太田麻衣子のウキウキトライアスロンライフ#019
真夏のトレーニングの注意点
皆さんこんにちは! トライアスロンコーチのラプレム太田麻衣子です。今年の夏も暑いですね。夏は思っている以上に身体に負荷がかかります。同じペースでも冬と夏では心拍が10〜20くらい変わってきます。
トレーニング強度は普段の7割くらい。心拍ZONE1-2を多くやれるとオーバートレーニングになりにくいです。
どの時期もですが低強度ZONEをしっかりやると体力の土台が大きくなり、速いペースの閾値が上がっていきます。速いペースはトレーニング全体の1割で私はやっています。
特に今は暑いので、ペースを落としてやるようにしてください。もし上げるなら短時間でサクッと! ケガのないように気をつけてくださいね。
夜寝苦しければクーラーをかけて快適に寝ましょう。睡眠は一番のリカバリー方法です。前回のコラムで深部温度をCOREで計測してトレーニングとレースをしているとお話ししましたが、最近は起床時の体温チェックを再開しました。
自分の体温と心拍を知ることで身体の調子がわかるようになってきます。また最近の時計はHRVステータスがわかるので体調の指標に見ています。頑張った日や疲れているなと思ったら、涼しくして早い時間に就寝してコンディションを整えてくださいね。
>>マイマイコーチが教えてるCOREの活用方法術は『Lumina#90』(2023年9月号)に掲載!
ベストコンディションだったIMケアンズ
当日の海はベタ凪、最高気温は31度くらい。バイクランで身体に水は掛けましたが、暑過ぎずに快適なコンディション! 日本人選手はフルと70.3で約200名人、イベント全体では、全体で2000人が出場しました。
大勢のボランティアの方達たちに支えていただき、いよいよレースがスタートしました! オフィシャルの写真によるとスタート前にオースラリアの民族楽器(ディジュリドゥ)での演奏があったみたいです。
私はウォーミングアップをしていて見られませんでしたが、スタート前のこういった盛り上がりはワクワクしますね。KONA(アイアンマン世界選手権)の時はハワイの演奏と国歌斉唱で気持ちが高まりました。
レースは大きなトラブルなく完走し、結果は10時間20分37秒。カテゴリー4位、3位まで7秒。今年からKONAのスロットが増えたので問題なく獲得できましたが、以前の数ならギリギリ獲れたかどうかという順位。
レース後はアスリートエリアにて選手みんなで健闘を讃え合い、色んな話をするのが至福の時間。レース直後に提供されるフードはピザ、ポテト、アイスなど。強い選手はピザなどをすぐ食べていました。私はしばらくアイスとコーラ、レース2時間後にやっとピザを食べられました。
上手くいったこと、思うようにいかなかったこと、満足した・しなかった、いろいろあると思いますが、諦めずにその日のベストを尽くし無事に戻って来られれば、また次があり繋げることができます。失敗やミスをしたほど強くなれる。私もまだまだ色んな経験をして強くなっていきたいです。
レース翌日はパーティーでロールダウンセレモニー(スロット授与)と表彰式。多くの日本選手が表彰されているのを見て、来年は私も! と刺激をいただきました。今年のIRONMAN世界選手権は男子NICE、女子KONA。レースに向けてケガなくトレーニングしていきましょう!
KONAのイベントグループをFacebookで作ったので、出場&応援の方はぜひご参加ください。連絡は太田かトライアスロンコーチのまごちゃんこと、孫崎虹奈さんまで。酒井サムさんが管理するIRONMAN championshipグループもあるので、そちらもぜひチェックしてください。
レースの様子を振り返っていきます。詳細はブログにまとめているのでこちらをご覧ください。
http://lapulem.jp/ironman-cairns2023/
【アイアンマン・ケアンズ スイム編(55分2秒)】
4人ごと5秒ずつのローリングスタート。まごちゃんが「まいこさーーーーん!」と応援してくれていて笑顔でスタート! ロングはこれくらい気楽にスタートできるのが良いと思います。
そして一瞬で集中。波はなく透明度はヒジ先までが見えるくらい。上陸せずに3800mを泳ぐコースレイアウト。人とぶつかることはなく快適に泳げました。以前スイムで頑張ったらバイクで20kmくらい脚に力が入らなかったことがあったので、それ以来ロングのスイムはゆっくり泳いでいます。
ドラフティングできる選手がいたら付いていきますがずっとひとり。ペースが合う選手がいた場合、相手がストレスを感じない位置で泳ぎましょう。私は目線に入られるのは嫌なので、ドラフティングする際は骨盤あたりに付くようにしています。
最後の最後で大学の先輩を見つけて一緒に泳いでスイムアップしました!
