Part02. 大腿骨骨折からの走力回復
11月4日に行われた、3回目のKONAチャレメンバーのフィードバック・ミーティングの続きから。
▶Part.01「最終目標から逆算すれば、日々やることも明確に」
▶Part.03「パワー向上の手段は筋トレだけじゃない」東度久美さん
▶Part.04「60代でKONA出場!を阻む壁とは?」 小泉邦明さん
第1回フィードバックの様子はこちら≫≫≫夢へ挑戦するアスリートたちのリアルタイムストーリー
第2回フィードバックの様子はこちら≫≫≫スタートから3カ月で見えたきたKONAアスリートへの道筋
山田 航さん
2017年の大腿骨骨折から70.3でレース復帰
ランの走法・走力回復を模索中
山田さんは2017年宮古島トライアスロンで総合130位。KONA出場の可能性が高いメンバーのひとりだが、バイクの落車で左大腿骨を複雑骨折。骨折は完治したものの、今シーズンはバイクレース、6月の富士ヒルクライムとアイアンマン70.3のレース2本のみの出場となった。
【自己評価】
骨折は完治し、医師には禁止されている運動はない。バイクはそれなりに乗れるが、ランは走れず、速歩の練習をした。長い距離は不安なので復帰戦としてアイアンマン70.3チェジュ大会に出場。
2018年7月 アイアンマン70.3チェジュ 4:36:21
スイム(400mに短縮)10:27 平均ペース2分05秒/100m
バイク 2:30:15 平均ペース35.94㎞/h 平均パワー210W(FTP 260W)
ラン 1:48:02 平均ペース5分08秒/㎞
2018年9月 アイアンマン70.3世界選手権/南アフリカ 5:08:12
スイム 38:37 平均ペース2分02秒/100m
バイク 2:41:47 平均ペース33.38㎞/h 平均パワー200W(FTP 240W)
ラン 1:39:07 平均ペース4分42秒/㎞
チェジュはランを速歩で乗り切り、約5分/㎞ペースをキープ。トータルタイムもまずまずで世界選手権出場の権利を獲得した。出るべきかどうか迷ったが、皆川亜紀子さん(=KONAチャレメンバー卒業生第一号)から南アフリカの大会はすばらしいと聞き出場。世界選手権だけに出場選手がハイレベルで、大いに刺激を受けた。
【クリック・ピンチアウトで拡大】
Yamada’s Road map to KONA
2018年は11月にアイアンマン70.3厦門(中国福建省)に出場し、4時間53分が目標(結果=4:42:07/エイジ15位)。2019年はスピード強化の年として2月にマラソン、3月にアイアンマン70.3台湾。9月のアイアンマン70.3世界選手権ニースに出場し、4時間45分(バイク2:30/ラン1:30)を出す。2020年に6月のアイアンマン・ケアンズで9時間33分(バイク5時間/ラン3時間20分)をクリアしてKONA出場権を獲得。KONAで9時間14分を目指す。
目標クリアのための課題・取り組み
スイムはフォームの改善が必要なのでコーチに習う。バイクはトレーニングと70.3の大会でスピード強化。ランは最近走れるようになったが、無意識に骨折した左足をかばってしまい右脚が痛くなる。左右差を矯正する必要あり。バイクの測定で「骨盤が曲がったままサドルに座っている」と指摘されたので、左右差はバイクにも影響している可能性大。これも矯正する必要がある。
【TKのアドバイス】
自分の中にギヤ比をもつことがランの強みになる
TK■ランの痛みはどうやって解決していきますか?
