち勝てるか、冷静に走り、苦しいときにどれだけ我慢して粘れるか。

私は自分の弱さと練習不足が思いっきり出たレースでした。しかし、勝ち抜いた人だけが出場できる場にいられたこと、そしてレースで苦しめたことは喜びでした。ケガや病気でトライアスロンをできない方の苦しみに比べれば、レースの苦しみは幸せ。元気があればなんでもできる! 健康あってこそのスポーツ。その喜びを身体で感じたKONAでした。今回母が応援に来てくれて元気な姿を見せられたのも良かったです。

太田麻衣子さんの母・笑子さん撮影

レース中、バイク15km地点で海に大きな虹がかかり、雲が晴れたその瞬間、コロナ禍になってから起きたいろいろなことが頭を巡りまさかの号泣。自分でもビックリ! ハワイのことわざ「No Rain, No Rainbow!」辛いことの後にはきっと良いことがある。たくさんの方に支えていただきKONAに来られたこと、元気に生きていられることが心から幸せだと思いました。

KONAはコース、運営、ボランティア、応援、選手のレベルもすべてにおいて世界最高峰。レース開催にあたり地元の理解、8000人を超えるボランティアの協力で支えてくださりました。ボランティアの方は常に笑顔、選手たちよりも大変なのにとても力をいただきました。選手は周りの方のサポートがあるからこそレースを楽しめる。たくさんの方のお陰で楽しめることを忘れてはなりません。

今年は2日間での開催で女性と一部の男性は木曜、男性は土曜。木曜は土曜の選手に応援をもらい、土曜は日本チームで集まり全力で応援! また酒井サムさんが管理されているFacebookグループで色んな情報を共有し合い、不安なくレースに臨むことができました。選手の激闘もアップされているのでぜひご覧ください。グループはどなたでも入れます!

©KentaOnoguchi

KONAはプロの走りを間近に見ながら自分も走れる。トップ選手、そして同世代、さらに上の選手の凄さも目の当たりにしました。世界は速い! 男子プロではグスタフ・イデン選手(ノルウェー)がコースレコードで優勝、女子プロでは一児の母であるチェルシー・ソダーロ選手(アメリカ)が優勝されました。

日本選手ではM80-84カテゴリーで中田浩司選手が優勝! とても練習熱心! 来年に向けてもっと練習頑張るぞと仰っていました。中田選手のコーチ谷新吾選手(1990年代にプロカテゴリーで入賞)に、「またKONAを目指してください。この苦しさはここに来られた人しか味わえない。中田さんがもう決めちゃったし(優勝すると翌年招待で出場できる)、僕も頑張ります。また来年会いましょう。」と約束を交わしました。

M80-84で優勝の中田浩司選手。©KentaOnoguchi

KONAの苦しみをまた来年も味わいたい! 本当にレースを楽しむためにはまだまだ準備が足りません。補給が上手くいかずランのハーフくらいからペースダウンして歩くことが多くなりました。今思うと苦しさから逃げ、歩いて楽をしてしまったのだと思います。根性が足りない、練習が足りない。ロングはそう簡単に完走できません。だからこそ楽しい! やれることはまだまだある。そしてこの経験を元に皆さんのトライアスロンライフのお手伝いをしていきたいです。

©KentaOnoguchi

KONA、自分超え、大きなチャレンジを目指す方は、今以上の取り組みが必要です。自分に必要なトレーニングを見直してオフシーズンのトレーニングを楽しんでください。このコラムを今後も継続させていただけることになったので、オフトレの様子もお伝えしていきます。冬も一緒にトレーニングを楽しんでいきましょう!

レースの苦しさは幸せ! 来シーズンはステップアップした姿でウキウキニコニコなトライアスロンライフを♬

コラムをはじめから読む
>>#01【KONAの表彰台を目指して】
>>#02【宮古島で新たなレースも夢じゃない!?】
>>#03【ケガの功名? あらためて自転車の安全性を考える】
>>#04【ケガで落ち込むよりもできることを積極的に】
>>#05 【ケガからの復帰戦 WTCS横浜に想うコト】
>>#06【高地トレーニングでパフォーマンスアップを狙おう!】
>>#07【今季注力のトレーニングで2週連続レースも笑顔でフィニッシュ! 】
>>#08【シーズン後半 本命レースに向けてラストスパート!】
>>#09【佐渡で感じたコトをKONAで生かす】
>>#010【いよいよKONAへ】


太田麻衣子/おおたまいこ
ラプレム代表 https://linktr.ee/lapulem_maiko
大学からトライアスロンを始めて日本選手権8位、U23世界選手権代表など。今はコーチングをしながら一緒にレースを楽しむスタイルでトライアスロンを満喫中!
【2022年レース予定】
3月20日(日)しろさとTT200 200kmの部 ※DNS
5月15日(日)ワールドトライアスロンシリーズ・パラシリーズ横浜
6月25日(土)スワコ8ピークスミドルトライアスロン
7月2日(土)LAKE BIWA triathlon in MORIYAMA
8月4日(木)初島・熱海間団体競泳大会(3名で12km泳ぐ)
9月4日(日)佐渡国際トライアスロン 日本選手権
★10月6日~8日KONA(アイアンマン世界選手権2022)

11月6日(日)しろさとTT200

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