【アイアンマン・ケアンズ バイク編(5時間35分47秒)】
落ち着いてスタートし、序盤は男子選手に抜かれまくり。日本選手は声をかけてくれ力をいただきます! ロードバイクで同じくらいの男子選手に抜かれてしばらく後ろで様子見。
抜くと抜かれるので後ろで淡々と。2周+平地30kmでT2に行くコースレイアウト。すれ違いがあるので、知り合い選手と声を掛け会えて楽しいコース。獲得標高は1200mほど。すごいキツイ坂はなく適度なコースだと思います。
ただラスト30kmの平地向かい風はきつかった! ここで脚があるかないかで5〜10分くらい変わると思います。そこまで暑くないのですが、抜いていく黒ウエアの選手を見ると汗で白くなっていました。
私が見た限りではランエイドには塩系のものがなく、自分で用意する必要があると思います。私は塩カプセルとミネラルが摂れるドリンクをバイクランで用意。東三河で上手く給水ができずラン18kmでハムが攣りそうになりその後のダメージも大きかったので、今回は意識的にミネラル摂取をしました。
今回は今までと違う走り方にチャレンジ! しろさとTT200kmのタイムがIRONMANのバイクタイムと同等という話を聞いていたのですが、昨年のKONAでのバイクが遅くて竹谷さんに3月のしろさとTTで対策を伺いました。
「後ろの選手は抜く際に一気に行くから、そのまま少し頑張って付いて行くと(ドラフティングゾーンを守って)、意外と付いていける。ケアンズは少し攻めても良いんじゃないか」
上限はしろさとTTの結果から心拍155まで、平均心拍150、パワーは170wまで、NP160wに設定。自分に合った選手に付いていくことで、KONAより流れに乗って走ることができました。
少し予定より頑張ってしまった部分があり後半ペースダウンしましたが、新たな経験値を積むことができました。とはいえどんな展開でも走り切れるように、自分の脚力を上げていく必要があります。
ケアンズのバイクコース(路面)は地味に荒いため、ボトルが落ちていたり、バイクのネジが緩んでいる方、パンクしている方を見かけました。私は試走していたのと東三河の教訓を活かして対策はバッチリ! 来年出場を検討されている方は、バイクのセッティングは十分過ぎるほどにしてください。
【アイアンマン・ケアンズ ラン編(3時間41分57秒)】
バイクのラストはエスプラネードのメイン通りを通るのですが、昼間から大勢の方が飲んで盛り上がっていました。応援の方も多く、それまでの疲れが不思議と緩和。応援は本当に力になります!
バイクをボランティアさんに預け、ランギアをピックアップしてテントで焦らずに準備。コースは平坦な約10kmを4周回します。ケアンズのエイドドリンクはゲータレード、コーラ、レッドブル。
KONAも同じなのですが、スポーツドリンクのゲーターレードが苦手なため、飲みたいドリンクを入れたボトルを持って走りました。同じものをスペシャルニーズに預けましたが今回は使わず。これはKONAでも用意します。使わなければそれでOK。加えて塩カプセルとナマコサプリ(アミノ酸)もバイクランで摂取。おかげで攣ることなく終えることができました。
ペース配分は心拍150前後に設定。最初はキロ4分50秒くらい、徐々に落ち始め5分、5分15秒、25kmからは5分30秒に。ピッチを落とさず、日本選手と声をかけ合いながら力をもらい足を進めました。
ゼッケンは名前が記されているので「MAIKO〜!」と応援してもらえます。これは日本のレースにもぜひ導入していただきたいです。
ラスト8kmでトイレに行きたくなり我慢するも、ラスト4kmでトイレに。その後覚醒してペースアップして、ラストはキロ3分46で多くの方とハイタッチをしながらフィニッシュ! いくらでも走れるような、まさにランナーズハイ! もっと走っていたかった。もっと早くトイレに行っていたら……トイレはすぐ行くこと!
深部体温はランの中盤までは39度以内、ラスト10kmで39度台、最高39.4度まで上がりましたがそんなに暑いとは感じず、レース後のダメージも思ったよりは少なかったです。暑くなり始めた日本で暑熱順化できていたのが良かったのでしょう。アクセスが良い点に加えて、気候もちょうど良かったので私の中で一押しの大会です!