山田■時間をかけて筋肉を元に戻そうと考えています。4分30秒/㎞だと右脚に痛みが出ますが5分/㎞ならOKなので。
TK■速歩きでも5分/㎞くらい出せるようになったのは良かったですね。怪我の功名というやつです。というのは、アイアンマンのランはかなり疲れた状態で走りますから、マラソンのように走れないし、後半に行けば行くほどダメージで満足に走れなくなる。
そんな状態でも動きを切り替えることで、ある程度の速度がキープできるようにしておくと、これがかなりの強みになります。言葉を変えると「自分の中にギヤ比をもて」ということ。ギヤ1が歩きならギヤ2が速歩、ギヤ3がジョグ、ギヤ4がレースペースのラン、ギヤ5がマラソンのランといったように、速度・強度によって身体の動かし方は大きく変わります。
ランニングは着地した瞬間の弾む力を活用しますが、歩きは走りより地面を長く押す。弾む力を活用したほうが速いはずですが、疲労で着地が乱れるようになったらそれができなくなります。そんなとき速歩のスピードを磨いておけば、速歩に切り替えたほうが速く進める場合もある。色んな動きで色んな強度・速度が出せるようにしておくと、アイアンマンのランでは有利です。
左右差を初期化して動きを改善
山田■左右差の矯正はどうしたらいいですか?
TK■地味な練習を根気良くやる必要がありますね。私も脚の故障を経験して、動きを改善するための練習をいろいろと工夫してきました。たとえば過剰に使っているほうの脚を全く使わずに、使えてないほうの脚だけで進む練習をやってみる。
悪い動きの記憶を神経・脳から消去して初期化していくわけです。故障していないときでも、室内で30分間足踏み的に「その場ジョグ」をするといった地味な動きの練習を今でもやっています。
強化するトレーニングと維持するトレーニングを使い分ける
山田■3種目とも強化していかなければならないのは分かっているんですが、同時にすべてやるのは難しいので、そこも悩ましいところです。
TK■強化のトレーニングと強化された能力を維持するトレーニングがあります。量をかなり減らしてもパフォーマンスを維持することは可能です。強化する重点種目と期間を決めて、計画的に取り組んでいけば、どれも力を落とさずにひとつずつ強化していくことができます。これはシーズンオフでも言えることです。
たとえば冬はマラソンに集中してバイクに全く乗らない人がいますが、それではせっかく春夏に身につけた力も技術も元に戻ってしまいます。短くても定期的に乗るようにしていれば能力は維持できますから、ぜひ維持のためのトレーニングを実践してください。
▶続き≫≫≫Part.03「パワー向上の手段は筋トレだけじゃない」東度久美さん
▶Part.01「最終目標から逆算すれば、日々やることも明確に」
▶Part.04「60代でKONA出場!を阻む壁とは?」 小泉邦明さん
>>>KONAチャレ過去掲載記事を読む
◎File01. キックオフミーティング「夢へ挑戦するアスリートたちのリアルタイムストーリー」
◎File02. 第1回フィードバック「レースでもう一段強くなる秘訣は”変化を恐れないこと”」
◎File03. モータージャーナリスト河口まなぶ、 KONAへの焦燥と誓い。
◎File04.ウエットスーツに頼らない本物のスイムを手に入れる(AQUALABでの測定リポート)
◎File05. 第2回フィードバック「スタートから3カ月で見えてきたコナアスリートへの道筋」
◎File06. 真夏の木更津トライアスロンでKONA獲得のヒントを探る
◎File07. KONAへつながるトライアスリート的 勝つための食診断 Part.1
◎File07. KONAへつながるトライアスリート的 勝つための食診断 Part.2
◎「KONA Challenge supported by MAKES」オフィシャルHP
オフィシャルページでは、メンバーのトレーニング状況やピックアップコンテンツなどを随時更新しています。
◎MAKES
https://makes-design.jp/
【他サポート施設】
AQUALAB
流水プールを使ってインストラクターによるフォームの分析、プルブイを使用して20分測定を行う。
※メンバーの孫崎が実際に測定している様子はこちらから。
SPORTS SCIENCE LAB
心肺能力(VO2MAX)、AT値、AT値でのフルマラソン適正ペース、ランニングフォーム評価、AT値での20分走タイムを測定。
R-body Project
ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(FMS)で体のコンディションを骨格のゆがみや関節の可動域などのポイントからチェックし、評価。
Endurelife
AT値で20分間バイクをこいだときの平均パワー/心拍数(PWR/HRT—AT値)、FTP(機能的作業閾値パワー/PWR/HRT—AT値20分の95%)、フォーム、ペダリングを評価。