今回の補給は比較的上手くいき、大幅に崩れることなく走り切ることができました。またの機会に詳しくお話ししたいと思いますが、バイクでは15分ごとに給水か補給を。朝食とスタート前までに750kcal、バイクで約1500kcal、ランで500kcalほどでした。
ロングは補給がとても重要です。これから佐渡AやIRONMANに出場される方は、トレーニングの時からレースで使うものを試していきましょう。
ケアンズは陽気な方が多く、フィニッシュはどの時間帯もとても盛り上がっています。最終フィニッシャーまで見れなかったのですが、DJとMCさんが盛り上げてくれ、全員で踊りながら迎えてまさにパーティー会場のよう。
80歳の選手のフィニッシュは大盛り上がりでした! 選手それぞれが最高の瞬間を迎えることができたと思います。
大会は運営とボランティアの方がいて成り立つもの。そして仲間、応援の方がいることで選手はパフォーマンスをより発揮できます。レースでしか味わえない一瞬を楽しむために、楽しみながら練習と経験を積んでいきます。
KONAに向けて
シーズン前半は脚に痛みが出て思うようにトレーニングできなかったですが、今は痛みがないのでケアをしっかりしながらじっくり距離をこなしています。自信を少しでもつけるには練習あるのみですね。
あと客観的にペースマネジメントをするために、数値で自分の能力を知るテストを予定しています。以前宮塚英也さんとランニングサイエンスラボのランニング測定を受けたのですが、それを元にロングのペース設定をするテストを考えています。
レースにまぐれはほとんどありません。そのときの身体の状態でのベストを尽くせるように、自分のペースを数値で出してトレーニングとレースに臨みます。
レースに向けてトレーニングしていく中で一番重要なのは、体調を崩さずにケガをしないこと! 皆さんも普段から無理無茶油断よそ見せず、安全第一で楽しくトレーニングされてください。
次のレースは榛名湖トライアスロン。ラプレムからは個人とリレーで約30人出場、私はゲストとして参加させていただきます。お声がけしながら思いっきり楽しみたいと思います。出場予定の皆さん、一緒に楽しみましょう。
まだまだ暑いのでいつもより強度を下げて、ウキウキニコニコなトライアスロンライフを♬
コラムをはじめから読む
2022年
>>#01【KONAの表彰台を目指して】
>>#02【宮古島で新たなレースも夢じゃない!?】
>>#03【ケガの功名? あらためて自転車の安全性を考える】
>>#04【ケガで落ち込むよりもできることを積極的に】
>>#05【ケガからの復帰戦 WTCS横浜に想うコト】
>>#06【高地トレーニングでパフォーマンスアップを狙おう!】
>>#07【今季注力のトレーニングで2週連続レースも笑顔でフィニッシュ! 】
>>#08【シーズン後半 本命レースに向けてラストスパート!】
>>#09【佐渡で感じたコトをKONAで生かす】
>>#010【いよいよKONAへ】
>>#011【夢の舞台に立ってみて】
>>#012【リセットして再出発! しろさとTT200出場へ】
>>#013【スタートダッシュを決めるためのオフシーズンの過ごし方】
2023年
>>#014【特大ジャンプで2023年は飛躍の年に】
>>#015【いよいよシーズンインに向けて本格始動】
>>#016【4年ぶり開催の宮古島でトライアスロンシーズンイン】
>>#017【宮古島でトライアスロンへの想い新たに】
>>#018【国内外のアイアンマンに参戦】
太田麻衣子/おおたまいこ
トライアスロンチーム・ラプレム代表 https://linktr.ee/lapulem_maiko
大学からトライアスロンを始めて日本選手権8位、U23世界選手権代表など。2022年念願のアイアンマン世界選手権(KONA)に出場を果たす。目標はエイジでの表彰台。今はコーチングをしながら一緒にレースを楽しむスタイルでトライアスロンを満喫中!
【2023年レース予定】
4月16日(日)全日本トライアスロン宮古島
6月10日(土)IRONMAN 70.3 JAPAN
6月18日(日)IRONMAN Cairns
7月30日(日)榛名湖リゾート・トライアスロン
8月27日(日)トライアスロン珠洲
9月3日(日)佐渡国際トライアスロン
9月9日(土) 湘南OWS 10km
10月14日(土)アイアンマン世界選手権(Women)
11月5日(日)しろさとTT200
12月3日(日)NAHAマラソン
12月29日(水)Beyond